中国の化粧品ブランドの販売員が続々とライブ中継をスタート、第2のオースティンは誕生するのか?
皆さんこんにちは。エンジョイジャパンの橋本です。最近、中国の化粧品ブランドの販売員が続々とライブ中継をスタートしたことが話題になっています。新型コロナウィルスの影響で、中国経済は現在徐々に回復していますが、実リアル店舗に足を運ぶ買い物客はまだ少ない状況です。そんな中、多くの企業は「ライブ中継」を実施するようになり、そこにリアル店舗で働く販売員を登場させるという新たなマーケティング手法を編み出しました。
本日は、中国の化粧品ブランドの販売員がやっている「ライブ中継」についてお話したいと思います。
現在、「化粧品」、「洋服」、「住宅」、「自動車」、「農産物」など幅広い分野の企業がライブ中継をスタートさせています。少し前までは、「オースティン」や「ウェイヤー」等のセールスKOLがライブ中継を通じて有名になりましたが、最近ではKOLだけではなく、全国民がライブ中継する時代になってきます。
中国で有名な百貨店「银泰百货(インタイバイホォー)」は、タオバオと提携し、「販売員の自宅ライブ中継」を実施し、「エスティローダー」、「ランコム」、「オリジンズ」、「キールズ」、「NIKE」等、約50ブランドの店舗販売員が「オンラインビューティーアドバイザー」に転身しました。中には、SK-IIのビューティーアドバイザーが初のライブ中継で、一回の売上だけで6万元(日本円約90万円)を達成していました。
银泰百貨店の話によると、販売員1名が3時間のライブ中継をした時の消費者人数は、コロナによる自粛期間が明けてから、およそ6か月間で想定される購入人数に相当し、また、1回のライブ中継の売上高は、店頭販売の1週間分に相当します。このことから、オフラインからオンラインへとシフトしたことは成功と言えるでしょう。
银泰百貨店のほかに、「北京华润五彩城(北京ファルェンウーツァイチェン)」、「昌发展万科广场(チァンファージャンワンカー広場)」、「双安商场(シュアンアンシァンチャン)」等の大型ショッピングモールも各公式EC店舗を開設し、オンライン販売をスタートさせています。
化粧品業界以外のライブ中継の例を3つ、皆さんにご紹介しますね。
(1)アパレル業界
北京にあるアパレルブランドが実施した手法は「コミュニティ+ライブ中継」でした。元々会員制度を実施していたため、ある程度の会員人数を確保できていました。コロナウィルスの期間中に、店舗単位でwechatで会員のグループ分けをし、ノベルティをつける方法で既存会員に新規顧客の開拓をお願いしたのです。初めてwewchatグループで商品を販売した際は、1回で5万元(日本円約75万円)ほど売り上げました。この数字を見た販売員たちはさらに燃えて、ライブ中継をスタートさせた結果、2週間でファンが1.3万人まで伸び、セールを実施していたTシャツが2時間で売り切れるほど大人気になりました。
(2)自動車業界
新型コロナウィルスの影響で、外出制限やテレワークが推奨する中、自動車の需要は以前よりだいぶ減りましたが、中国の自動車ブランド「弹个车(タンコチァー)」は逆にライブ中継で成功しています。弹个车のとある店舗に勤める「障碍者兄弟」という兄弟の売上額が特に高いそうです。この兄弟は「快手(Kuaishou)」アプリで1万人以上のファンを持ち、1ヶ月で平均20台の自動車を販売成約しています。彼らの顧客のほとんどが障碍者で、中にはわざわざ遠いところから買いに来る人もいるそうです。弹个车の関係者の話によると、コロナウィルス期間中、1日に自動車1台を販売できているとのこと。実店舗でもここまで出来る人はいないでしょう。
(3)市長のライブ中継
化粧品ブランドや自動車以外に、農産物のライブ中継もスタートしています。2月13日、中国のハワイと言われる「三亜市」の市長がライブ中継で「マンゴー」を販売し、たった2分間で6万キロのマンゴーを売上げました。当日の店舗の売上額は通常より60%も増えました。また別の例を上げると、天猫に店舗を持つとある果物屋さんは、単月の販売数量が元々0件のところ、タオバオライブを始めたことで、1.4万件まで伸びたそうです。これまで、消費者は加工された写真を見て農産物を購入していたのですが、ライブ中継だとより商品の品質が分かるので、売上も飛躍的に伸びやすいようです。
多くの販売員は、ライブ中継をする際のプラットフォームは、「タオバオライブ」より「抖音(TikTok)ライブ」を選んでいます。理由は、抖音はアカウントがあれば誰でもライブ中継できるからです。ただ簡単にライブ中継ができるからと言って、ファンがいない販売員にとって売上を飛躍的に伸ばすということは、相当ハードルが高いことと言えるでしょう。なので、ライブ中継以外にも、wechatグループ、モーメンツ、ミニプログラムなど別のツールも活用する必要があります。
新型コロナウィルスの影響で、私たちの生活は一変しました。中国も状況は同じです。これからも中国では、今までと違った販売方法が次々と登場してくるでしょう。今現在は、一番有力な方法はライブ中継です。なかなか日本には馴染みのない文化ですが、これから日本でも流行るのでしょうか?
以上中国のライブ中継販売に関する情報でした。気になることがありましたら、ぜひ橋本までご連絡ください。
メール:hashimoto@enjoy-japan.jp