【宅建士】家売るねこ、実家の境界問題に巻き込まれる①
1.それは一通のLINEメッセージから始まった…
2021年6月某日
休日の昼下がり…梅雨にもかかわらずたいようくんが顔を出してくれたので洗濯を済ませた。
風がとっても気持ちいい。
ボクはやることを午前中に済ませてしまったので、お昼下がりの怠惰なゲームタイムを満喫していた。
そうしたら、おかんねこからLINEがきた。
いつもの、家族の猫の画像だろうと思ったので放っておこうとしたら、テキストが書かれていた。
おかんねこ:
あなたが使ってる裏の庭、私のなんですけど…っておとなりさんから言われたわ(^o^)
※僕たちの家のブロック塀から2メーターほど内側までお隣さんの土地ということ?らしい。
…
ちょっと言ってることがわかんないんですけど…(サンドイッチマン風に)
というか、その顔文字しかなかったの?
適切でない顔文字が使われると、事の重要性がいまいち伝わらない。
いやいや、そんなツッコミはどうでもよいけど。
唐突すぎるし、ウチの裏庭がまさかうちの庭じゃなかったなんて聞いたことがない。
ど、どういうこと…?
いろんなところに疑問符を発生させながらぼくは状況を把握する事にした。
宅建で勉強したことが役に立つなんて!😻
と素直に喜べないけど、とりあえず知識をフル活用してはなしをまとめていくことにした。
2.宅建の問題風にまとめる
甲:おかんねこ
乙:隣地の所有者おとなりさん
丙:バァバ猫株式会社(丁の親の会社)
丁:おとんねこ
・裏庭は、実は亡き祖母猫がつくったバァバ猫株式会社の土地(資材置き場)だった?
・そのあと会社が倒産してしまった。
・おかんねこ甲は、おとなりさん乙が『よいようにしてくれる』ということで境界についてははっきり追求しなかった)
・土地は言われる今日の今日まで塀の中まで自分のものだと思っていて、今の今もそこの植栽や紫陽花(と、カタツムリ)を愛でている。
・乙に言われるまで、平成18年以降、乙からは何も言われたことがなかった。
うん、これはがっつり弁護士さん案件。
宅建士の論点的には、取得時効・占有(民法162条のアレ)辺りだろうか。
平穏かつ公然と占有すること
って全然ピンとしない!と宅建の勉強当初思っていたけど、こういうことか…。
占有が主張可能かもしれないけど…法的根拠物がないおかんねこは分が悪いだろう。
知っていくうちに落とし所が変わるかもしれないし、すすめていくしかない…。
とりあえず事実確認をするために、謄本をあげる所から始めよう…。
3.いままで使ってた庭、あきらめられる…?
この章はぼくの思い出なので、本筋から脱線する。
もし境界問題について興味のある方は飛ばして
4、もし、隣地について何か言われたら
から読みすすめてほしい。
ー
ぼくは田舎の山の台地にある、自分の実家は正直好きではなかった。
自然は過剰に豊かだけども、JRの最寄り駅まで徒歩約1時間、帰り2時間弱(とんでもない坂道だから)
車を使っても、約20分。
途中横たわる川を越えるとき、そこからひんやり温度が変わるのはちょっと田舎すぎやしないかと面白く思っていた…
とてもではないが利便性良好とは言えない立地である。
裏庭には2メートルを超えるあじさいがあった(剪定しなさすぎ!)
その当時、母方のおばあちゃんちの近くに家を借りていたものだから、こちらの実家は別宅みたいになっていた。
なかなか家に帰れなくて放置していたらよっぽど居場所が良かったのかあじさいさんはすくすく育った。
花が咲く頃にはぼくの顔以上にでかくなったお花のガクの一群がだらりんとだらしなく枝垂れていた。
我が家のおばけあじさいさんとよんで親しんでいた。
ぼくはそのあじさいさんがだいすきだ。
毎年咲くのを楽しみにしていたし、咲いたら学校に持って行くのが自慢だった。
カタツムリが大量発生して面白かったし
(おかんねこはせっせと集めてカタツムリを飼っている…)
あのまわりには近所のねこの友達がいっぱいいた。
すずしいのだろう、あじさいの下にみんなたむろしていた。
帰省した時に集会に混ぜてもらうのも楽しみだった。
またあるときは、そこを最期の地と心に決めたねこもいたっけ。
その子は集会のグループではなかったけど、ぼくは彼を看取った。
彼はそこで土になりたかったかもしれないが、目をつぶったままひと鳴きもしなくなった彼をぼくは仲間として供養してあげた。
ー
あじさいが咲く季節になると実家にさいている彼女や彼や、ともだちをおもいだす。
あまりスキでなかった立地のお家だったが、あのあじさいさんや集会所が、まさか、ぼくのおうちのものじゃなかったなんて…。
もし、言い分通りかえすこととなったとして、あの場所はどうなるのだろう。
そう考え出すと、ちょっと悲しい…いや、だいぶと悲しい。
こういう抗争に私情をはさむのはよくないことだけど、おとなりさんは裏庭は渡さないと強気のようだ。
あやふやにしていたこちら側にももちろん非はあると思うけれど、
隣地売買の時に境界の確認もしていないのに、突然15年後に返せだなんて🙀
なんとか穏便に解決したいけど、裏庭の思い出(とあじさいの集会所)の執着を捨てきれないボクがいる…。
おかんねこもあんな顔文字送ってきたけど、似たような気持ちなんじゃないのだろうか。
法律的には相手が権利を主張できる立場で、正しいかもしれないけど…
ここまで『正しいこと』を受け入れにくいことがあるんだなって改めて思った。
今までの仕事上、いろんな人の争いを見てきて解決してきたけども、煮えきらない思いをそれぞれにかかえ、それをリアルに感じたのであった。
おとなりさんにもそれなりの事情があるかもしれないから、変な憶測はこの辺にしておくことにする。
4.もし、隣地について何か言われたら
もし、あなたが隣地のことで問題になった時、事実確認用に必要な書類とあつめを書いておく。
争うためにじゃなくて、お互いの良い着地点を探すためにだ。
まず土地・建物の『登記簿謄本(登記事項証明書)』を取ろう(有料:@350円くらい)。
登記簿とは(種類はいろいろあるのだが)自分の権利を証明してくれるものと思っていい。
謄本は業界の人の馴染みのある通称みたいなもので、デジタル化された昨今の正式名は登記事項証明書と言う。
弁護士や司法書士さんに頼む前に、事実関係をまず自分でまとめておくと良い。
時系列を整理するために、相手方の謄本もとっておくとなおよしです(とれます。)
ボクは不動産会社につとめていて宅建士の資格も持っているから、なんとなく立ち回りはわかるけれど、不動産と縁のない人にはなんのこっちゃと怖くなってしまうかも知らないから。
何かの時に思い出してくれたらうれしい。
案件について言ってこられたときは、はじめはいろんな想いが込み上げると思う。
土地なんて、生きていくのに必要な衣食住に関わる『住』も部分だからとくに心配にもなってしまうと思う。
そういうときこそ深呼吸して、落ち着いて資料集めと情報整理からはじめよう。
相手が勘違いしてるかもしれないし。
(よのなかには、勘違いなのに堂々と自信満々で物事を主張してくる人が一定数いることも知っておくとなおよし)
事実確認をしていくと自分が悪かったなって客観的にみれることもある。
登記簿謄本はだれでも閲覧・取ることができる。
(※業界の人は謄本を取ることを、謄本をあげる、なんて行ったりする)
①管轄の法務局に直接行って取る
(法務局は大抵17時15分で窓口が終わっちゃうので注意!)
②オンライン閲覧
(はじめの利用の場合、利用申請が必要!謄本系はpdfでおとせる)
利用時間は,平日 午前8時30分から午後9時までです。
一般財団法人民事法務協会登記情報提供センター室の電話番号は,
「0570-020-220」です。
※どちらも土日祝はやっていないので注意が必要だ。
ちなみに取得するものは、こういうもの↓
・土地・建物の謄本
・地積測量図(土地所在図)
・建物図面/平面図
ネットの画像でしらべたら見本がいっぱい出てくるよ!
法務局のほうでも教えてもらえると思う。
あと、境界問題について全国に、日本土地家屋調査士さんの団体があるので相談するのも手だよ!
5.土地の問題は『境界を曖昧にしていることでおこる』
ひょんなことで、ぼくは不動産会社のweb担当になり、宅建試験をパスして今年、はれて宅建士登録もした。
宅建をとって生計を立てたかったわけでも、不動産が好きだったわけでもない。
(あっ、会社にはとっても感謝しているよ…!)
難しいことを言われても『ぼくはねこなのでちょっと…』とはいえないので、今も不動産については勉強はしているが、ほんとはインテリアや建物の写真を撮ったりwebをつくるほうが好き。
そんなボクが今回の失敗というか、事件から学んだことは、
揉めたくないからといって利害が関わることはあいまいにしていてはいけない
ということだ。
どちらも自分に都合よく解釈してしまい、それは時を重ねて、頑なになっていく。
おたがいに『正しさ』をもっていて、それが譲れなくてこじれるのだと言うことも。
相手方とできれば話し合いで解決したいけど、まだ相手方の話もきいていないしぼくの親のことなのでぼく自身部外者感もある。
けど書いておけば同じように困ったひとがいるときに、なにかの行動をとれるかもしれないから記録として残しておくことにする。
不定期だけど、しばしお付き合いいただけたら嬉しいです。
6.土地関係の勉強したい人へ
ちょっとくらい土地のことしってないとまずいなと思っている人、宅建士を目指そうか迷っている人、今目指している人へ
今回のように法律を触りだけでも知っておかないと、向こうの言い分をそのまま鵜呑みにしてしまったり、主張しておかなければならなかったことを見逃して、損してしまう可能性がおうおうにしてある。
法律=社会的慣習ではないので、自分の主張を通そうと思ったら、法律という共通言語で話す必要があるのだ。
宅建士は日本で生きていくのにとっておいて損のない知識だと思うので、
(民法はこの国に住んでいる以上かならずお世話になる法律である)
頑張っている人をぼくは応援します!
※ただ、無理にやらなくても良いと思います。
そのためには信頼できる不動産会社かお世話になる法律職業人さんをパートナーに持っていたほうがなにかの際に力になってもらえるかもしれません。
自分で勉強してみたい人、
全く初心者!の人におすすめの本
※法律関係は必ず最新のものを選ぼうね…!
法律は都度都度ブラッシュアップされている。
図解多めです。法律用語を見ると、眠たくなってくる人におすすめの入門書。
法律ってとっかかりって大事だよね…。
いきなり難しい教科書を読んで挫折するよりも柔らか表現のやさしい本を読んで継続できる方がトータルで時間の節約になります。
資格取得までは考えてなくても、これから不動産会社に勤めるよ、将来相続して土地や建物を管理するよって人にもお勧めできる入門書です。
みんなが欲しかった! 宅建士 合格へのはじめの一歩 2022年度
上記は法律を学校の授業や実務を勉強したことのない人向けの入門書なので、ちょっと法律や実務をかじったことのある人はこちらからがおぬぬめ!↓
このテキストの途中の例題は寝起きでも答えられるくらいにしておくと、ラッキー問題で選択肢が一つ削れます(3択や2択になるのは、かなりデカい。問題を回すスピードがグングン上がるの)
もちろん網羅できてないところもあるけど、絶対落としちゃいけないとこを落とさないことに関して強いテキストなのでおおすめです。
みんなが欲しかった! 宅建士の教科書 [スマホ学習対応(例題付)] 2022年度 (みんなが欲しかった! シリーズ)
7.まとめ~境界問題になった時にまずする事3つ
① 境界の事実確認を再度する(法務局で謄本・建物図面などを取得する)
当時の記録や契約書・重要事項説明書がないか探す(メモでも良いのであるものはすべて)
ヘンにあとになって出てきて主張が覆ってもややこしいので。
② ①でgetした情報をもとに、時系列で整理(+都度勉強!)
この時に気持ちの整理をして、事実と自分の気持ちを分けておくことを忘れずに。
③ 境界争いに強い弁護士さんか、不動産屋さんに相談
様々なスタンスがあるので自分の気持ちが納得する人を選ぶとよいが、基本長引くと弁護士さんが儲かります。なるべく訴訟をさけて折り合いを付けていく(法的に合致するほうが勝つので、どっちが正しいということではないことに留意する)
アドバイスや今回のことでおすすめの解決策がある方はコメントいただけると喉を鳴らして喜びます😽
同じことで困っている人の助けにもなるかもしれないしね!
お気軽にお声がけくださると嬉しいです。
では、またにゃぁ〜!