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デザイナーがデュアルトラックアジャイルを1年経験してみての気づき

こんにちは。atama plusでデザイナーをしている税所です。
今回はデュアルトラックアジャイルをやってみての気づきを書きます。

デュアルトラックアジャイル自体は、『INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント』でも述べられていたり、『正しいものを正しくつくる』でも近しい概念が述べられていたりして、注目度が上がってきているように感じています。

atama plusでは、私が入社する前からデュアルトラックアジャイルを行っておりました。当時はその進め方を知らず、採用面接で「デュ、デュアル・・・!?」となりましたが、内容をきいて「理想的だなあ」「でも、ちゃんと回せるのかな?」と思っておりました。

なにはともあれ、「まずはトライしてみよう!」とやってみての気付きをつらつらと書いていこうと思います。

入社してから1年、デュアルトラックでの取り組みを経験して、解像度を高めてチームで共通理解をもって価値あるプロダクトを作っていくためのよい方法だと感じています。

デュアルトラックアジャイルとは?

まず、デュアルトラックアジャイルについて簡単に紹介します。(詳しくは、各種書籍をご覧ください。)

デュアルトラックアジャイルは、その名の通り2つのトラックが存在するアジャイルの手法です。

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ディスカバリーとデリバリーの2種類のフェーズがあります。
それぞれがどういう役割かを『LEAN UX』より抜粋します。

”ディスカバリー・ユニットは、プロダクトやサービスの可能性のディスカバリ、実験の実施、ユーザーとのインタラクションを通じて、どのアイディアがさらなる探求に値するのか、そうでないのかを検討します。”
”デリバリー・ユニットは、ディスカバリからデリバリー段階に進んだアイディアのみを開発します。”

わたしはディスカバリーは、不確実性の高い状態から解像度を高めて、わからないことをなくしていく価値探索と発見の取り組みで、それによりデリバリーで、より価値が高いものを届けることができる、そんな枠組みと捉えています。

atama plusでのデュアルトラックアジャイル

前提としてatama plus では、プロダクトオーナー・デザイナー・エンジニア・QA で1つのスクラムチームを構成しています。このチームの単位でデュアルトラックアジャイルを1週間を1スプリントとして回しています。

役割としては、プロダクトオーナーが優先順位付けやチーム間の調整、デザイナーはUXリサーチ、UXデザイン、UIデザインの領域、エンジニアがフロントとバックエンドの実装、QAがテストを主に担っています。

ディスカバリーフェーズ
それでは、まずディスカバリーのフェーズを見ていきましょう。

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このフェーズでは、まずPOがペインやゲイン、またそれらをもとにしたアイデアや仮説を集約して検討していくものの優先順位をつけます。その優先順位をもとに優先度の高いチケットから、POとデザイナーでリファインメント(プロダクトバックログに含まれるアイテムに対して、詳細の追加、見積り、並び替えをすること)していきます。

リファインメントでは、「そもそも調査が必要なのか」「そもそもなにがわかっていないのか」「なぜこの優先順位なのか」などの議論がなされ、ディスカバリープロセスに進めるものについては、ディスカバリーのバックログに積みます。

その後、プランニングでリファインメントされたチケットをスプリントに積み、実行していきます。ディスカバリーのフェーズでは、主に不確実性の高いことのリサーチや検証、プロトタイピング、それによってでてきた課題の構造化などを実行します。

スプリントの終わりにはエンジニア・QAメンバー含めたチームでのレビューを週1で行います。デリバリーフェーズに進めそうなものはデリバリーに進み、まだわからないことが多いもので継続調査の価値があるものは必要な調査が続行されます。つくる必要がないとわかったものについてはデリバリーにはわたらない意思決定をします。

デリバリーフェーズ

次にデリバリーフェーズです。

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デリバリーフェーズは、プロダクトを開発するフェーズになります。ここでは、ソリューションの具体化や詳細化、実装、テストをしてプロダクトを作り上げていきます。このフェーズは通常のアジャイル開発のサイクルをイメージしてもらえれば、大きく変わりはないかと思います。

これら2つのフェーズをスプリントごとに進めていきます。ディスカバリーで先行して調査などをして、数スプリント後にデリバリーで実装をしていくということが多いです。

デュアルトラックをやってみてよかったこと

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3つあげましたが、いずれも不確実なものから、価値あるもの探索・発見し、チームで価値を届けていくうえで大事なことだと感じています。

1.不確実なものをどうしていくかが考えやすい

ディスカバリーフェーズがあることで、不確実なものに対してどうしていくのか、どう解像度をあげていくのかの観点での議論をチームみんなが意識的にすることができるなと感じています。価値のないものをつくるリスクを意識的に減らしていくことができます。

2.背景への共通理解が作りやすい

ディスカバリーのレビューでは、リサーチ途中の進捗もチームに共有するので、施策の課題や背景からの共通理解をチームで持つことができます。

効果として、実装する段階で背景理解がなされているのでスムーズに進みやすい、かつ目的に見合ったよりよいソリューションをチームで考えやすいと実感しています。

3.合意してデリバリーに進んでいける

ディスカバリーレビューの場は、「なにをつくるか」「なにをつくらないか」「つくるならなにを試したいのか」などのチームとしての合意の場でもあります。プロセスの上でも曖昧さがなく、ディスカバリー結果をふまえてどうしていくのかを議論しチームとして合意をして、デリバリーに進むことができて良いなと感じています。

課題

ディスカバリーからデリバリーに決まったものを受け渡すといった、「ミニウォーターフォール」状態になってしまうことがあり、解決すべく取り組んでいます。

具体的には、ディスカバリーは主にデザイナーが進めており、デリバリーに進むにあたり、デザイナーからエンジニアに受け渡しているように感じられるといったことがスプリントの振り返りででてきました。週1回のレビューの場が、チケット内容を初めてエンジニアやQAが知り、フィードバックをする場になっていたためです。今では様々な改善の取り組みが動いています。

そもそも大切なことは目的に対する共通理解を持ち、よりよい価値をチームとしてすばやく届けていくことです。そのためにもディスカバリー、デリバリー共にもっとエンジニアとデザイナーで協力しながら進めていくことができるよねということを改めてチームで合意しました。

例えば、レビューの頻度は週1だけど、レビューまでにもっと細かに相談しながらすすめる、ディスカバリーリファインメントにエンジニアの代表者が参加してみる、プランニング内容のサマリを朝会で共有するなど改善を重ねています。

また、施策単位でも、ある新機能ではディスカバリーフェーズでの検証にデザイナーだけでなくチームのエンジニアも書記として参加して進めました。検証に参加しているので共通理解もすぐでき、具体的なソリューションが技術的な実現性も加味したうえで、すぐにすり合わせられ、とてもスムーズによい機能をリリースすることができました。

このように、試行錯誤しながら、デュアルトラックのプラクティスを積んでいきます!

今後とも宜しくお願いします。


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