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良いケアってなんだろう?
「いいケアをしましょう。」「ケアの質を高めましょう。」という言葉はよく聞くのではないでしょうか?
では、良いケアとは?と問われたときに明確に回答することはできる人はどれくらいいるのでしょう?
排泄や食事介助を適切に行えること?
適切に処置が行えること?
相手の思いを汲むこと?
メイヤロフさんはケアリングを
「最も深い意味において、他の人格の成長と自己実現を援助することである」
と定義しているらしい。
正直、何を言っているかわからないが、介助論の個別具体的な内容ではなくもっと抽象的な概念であることがわかる。
僕たちが相手にする対象者の多くは認知症があり、自分のことや周りのことへの理解や解釈が少しずつできなくなっていく。
自分が今トイレに行きたいと思っているのか?
自分がお腹がすいてご飯を食べたいと思っているのか?
眠たいと思っているのか?
何かの事象に対してイライラしている感覚をもっているのか?
いろんなことが分からない。
分からない中でも、対象となる人がいったい何をしようとしているのか?
例えば、僕たちは認知症のある方々に対して、何を表現したらいいか分からず、イライラされたり、ソワソワしたりしていわゆる徘徊という行動から原因を考え、対象者自身が気づいていない欲求をくみ取ることをしている。
つまり、対象者の声にならない声(表現したくても難しい)に対して、僕たちはその人の「自己実現」を支援しているともいえるのではなかろうか。
これがケアをするということなのかもしれない。
だとすると、良いケアとは何なのだろうか。
僕は良いケアの"良い"とは
「対象者(あらゆるステークホルダー)のニーズを先回した配慮及び行動がとれるか否か。」であり、自己実現のケアリングに大きな影響を与えると思っている。
対象者のニーズを把握し適切な行動を起こせるか?ということだと思う。
対象者のニーズを把握するために重要なのは、今の事象がなぜ起こっているのか?と原因の因数分解や因果関係を整理するロジカルシンキングである。
もう一つは情報量だ。原因を考えるときに対象者に応じた個別性のある情報をもてているかが質の高い原因分析にも関わる。
適切な行動に関しては、原因分析と因果関係の整理ができていれば8割は終わっていると思っても良いと思う。そこまでできていれば、きっと良い打ち手は見えている。
良いケアとはお気持ちではなく、しっかりとしたスキルなのだと思う。