ALTA-E-4.3.1 (K2) TASの保守性を支える要素や、TASの保守性に影響を与える要素について理解する
保守の種類
予防保守: TASの機能を拡張したり、新しいシステムに対応させたりするための変更です。例えば、より多くのテストタイプに対応できるようにしたり、複数のバージョンのシステムでテストできるようにしたりします。
修正保守: TASで発生した故障や不具合を修正するための変更です。システムの安定稼働を維持するために不可欠な作業です。
完成度を高めるための保守: TASの性能、使いやすさ、信頼性などを向上させるための変更です。非機能的な問題を修正したり、システム全体のパフォーマンスを最適化したりします。
適応保守: 新しいソフトウェアや規制に対応するために、TASを変更する作業です。例えば、新しいオペレーティングシステムに対応したり、法規制の変更に合わせた機能を追加したりします。
保守のスコープ
保守は、TASのあらゆる部分に影響を与える可能性のある、非常に広範囲なプロセスです。この作業の範囲は、以下の要素によって大きく左右されます。
TASの規模と複雑さ: システムが大きくて複雑であれば、保守作業もより広範囲かつ複雑になる傾向があります。
変更の規模: 小さな修正と大規模な機能追加では、影響範囲が大きく異なります。
変更のリスク: 変更によって新たな問題が発生する可能性が高いほど、慎重な検証が必要となり、結果として保守作業の範囲が広がる可能性があります。
保守のアプローチ
TASの導入手順および使用方法は必ず明確化かつ文書化する
サードパーティへの依存性、欠点、既知の問題は必ず文書化する
コンポーネント を簡単に交換できるよう、TASは必ず 部品化 する
TASは必ず移行可能な環境か、そのコンポーネントが移行可能な環境で実行する
TASは必ずTAF自体からテストスクリプトを分離する
TASの変更によってテスト環境が悪影響を受けないように、必ず開発環境から分離した状態でTASを実行する
TASおよび環境、テストスイート、テストウェア は、必ず構成管理の対象とする
サードパーティコンポーネントやその他ライブラリの保守
文書化と構成管理: TASが使用するサードパーティコンポーネントは、すべて文書化し、構成管理の対象とする。
変更・修正計画: 外部コンポーネントの変更が必要になった場合の計画を立て、関係者の連絡先や問題報告先を明確にする。
ライセンス: サードパーティコンポーネントのライセンスを文書化し、変更可能な範囲を確認する。
更新・新バージョン: サードパーティコンポーネントの最新情報を取得し、定期的に更新を行う。
命名規約やその他の規約の留意点
テストスイートやTASの可読性、保守性を向上させ、開発効率を高める。また、新しい人員がテスト自動化プロジェクトに参画しやすくなる。
変数、ファイル、テストシナリオ、キーワード、キーワードパラメータ、テスト実行の前提条件、事後処理、テストデータ、テスト環境、テスト実行ステータス、実行結果記録、レポートなどを定義する。
テスト自動化プロジェクト開始時に命名規約などを決定し、文書化する。
文書化の留意点
テストシナリオとTASの両方に十分な最新の文書が必要である。
設計、コンポーネント、サードパーティ製のコンポーネントとの統合、依存性、導入手順については、 誰かが文書化する必要がある。
開発プロセスに文書作成を組み込み、文書の作成または更新が行われるまでは、タスクは完了したとはみなされない。
トレーニング教材の留意点
TASの文書をTASのトレーニング教材のベースとして使用できる。
トレーニング教材には、TASの機能仕様、設計およびアーキテクチャ、導入および保守、使用方法、実例や練習問題、使い方に関するヒントなどを含める。
保守には、最初の作成と定期的な見直しが含まれる。
練習問題
Question #22 (1 point)
【出典元】
ISTQBテスト技術者資格制度
Advanced Level シラバス
テスト自動化エンジニア
Version2016.J01