TA-3.3.1 (K2)経験ベースのテスト技法の原則と、ブラックボックステスト技法 および欠陥ベースのテスト技法と比較した場合の長所と短所を説明する。
経験ベースのテスト技法
原則
経験ベースのテスト技法は、テスト担当者のスキルと直感、および類似のアプリケーションや技術での経験を活用することで、欠陥検出を向上させるテスト技法です。計画段階から実行、評価まで、テスト担当者の経験に基づいて柔軟に行われます。
長所
ドキュメント不足への対応力: システムに関するドキュメントが不足している場合でも、 有効なテストを実施できます。
時間制約への対応力: テスト時間が厳しく制限されている場合でも、効率的にテストを実 施できます。
専門知識の活用: ドメインや技術に関する専門知識をテストに活かすことができ、開発者 や顧客からのフィードバックも取り込みやすい。
早期フィードバック: 開発者へ早期にフィードバックを提供することで、開発プロセスの 改善に貢献できます。
チームの理解促進: テスト対象ソフトウェアに対するチーム全体の理解を深めることがで きます。
運用上の故障分析: 運用上の故障を効果的に分析し、再発防止に役立てることができます。
多様なテスト技法の適用: 経験ベースのテスト技法は、他のテスト技法と組み合わせて使 用することができます。
短所
詳細なドキュメントへの不適合: 詳細なテストドキュメントが必要となるシステムには不 適切な場合があります。
再現性の低さ: テストケースの再現性が低く、テスト結果の比較が難しい場合があります。
カバレッジ評価の困難さ: テストカバレッジを精密に評価することが困難です。
自動化への不適合: テストケースがその後の自動化にあまり適していない場合があります。
比較
エラー推測
概要
エラー推測技法は、テストアナリストが経験に基づいてコード設計・開発時に発生した可能性のある潜在的なエラーを推測し、テストケースを作成する技法です。
適用
主に統合テストおよびシステムテストで使用
すべてのテストレベルで使用可能
他の技法と組み合わせて使用
既存のテストケースの範囲を拡大
新規ソフトウェアリリース前の一般的な欠陥テスト
制限/注意事項
カバレッジ評価が困難
テスト担当者の能力・経験に大きく依存
文書化されないことが多く、再現性が低い
作成者のみ理解できるテストケース
カバレッジ
欠陥分類法を使用:テスト済みの分類項目数 / 分類項目総数
欠陥分類法を使用しない:テスト担当者の経験・知識・時間によって制限
問題のある領域を対象にする能力によって検出できる欠陥量が異なる
検出できる欠陥の種類
特定の欠陥分類法で定義されている欠陥
テストアナリストが推測する欠陥
ブラックボックステストでは検出されないことがある欠陥
チェックリストベースドテスト
概要
チェックリストベースドテストは、事前に作成されたチェックリストに基づいてテストを実施する技法です。経験豊富なテストアナリストが、過去の経験や標準に基づいてチェックリストを作成します。
適用
テスト対象のソフトウェアまたはチェックリストでカバーされる領域に精通した経験豊 富なテストチームがいるプロジェクト
ソフトウェアのリリースおよび変更が頻繁に行われるプロジェクト
すべてのテストレベル、リグレッションテスト、スモークテスト
制限/注意事項
テスト結果の再現性に影響を与える可能性がある
達成するカバレッジの度合いに関して、過信をもたらすこともある
時間とともにチェックリスト項目が増加する傾向がある
テスト対象のソフトウェアの重要な側面を確実にカバーするように、メンテナンスを行 う必要がある
カバレッジ
チェック済みのチェックリストアイテムの数をチェックリストアイテムの総数で割って 算出
結果は、チェックリストを実行するテストアナリストによって異なる可能性がある
検出できる欠陥の種類
テスト時のデータ、手順の順序、全般的なワークフローなどが異なることにより、故障 をもたらす欠陥
練習問題
Question #21 (1 Point)
【出典元】
ISTQBテスト技術者資格制度
Advanced Level シラバス日本語版
テストアナリスト
Version 3.1.1.J03