拝啓、くらすばスタッフの皆様へ。(2023.12)
本日で今年のくらすばの営業は終了しました。まずはお疲れさまでした。昨年もまとめの記事を作成したので今年も皆さんに年末のメッセージをお届けしたいと思っています。
昨年のメッセージはこちらです。
一年ありがとうございました&お疲れ様でした
まずは今年もありがとうございました。
皆さんの日々の努力のおかげで利用者さんもほぼ定員に達して運営をすることができています。そして、スタッフの人数もこの1年間で6名から10名まで増えました。少しずつ規模が大きくなるにつれて、会社になっていっている実感をいだいています。
利用者さんの増加とともに業務量が右肩上がりで増え続けた1年だったと思います。くらすばの業務内でスタッフの負担を軽減し、利用者さんとの接する時間にゆとりをもつために、いくつかの取り組みの中止や優先度を下げることもしました。
1~2回/週の頻度で行っていた暮らりの八百屋の中止、利用者とともに行っていた買い物の時間変更、手作りおやつから既製品のおやつへ変更などへ変更してきたと思います。
それらに加え、機能訓練の記録方法の効率化、スケジュール表の改善、昼食リスト作成の改善、事務作業の効率化、物品の整理や発注方法の改善などなど挙げればきりがないですが、管理者(事業所長)を中心に日々改善活動に取り組んできました。その効果も出始めて、少しずつ日々の業務にゆとりが生まれ始めているのではないでしょうか。
本当に日々の改善を繰り返し、利用者さんの暮らしをよくしようという姿勢を皆さんが持てているからこそできていることだと思います。ここまで大切にしたい価値観を共有しながら進んでいけていることは奇跡に近いことだと認識しています。そして、利用者さんが身体や認知機能の改善が難しかったとしても、利用者さん自ら自分のできる力を発揮し、くらすばという場において貢献しようとしている景色を引き出している皆さんのケアの実践はとても尊いことだと思っています。
1つ印象に残った実践を共有したいと思います。
利用者Mさんが利用者Oさんの食事介助をしていたこと
体力がかなり低下したOさんは、なかなか昼食が進みませんでした。スタッフが一口大に切るや食事介助などケアをしていました。それを見ていたのか、MさんがOさんの食事介助をしていました。
Mさんはもともと看護師だったというのも一つに要因だったかもしれません。現状をみてMさん自身ができることを選択して行動を起こしたのだと思います。Mさん自身もくらすばに通っているのだから、角度を変えてみればケアが必要な人だとも言えます。それでも、自分のできることを考え、他者であるOさんをケアしている光景はとても和やかで素敵な空気感でした。
また、スタッフの”待つ”という行為も素晴らしかったと思います。きっと多くの施設では、利用者さんが利用者さんの食事介助をすることは「危ない」と捉えられる行為だと思います。しかし、スタッフは近くで見守り(リスク管理)ながら利用者さんの力を引き出すために”待つ”という選択をしたことがとてもよかったですし、くらすばっぽいとも思いました。
これからもスタッフ内で課題を抱え込まずに、常にコミュニケーションをとりながら、利用者のより良い暮らしを実現するために実践を繰り返していきましょう。
来年、くらすばで取り組みたいこと
一緒に作業をするの深化と発展
くらすばの事業が始まって1年7カ月が経過しました。
事業経過とともに、認知機能の低下や身体機能の低下が進んできた利用者も徐々に増えてきました。
利用開始当初よりもコミュニケーションに工夫が必要であったり、歩行や移乗などの身体介助スキルを要することも少しずつ増えてきたのではないでしょうか。
僕の思いとしては、くらすばに通ってきてくれるようになった限り、できるだけ長くくらすばに居ていただきたいという願いがあります。
くらすばのスタッフの思考力・実行力・人間力などケアスキルの根幹ともいえる資質がとても高く、他の施設と比較しても自信をもって素晴らしいと言えるからです。
もちろん、無理な抱え込みによって利用者・家族・スタッフに悪影響が及ぶようなことはしたくはありません。
くらすばに来ている利用者を長く受け入れるためにも、個々のスキルアップ、くらすば全体のチーム力の向上は不可欠です。
来年は特に人材育成に力を入れていきたいと思っております。
具体的には以下のようなスキル向上を目指したいと思っています。
①一つの事象に対して、複数の要因を考え、どのような未来になるかを言語化する力
②体調不良者に対するバイタルサインのアセスメントおよび急変時対応
③ケアの方針を変更するリーダーシップ向上
④認知症ケアのスキル向上(アセスメントの言語化とチームの巻き込み力)
⑤身体介助スキルの向上(歩行、立ち上がり、移乗、起居動作等)
⑥家族・ケアマネ等の関係者との相談業務能力向上
認知機能や身体機能の低下により、より難易度の高いケアを要求される利用者さんとも「一緒に作業をする」ことができるように実践力を高めていきたいと思っています。
これから、法人としていきたいこと
コンセプト(mission)は、「暮らしのリノベーション!」です。
僕は理学療法士なので、なじみのある言葉は"リハビリテーション"です。しかし、これから大事になるのは"リノベーション"だと思います。
リハビリテーションは、外傷や病気になる以前の状態の戻ることにより、その人らしさ(全人間的復権)を目指していくものです。
とても素晴らしい概念ではありますが、元の状態に戻ることが難しい対象者の人にとってはどうでしょうか...
そこで、リノベーションという言葉の方が適切な場合が多いんじゃなかろうかと現段階では考えています。
リノベーションとは再び革新をすることです。つまり、元の状態に戻らずともできることを見つけ出す希望があります。
上述した一例もまさに暮らしのリノベーションだと思うのです。どちらの利用者さんもなかなか、元の状態に戻ることが難しい方とも言えます。
しかしながら、くらすばという環境下において、一時的でもイノベーション(他者に対して役割を発揮した)を起こしていたのではないでしょうか。
そのような機会創出をまだまだ増やしていきたいです。
介護・医療分野へのインパクト!ふくし拠点をつくろう!
三原市は広島県内でも先駆けて地域医療構想が始まっています。
つまり、病床数の削減です。三原市は医療依存の強い傾向がある市町です。
何かあれば、病院へ入院したり、救急車の搬送をしてもらったりすることが起きています。介護施設の看取りや在宅看取りも少ない傾向です。
病床数の削減に加え医師の働き方改革(業務時間の削減)が進んでいけば、病院依存体質では厳しくなってくるのではないかと予想しています。
現在はまだ病院機能は豊富なため、在宅看護師が介護よりの仕事が多いのではないかと思います。しかし、病院機能が狭小化していくにつれて、在宅看護師は医療側へリソースを割かざるを得なくなります。
これからは、介護が今まで看護師が行ってきたケアの一部を担っていく必要があると考えています。
くらすばに加えて、来年は訪問介護の事業開始も控えています。
これからの未来を考えると在宅介護職の資質と人数の向上は必要不可欠であり、三原市を代表する法人となれるようにしていきたいと思っています。
また、要介護になりにくい、もしくは適切なタイミングで介護サービスを受けれるようになる地域づくりも大切です。
そこで「ふくし拠点」が大切になってきます。
今の時代、機能分化がかなり進みあらゆる分野でサービス化が加速してきました。
地域のスーパーは食品を購入するところ、会社は仕事をするところ、家は自分たちが住むところ...
しかし、一昔前は、近所の鮮魚店や八百屋はただ食品を購入するという機能以外にも、店主と話したり、お客さんとの関わりが生まれるというコミュニティ機能も一部担っていたのではないでしょうか。
会社も以前は飲み会であったり遅くまで残業することが当たり前の時代であれば、ただ仕事をするという機能以外にも同僚や部下や上司と関係性が濃くなる機会を多かったかもしれません。くらすばに来ている利用者さんの中にも今でも会社で関わりのあった人と交流をもっている人もいます。
家の構造も一昔前からは変化してきました。以前は縁側や土間を設けていた家もあったと思います。縁側や土間は自分の家の空間の一部ではあるが、他者と共有する空間でもありました。
つまり、何が言いたいかというと、機能分化が進むあまり、余白が少なくなりコミュニケーションを生む空間やきっかけが少なくなっているということです。
日本のとある調査では、困ったときに誰に頼るかという質問に対して、半数は家族と答えています。
しかしながら、すさまじいスピードで核家族化や単身世帯化が進み、家族機能も減少しており、頼る人がいなくなっていく未来がすぐそこに来ています。
頼る人が少なくなってしまうと、介護が重度化するまで気づかれなかったり、他者と関わりの頻度が減ることで認知機能・身体機能の低下も加速するかもしれません。
現実、暮らりの近隣住民は孤独死をして、何か月か気づかれなかった人もいます。周りに人が住んでいるにも関わらず...
僕はあるゆる場所に家族機能を付与していくことが大切だと考えていて、それがふくし拠点です。
何かなくても立ち寄って緩い関係性を継続してつくり、何かあったときに相談をしてもらえる機能です。
ふくし拠点の機能は、介護施設に限らず、飲食店でもいいですし、アパートでもいいかもしれません。どこでも良いので、ふくし拠点的な考え方をしている人がそこにいる場をつくっていくことが大切だと感じています。
これから立ち上げる、新拠点「まるっと」はまさにふくし拠点として機能するような場づくりを目指しています。
最後に
本当にまだまだ僕自身、学ぶことばかりで未熟なことも多々あるかと思います。
今の自分に圧倒的に足りないことは伝える力です。
どこかで、わかってくれるだろうとコミュニケーションを疎かにする傾向があります。
先日、妻にも「そういうの苦手よね...」と言われもしました。
しかし、少しずつ組織としての規模が大きくなるにつれて、僕の動きは見えにくくなり、自然と僕への不信感は募っていくことだと思います。
僕への不信感が募ることが怖いわけではなく、不信感が募った結果、利用者さんやお客さんに悪影響が及ぶことを最も危惧しています。
できる限り、僕がどのような思いを持っているのか、何を考えているのか、何をしているのかを共有することは大切だと思います。
苦手だからということで終わらせることなく、努力をしていきます。
今年一年本当にありがとうございました。
そして、これからも協力しあい、よりよい未来をつくっていきましょう。
良いお年をお迎えください。
橋本
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