『きく』創作日誌 Day 8:誰にも届かないとしても大声で叫ぶ
どうも。長谷川優貴(@hase0616)です。クレオパトラというお笑いコンビでネタをしたり、エンニュイという劇団を主宰して脚本演出をしたりしています。
『きく』について
「きく」は元々、2019年5月に三鷹SCOOLで公演した演目です。去年は、それを再構築し、かながわ短編演劇アワードに参加。しかし、陽性者が出てしまい出場できず。
で、今年リベンジしようと思っていたのですが、まさかの応募締め切りのど忘れで応募さえできずに終わりました(笑)なにしてんねん!
でも、僕はきりかえがはやいので、だったら出場するはずだった期間のあたりで普通に会場を借りて公演してしまおうということに至ったわけです。
この作品は大切な作品です。そして今回、最高のメンバーがそろってくれました。台本も叩き直しています。初演とも、去年のコンクール用のやつとも違う新しい「きく」が出来上がります。
今エンニュイは良い流れの中にいると思います。この公演に全力をかけて挑みます。たくさんの方に観ていただきたいです。
どのように作っていくのか、「きく」とはなんなのかなど、公演まで毎日のように創作日誌的なものを書こうと思います。
聴きすぎることによって、聞けなくなる
エンニュイメンバーの二田さんがnoteを更新していました。
二田さんとは似ている感覚があります。完全に同じなわけではないのですが共感し合えることが多い。
とにかく常にさまざまな情報が入ってきてしまうんです。
この作品も、情報がたくさん入ってきてしまう僕から見た世界を可視化したものです。僕の作る作品はこういうコミュニケーションや思考を可視化して、人を否定し肯定するみたいな作品が多いかもしれません。
今回の「きく」もそうです。
言葉の洪水に溺れる
情報がたくさん入ってきてしまう感覚は、「言葉の洪水に溺れる」ような感じかもしれない。
多くの情報や言葉によって、混乱し、うまく対処することができなくなる。
情報を整理することができず、焦燥感やストレスを感じる。そして、何が重要で何が重要でないのかを見分けることが難しくなり、決断力が低下する。
これは、主に演出をしている時になどにおきます。出演者の方は、悩んでいるだけなのかもしれないが、その表情から、疲れている人、イライラしている人など、様々な情報が入ってきて、選択できなくなり「あとで考えます」ということが多々ある。
僕は、おそらく情報を深く処理する傾向があるため、単純な情報でも深く考え込むことがあります。でも、このような状況が続くと、疲れやすくなり、うまく情報処理ができなくなることがあるのです。
なので、言葉の洪水に溺れないように、情報処理のスピードを落とす為に、飲み会では酒をたくさん飲みます。情報の量を減らし、必要な情報に集中することで、情報の混乱を回避するのです。
雑音を排除し、相手の話に集中するのが苦手です。
僕たちは、人々が常に話し、自分の言いたいことを伝えようとしている世界に住んでいます。友人との会話からSNS上の議論まで、僕たちはしばしば言葉の洪水で溺れているように感じることがあります。
「話す量を減らし、聞く量を増やす」ことが大切なのかも。
今日も、稽古を終え帰ってきて、色々と考えすぎて落ち込んだり、苛立ったりしていました。今もそうです(笑)こんな時間まで起きてるからかもしれませんが、情報処理で眠れないのです。
この感覚は、きっと伝わらないでしょう。「気にしすぎだよ」と言われてお終いです。普通の人から見たら気にしすぎなのかもしれません。でも、僕にとってはこれは普通です。通常状態です。
こうい人は存在します。そんな人たちに観てほしいです。どんな人にも当てはまるようには作っています。だから、だれしもが共感できるし楽しめる内容にはなっています。でも、どうしても僕の思考が一番濃く入ってしまうので、似た感覚の方が体験したら凄く理解できるかも。
誰かに届け
この創作日誌シリーズは、もしかしたら誰にも響いてないかもしれません。なんの反響もないし、メンバーからでさえもなにも言われません。意味がないのかもしれません。でも、ほぼ毎日朝方まで悩んで書いている気持ちは誰か一人くらいには届くかなと。で、一人でもいいから来てくれたら嬉しいなと。最悪、誰も来なくても、なにか僕の文章から響くものがあって、日々の糧にしてもらえたら、それだけでも幸せです。マジで。
僕は文章を書くのが下手ですし苦手です。SNSでの告知でも気の利いたことは書けません。ストレートなことしか言えません。だから、泥臭いかもしれませんし、ダサいのかもしれません。鼻につく人もいると思います。でも、こんなやり方しかできないんです。
でも、その分、今まで、このストレートな気持ちがnoteから伝わった人たちが会いに来てくれたり、メッセージをくれたりしました。その人たちは、僕を希望だとか言ってくれますが、僕はそういう人たちが少しでもいてくれることが、本当に本当に生きる希望です。だから、どれだけ周りに陰で馬鹿にされても発信を頑張れます。僕にとっては、陰で馬鹿にする人たちより、僕の気持ちを受け取ってくれる人の方が大切だからです。
それは、演劇でもお笑いでも、全ての僕の発信している表現で同じです。
だからエンニュイも続けられています。届けたい人がたくさんいるんです。
こういう言葉も嘘くさく見られたり、嫌悪感持たれたりするんだと思います。いつも、文章を書きながら、これを読むであろう様々な人の感情や言葉が頭の中に入ってきて、言葉の洪水に溺れそうになります。
これからも誰かに届くことを願って、書き続けます。今回は、告知を諦めたくないんです。初演は、母親が亡くなって一年くらい経って、あの時の感覚を込めた公演でした。そして、去年のかながわ短編演劇アワードでは悔しい思いをしました。僕にとってこの作品は凄く大切な作品なんです。今回、気の許せる大好きなメンバーが揃ってくれました。演劇初めてからで、一番気兼ねなく演出ができています。この熱量でこの作品をやれるのは、とりあえず今回で最後だと思います。だから悔いのないようにできることはやります。
あなたが出会いたかった表現がここにあるかもしません。出会えることをまってます。
しまった! アツくなってしまった! まだまだ創作日誌は続くのに、最終回みたくなってしまった(笑)
読んでいただきありがとうございました。
また『きく』についての創作日誌を書いていきます。
興味を少しでも持ったら、観に来てください。
きっと刺激的な体験が待っています。
ラジオ始めました。ほぼ毎日22時にアップしてます。
エンニュイperformance
『きく』公演詳細
2023年3月24日ー26日
三鷹SCOOL
〒181-0013
東京都三鷹市下連雀 3-33-6
三京ユニオンビル 5F
三鷹駅南口・中央通り直進3分、右手にある茶色いビル5階
【脚本・演出】
長谷川優貴
【出演】
市川フー、zzzpeaker、高畑陸、二田絢乃
以上エンニュイ
浦田かもめ、オツハタ、小林駿
(50音順)
【タイムテーブル】
2023年
3月24日(金) 19:00
3月25日(土) 13:00/18:00
3月26日(日) 13:00/17:00
※受付開始・開場は開演の30分前
※上演時間約80分(予定)
【スタッフ】
ドラマトゥルク:青木省二(エンニュイ)
制作・演出助手:土肥遼馬(エンニュイ/東京軟弱野菜)・四木ひかり
映像:高畑陸
主催・制作:エンニュイ
【チケット】
<券種・料金>
劇場観劇チケット(当日精算・日時指定・全席自由)(予約・当日 別価格)
・一般 前売り¥3300 当日 ¥3500
・U-25(要年齢確認証提示) ¥2800
・エンニュイはじめて割 ¥3000
※「エンニュイはじめて割」エンニュイの公演を初めてご覧になるお客様は前売り価格より300円引きでご覧いただけます。
※「エンニュイはじめて割」は当日券でのご利用はできません。
予約ページ
【エンニュイとは?】
長谷川優貴(クレオパトラ)主宰の演劇組合/演劇をする為に集まれる場所 。
名付け親は又吉直樹(ピース) 「『アンニュイ』と『エンジョイ』を足した造語であり、 物憂げな状態も含めて楽しむようなニュアンス」
2022年11月に新メンバーを加えて、組合として再スタート
長谷川からのコメント
「文字通り、誰かの話を「きく」ことを主題とする作品です。他者が話していること、そのイメージを聞き手が完璧に共有することはできない
人間は、自己が体験したことから想像することしかできない。誰かの話を聞いている最中、私たちの思考は徐々にズレていく。言葉から連想して脱線したり、集中力が切れて別のことを考えたりするそんな、「きく」感覚をそのまま体験するような上演にしました。
僕は母親が未婚の母で母子家庭でした。親戚もいなくて唯一の家族だった母が数年前に他界しました。その時に作った作品です。亡くなったばかりの時に心配してくれた方々と話をした時にズレを感じて、話を聴く時は経験などによって想像や処理のされ方が違うのだと体感しました。別々である人間に共感を期待してはいけない。共感よりも大切なものがあるということと、他人への想像力の大切さを伝えたいです」
あらすじ
「母親が癌になった」
一人の男の語りから話は始まる。
最近、言葉が溢れていて聞き取れない感覚に陥る。
「きく」ことによってその話を「背負う」。
聞いた話の足りない情報を想像で埋める。
「きく」ことの大部分は想像。
そんな「きく」ことを体験できる公演。
2019年の初演のエンニュイ第3回本公演「きく」の感想ツイートまとめ
3月の公演へ行くか迷っている方へのご参考に!
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