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みんな一度は悩む「家事按分」について解説します。

皆さんは「家事按分」という考え方をご存じでしょうか。

自宅で事業を営んでいるなど、事業とプライベートの境目が曖昧になりやすい業態で事業をしている場合に適用される経費計上の考え方で、家賃など事業で使用した分を経費として一部計上できます。ただし全額計上できるわけではありません。

起業したばかりの方の経営者さんには、
「え、全額計上しちゃってるよ」
「家事按分なんてルールしらなかったよ」
「実はどれだけの割合が良いのか自信がないんだ」
といった方もかなり多いので、今回はそうした方向けに家事按分を説明します。


家事按分とは

個人で仕事をされている方の場合、支出が事業とプライベートを兼用している場合があります。全額を費用計上すると「計上しすぎ」となりますが、一方で全額を計上しない場合は「計上しなさすぎ」となります。そこで、国税庁は、支出のうち事業に関わる分のみを計上することを認めています。それが「家事按分」です。

「曖昧な費用計上はさせないルールにすればいいじゃないか。」

と感じる方もいるかもしれませんが、税法の目的は「課税の公平性」です。もし家事按分を認めなければ、個人で仕事をしている方は計上できる支出が少なくなってしまい、他の事業者よりも納税額が多くなってしまうのでしょう。税法においては「税金を取りすぎても、取らなさすぎても問題」で、不公平な状況を排除するために家事按分があるのです。

家事按分の対象経費と按分方法

家事按分の対象となりやすい経費は次の通りです。按分方法の例も紹介しますが、事業の実態によって変わってきますので、お近くの税理士に相談することをお勧めします。

家賃

自宅で事業を営んでいる場合は、家事按分の対象にできます。按分方法は主に2種類あり、床面積比率によるものと、時間比率によるものです。

床面積比率による方法は、書斎やデスクなど事業のために使っている床面積を全体の床面積で割って、その比率を採用します。

時間比率による方法は、仕事で使うスペースが明確に区切られていない場合によく採用されます。仕事で自宅を使う時間の割合を按分比率として採用します。

水光熱費

水光熱費は面積比率のように明確な区分が難しい項目ですので、時間比率による方法を採用することが多いです。ただし、業態によっては時間比率の計算結果を多少操作する必要があるかもしれません。

例えば税理士業の場合で、時間比率による按分比率が40%だったとします。
電気代は、税理業にとって必要不可欠といえます。照明や空調・パソコンなど電気機器はすべて適切な業務遂行に欠かせないからです。
ではガス代や水道代はどうでしょうか。ガスや水のほとんどは風呂や選択などに使われるので、税務署から「40%では比率が大きすぎる」と指摘を受けるかもしれません。

通信費

通信費は使用日数や時間などの時間比率で按分します。
ただし事業での使用時間を説明しづらいものなので、税務署からの指摘を受けやすく、経費として認められないことも多いです。事業用のスマートフォンを買うなど、事業と切り分けるのが最も確実です。

衣服代

スーツ代など、衣服代も場合によっては家事按分で経費にすることも可能です。ただし税務署で指摘されやすい項目でもあるため、しっかり説明できるよう準備しておく必要がありますし、そもそも説明が難しい場合は家事按分するべきではないでしょう。

私もよくお客様から相談を受ける部分なので、別記事で詳しく説明しています。ぜひチェックしてみてください。

自動車関連費

自動車の購入費などを経費として計上し、節税しようとする経営者さんは多いです。按分比率は時間比率と距離比率による方法があります。
しっかり外部説明ができるように、利用記録簿を付けておくことをお勧めします。法人名義で社有車として購入するなども一つの方法です。

自動車関連費用の計上方法もよく質問を受ける部分なので、別記事で解説しました。気になる方は見てみてください。

さいごに:大事なのは比率だけではない

家事按分の議論では、よく「何%までOKか」といった話が先行しがちです。しかしその前に重要なのは「業務遂行上必要かどうか」です。

一生懸命考えて、税務署に指摘されても説明できるよう記録資料などを用意したとしても、「その費用、あなたの事業では業務上必要ではありませんよね」と言われてしまっては努力も無意味になってしまうでしょう。

税理士として私がお客様によく説明しているのは、「業務遂行上の必要性と支出を関連付けるのは『定款』と『実態』」だという点です。定款が事業の実態を明確に反映しており、事業に必要な支出があり、その記録がしっかり根拠として整っていれば、問題ないのです。

もしご自身の事業の実態と定款が整合していなかったり、支出を説明する記録が不十分だったりする場合は、ぜひお近くの税理士に相談してみてください。

橋本美菜税理士事務所は、
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