中国ゲームのキャラクターを使ったプロモーションについてご紹介します
皆さんこんにちは。エンジョイジャパンの橋本です。先日、中国のゲーム市場についてご紹介しましたが、本日は続けてゲームのキャラクターを使ったプロモーションについてご紹介したいと思います。
《王者栄耀》
《王者栄耀》はこれまで美容系、食品系、3C系※など数多くのブランドとコラボをしてきました。このゲームは膨大な数のユーザーを抱え、かつ若者ユーザーの割合が高いため、このゲームのユーザー間では独自の文化が形成されています。「集合,准备团战(集合、グループ戦だ)」、「稳住,我们能赢(落ち着いて、きっと勝つ)」など、このゲームから生まれた言葉は、多くの若者に使われています。
※3C系:主に中華圏で多用されるコンピュータ、スマートフォンを含む携帯電話、家電の3つの家電機器に対する総称。
ここで、《王者栄耀》とコラボしたブランドを3つご紹介します。
(1)《王者栄耀》×稻香村(ドウシャンツゥエン)
稻香村は中国で有名のお菓子ブランドで、主に月餅のような中華風のお菓子を販売しています。248年前の1773年に出来たブランドのため、比較的に高齢者に好かれています。そのため、若者の消費者にも買ってもらえるように、稻香村は《王者栄耀》とコラボすることにしたそうです。
2020年の春節期間中、稻香村は「荣耀稻香礼盒(セット商品)」を発売しました。パッケージは中国を代表する「赤色」を採用し、回転灯籠にゲームのキャラクターの写真を差し込んだデザインにしました。ここで使ったキャラクターは「大喬」、「后羿 (こうげい)」、「諸葛亮」、「李白」、「木蘭」の5名でした。
また、お菓子のデザインもそれぞれのキャラクターの特徴に合わせて作られていました。例えば、諸葛亮を代表する「绿豆冰糕(リョクトウで出来たお菓子)」のデザインは、「决胜千里(最後の勝負をつける)」という決めセリフになっていました。
(2)《王者栄耀》×M.A.C
2020年4月、《王者栄耀》は化粧品ブランド「M.A.C」とコラボし、ゲームのキャラクターで形成したバーチャルボーイズグループ「无限王者团(無限王者グループ)」をコンセプトにした化粧品セットをリリースしました。
実は、《王者栄耀》のゲームキャラクターをコンセプトにした化粧品はこれが初めてではありません。2019年、「M.A.C」は「木蘭」、「公孙离 (こんすんりー)」、「貂蝉」、「大喬」、「露娜(ルナ)」の5名の女性ゲームキャラクターをイメージにした口紅をリリースしていました。リリースした当初は、微博で「mac王者荣耀」に関するトピックスの閲覧数が3,855万回に達しました。そして、発売されてわずか数秒間で「貂蝉」と「露娜(ルナ)」をイメージにした口紅は在庫切れになり、発売初日の売上額は、MACの通常時の1ヶ月間の売上を上回りました。
(3)《王者栄耀》×マクドナルド
2018年、中国のマクドナルドは《王者栄耀》とコラボして、「牛魔巨无霸套餐(牛魔王のビッグマックセット)」を発売しました。
2018年の春節期間中に、《王者栄耀》のDAUは1億2,000万人に達しました。利用ユーザーの50%以上は、18〜25歳の若者であり、マクドナルドがターゲットとしている年齢層とちょうど合致しています。そして、発売されたビッグマックの単品は、販売量は1,000万個以上に達し、ビッグマックセットの販売量は通常時より400%以上増加しました。
《王者栄耀》に関するプロモーション事例をご紹介しましたが、ここからは《王者栄耀》以外のゲームについてご紹介します。
(1)《原神》×KFC
2021年3月8日、《原神》の公式微博アカウントで、「原神×KFC」のイベント開始が発表されました。3月8日から3月21日までのイベント期間中に、KFC WOWメンバーとして登録/ログインし、KFCアプリ、WeChatミニプログラム、美団などのさまざまなプラットフォームからコラボセット商品を購入すれば、ゲーム用の引き換えコードがもらえます。そのコードからゲームで使える様々な小道具がもらえます。
それだけではなく、オフライン店舗でコラボセット商品を購入し、店員さんに「异世相遇,尽享美味(異世界でめぐり逢い、グルメを楽しむ)」と合言葉をかければ、「原神×KFC」のコラボバッジがもらえます。このバッジはゲームファンの間でとても人気があり、中にはバッジのために、12時間並んだ人もいました。
(2)《陰陽師》×菜鸟裹裹(速達代理サービス)
《陰陽師》は、中国のオンラインゲーム会社・「NetEase, Inc.(網易)」によって制作されたスマートフォン向けゲームアプリです。平安時代を舞台として、記憶を失った陰陽師の安倍晴明が魑魅魍魎と戦いを繰り広げる物語になっています。日本では2017年2月にリリース開始となっていました。
2020年10月、《陰陽師》はアリババ傘下の速達代理サービス「菜鸟裹裹(ツァイニョウグォウグォウ)」とコラボをしました。とあるデータによると、「菜鸟裹裹」の利用者の半分が90年代生まれの若者で、若者にとってこの速達代理サービスは生活の一部となりました。そして、《陰陽師》の利用者も18〜35歳の若いユーザーが90%以上を占めていて、両社のコアユーザーの属性はちょうど合致しています。
今回のコラボで、「菜鸟裹裹」は《陰陽師》のキャラクターをプリントした限定宅配ボックスをリリースし、宣伝をするために送料無料のクーポンも発行しました。
また、若いユーザーがメインという両社の共通点から、このコラボをオフラインで宣伝するために、宣伝場所として「キャンパス」が選ばれました。
近年、大学生が主要な消費者になったため、オンラインショッピングで購入した商品を引き受けるのに、キャンパス内の「菜鸟裹裹」を利用したり、かつ中国の大学生は学生寮に泊まるのが基本となっているため、郵送物を送る際にもキャンパス内の「菜鸟裹裹」を利用したりしています。そのため、《陰陽師》と「菜鸟裹裹」は、9つの主要都市のキャンパスにオフラインの宣伝場所を設け、学生を巻き込んでいました。
以上、中国ゲームのキャラクターを用いたプロモーションについてのご紹介でした。他にも様々なプロモーション事例がありますので、「第2弾」として今後紹介していきたいと思います。気になることがありましたら、ぜひ橋本までご連絡ください。
メール:hashimoto@enjoy-japan.jp