リアポを終えて。


9回目のリアポが終わりました

今年も非常にレベルが高く素晴らしい作品ばかりでした


数年前なら目立っていた作品や

入賞できた作品も、今のハイレベルでは入賞することも難しくなっています

毎年、毎年 皆さんが研鑽されてきた結果だと思います。


今回、入賞された作品の中から

いくつかをピックアップして、どうして入賞としたのか

その良い所や、改善すべきところを語りたいと思います


◎まずは、あちゃさんの作品

こちらは水滴を通してのポートレートという独自のジャンルを確立しています

独自のジャンルを完成し、そしてそれを続けて研鑽すること

それは「作家」として非常に大切な事と言えるでしょう


その作家性や技術に関しては全く問題がありません


では、なぜ「入賞」で「優秀賞」ではないのか?


答えは「展示」です


リアポは、ネットで応募する写真コンクールではありません

あくまで「写真展」です


写真展はネットで見る写真や本で見れるものと一緒ではダメです



写真展は写真展で実際に見ないとわからない

その「価値」が無いといけない


そう考えています


今回、入賞に留まった方々の多くは、展示に対して少し足りない部分があった方や余計な必要ない作品を加えてバランスを崩した方が多かったように感じます


アチャさんに関して言えば、少し「見にくさ」があったかと思います

水滴の中身と背景が同色系になり、見分けが付きにくい

そして、水滴の不思議さが伝わりにくい展示だったと思います


なので、後半にアチャさんが自分で行ったような作品を上下逆にする

という方法も最初からしていたら、また評価も変わったかもしれません


東京では、更に研鑽した作品を見せてくださると信じています



次に「HASEO賞」を受賞したシルクさん


HASEO賞は、簡単に言うと「作りこみ賞」です

他の先生方との差をつけるため

私はこの賞を「作りこみ」についての賞と割り切っています

シルクさんの作品は物語性も写真の美しさもあり

作りこみとして素晴らしいのですが何よりも高評価だったのが

その「展示」です


展示の造作に加えてBOOKの展示方法が過去最高でした


作品の中に立体的に作品があると見せかけてそれがBOOKだった!


これには、やられました


私は基本的にBOOKは評価しません

見ません


審査には展示作品のみで行うというルールで評価しています

BOOK見てくれたらという言葉は展示に対しての言い訳に感じるのです


しかし

こういう方法があったかとw感心しました


当然、展示物なので評価するものとなります


アイディアと実力を兼ね備えた展示だったので、HASEO賞は文句無くシルクさんとしました



つづいて、優秀賞の中では

小林けんじ君の作品について語りたいと思います



私は彼を友人として

そして好きなフォトグラファーとして過去の作品からずっと見ていました

彼の作品の刹那的な描写や寂しげな空気感

そういったものが好きだったのですが

今回は、彼の作風がそれらを包み込んで更に上の世界に進んだように感じました

優しさに溢れているように感じました

彼のファインダーから覗く眼差しが優しくなったのかもしれません

展示も申し分無く

あの数を美しく配置し、自分の彼女を要所、要所に入れる憎い演出w


優秀賞に相応しいと判断しました




さて次は準優勝の、りなてぃの作品

こちらは「赤」の使い方が非常に素晴らしく

そして、しっかりお金をかけ「アクリル」展示にして

作品の色を損なうことなく、肌にマゼンダを乗せるでもなく

黒できちんと締めた作品


非常にハイクオリティでした


たぶん、様々な展示を自分自身で見て勉強し

自分の作品の最適解を見つけ出したのではないでしょうか??

昨年の作品と比べると、数年が経ったような技量のUPが伺えます


モデルさんも非常に良かったです

年齢も若いので更なる飛躍を望みます!



で、最後です


同じく準優勝のチカさんと、優勝のロコちゃん

この2人について語りたいと思います


正直、この2人で どちらにするか

審査員一同悩みました

票も割れました


しかし最終的にロコちゃんが優勝、チカさんが準優勝となりました


作品の実力だけでいけば

チカさんの方が上だったかもしれません

海外でのファッションポートレート

そしてヌーディなのにも関わらずエロさを全く排除したスタイリッシュな撮影

素晴らしい実力です

実際に審査員の何名かは、彼女を推していました


ただ。。。



先にも言ったとおり

リアポは「展示」です


写真展の展示としては、ロコちゃんの展示というのは作品にマッチして

素晴らしいクオリティであるといえるでしょう


最後は、写真展という拘りでロコちゃんが優勝となりました


このように審査の裏にも、審査員達の葛藤があり

そして、この素晴らしい作品達を前に審査員という立場を忘れて

作品を鑑賞させてもらったのも事実です


今回の、この手記が

今後の作品製作や展示のひとつの道しるべになればと思います


リアルポートレート 主催 HASEO


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