『きく』創作日誌 Day 10:聞くと聴くの違い
どうも。長谷川優貴(@hase0616)です。クレオパトラというお笑いコンビでネタをしたり、エンニュイという劇団を主宰して脚本演出をしたりしています。
『きく』について
「きく」は元々、2019年5月に三鷹SCOOLで公演した演目です。去年は、それを再構築し、かながわ短編演劇アワードに参加。しかし、陽性者が出てしまい出場できず。
で、今年リベンジしようと思っていたのですが、まさかの応募締め切りのど忘れで応募さえできずに終わりました(笑)なにしてんねん!
でも、僕はきりかえがはやいので、だったら出場するはずだった期間のあたりで普通に会場を借りて公演してしまおうということに至ったわけです。
この作品は大切な作品です。そして今回、最高のメンバーがそろってくれました。台本も叩き直しています。初演とも、去年のコンクール用のやつとも違う新しい「きく」が出来上がります。
今エンニュイは良い流れの中にいると思います。この公演に全力をかけて挑みます。たくさんの方に観ていただきたいです。
どのように作っていくのか、「きく」とはなんなのかなど、公演まで毎日のように創作日誌的なものを書こうと思います。
聞くと聴くの違い
「きく」ことについて、毎日考えています。ある本を読んだら興味深いことが書いてありました。
「聞く」は声が耳に入ってくること。
「聴く」は声に耳を傾けること。
「聞く」は語られていることを言葉通りに受け止めること。
「聴く」は語られていることの裏にある気持ちに触れること。
人は「聴いて」ほしいのではなく、「聞いて」ほしい。
奥にある気持ちを深読みしてほしいのではなく、言葉を受け止めて言っていることを真に受けてほしい。
心の奥底を勝手に読み取るよりも、懸命に訴えかけていることをそのまま受け取る方がずっと難しい。
このような内容が書かれていました。『きく』の内容にどんぴしゃで合っていたので、これを読んで整理されてスッキリしました。
「聞く」と「聴く」は似ているようで全く違う意味を持つ単語です。ただ単に言葉を受け取るだけでなく、相手の気持ちや背景を考慮することが「聴く」という行為です。
人々は自分の気持ちを理解してほしいと思うことがありますが、それよりもまずは言葉を受け取り、相手が何を言おうとしているのかを真に理解することが大切だと知りました。これまでの僕は、聴くことしかできていなかったかも………。
相手の気持ちを受け止めることの重要性
でも、相手の気持ちを受け止めることは簡単なことじゃないですよね。僕たちが人間である以上、相手の言葉を自分の経験や価値観で解釈してしまうから。
例えば、相手が「疲れた」と言った場合、僕たちは自分の経験や思い込みから、「仕事が忙しかったのかな」「家庭のことで悩んでいるのかな」というように自分なりの解釈をしてしまうことがあります。
しかし、本当に相手が伝えたかったことは、ただ「疲れた」という現状の身体の疲労を知ってほしかっただけなのかもしれません。相手の気持ちを受け止めるためには、自分の解釈を排除し、相手の言葉そのものに集中することなのだと思います。
「聴く」ことの方が難しいし、大切だとずっと信じていました。でも、「聞く」ことの重要さを知って凄く腑に落ちました。
改めて、台本を見直して色々と考えてみようと思います。
演劇の公演もある程度、「聞く」ことが大切なのかも。色々考えすぎずに、目の前から発せられるものをただ受け止めて感じる。そんな風に、『きく』を楽しんでもらえたら嬉しいです。
読んでいただきありがとうございました。
また『きく』についての創作日誌を書いていきます。
興味を少しでも持ったら、観に来てください。
きっと刺激的な体験が待っています。
ラジオ始めました。ほぼ毎日22時にアップしてます。
エンニュイperformance
『きく』公演詳細
2023年3月24日ー26日
三鷹SCOOL
〒181-0013
東京都三鷹市下連雀 3-33-6
三京ユニオンビル 5F
三鷹駅南口・中央通り直進3分、右手にある茶色いビル5階
【脚本・演出】
長谷川優貴
【出演】
市川フー、zzzpeaker、高畑陸、二田絢乃
以上エンニュイ
浦田かもめ、オツハタ、小林駿
(50音順)
【タイムテーブル】
2023年
3月24日(金) 19:00
3月25日(土) 13:00/18:00
3月26日(日) 13:00/17:00
※受付開始・開場は開演の30分前
※上演時間約80分(予定)
【スタッフ】
ドラマトゥルク:青木省二(エンニュイ)
制作・演出助手:土肥遼馬(エンニュイ/東京軟弱野菜)・四木ひかり
映像:高畑陸
主催・制作:エンニュイ
【チケット】
<券種・料金>
劇場観劇チケット(当日精算・日時指定・全席自由)(予約・当日 別価格)
・一般 前売り¥3300 当日 ¥3500
・U-25(要年齢確認証提示) ¥2800
・エンニュイはじめて割 ¥3000
※「エンニュイはじめて割」エンニュイの公演を初めてご覧になるお客様は前売り価格より300円引きでご覧いただけます。
※「エンニュイはじめて割」は当日券でのご利用はできません。
予約ページ
【エンニュイとは?】
長谷川優貴(クレオパトラ)主宰の演劇組合/演劇をする為に集まれる場所 。
名付け親は又吉直樹(ピース) 「『アンニュイ』と『エンジョイ』を足した造語であり、 物憂げな状態も含めて楽しむようなニュアンス」
2022年11月に新メンバーを加えて、組合として再スタート
長谷川からのコメント
「文字通り、誰かの話を「きく」ことを主題とする作品です。他者が話していること、そのイメージを聞き手が完璧に共有することはできない
人間は、自己が体験したことから想像することしかできない。誰かの話を聞いている最中、私たちの思考は徐々にズレていく。言葉から連想して脱線したり、集中力が切れて別のことを考えたりするそんな、「きく」感覚をそのまま体験するような上演にしました。
僕は母親が未婚の母で母子家庭でした。親戚もいなくて唯一の家族だった母が数年前に他界しました。その時に作った作品です。亡くなったばかりの時に心配してくれた方々と話をした時にズレを感じて、話を聴く時は経験などによって想像や処理のされ方が違うのだと体感しました。別々である人間に共感を期待してはいけない。共感よりも大切なものがあるということと、他人への想像力の大切さを伝えたいです」
あらすじ
「母親が癌になった」
一人の男の語りから話は始まる。
最近、言葉が溢れていて聞き取れない感覚に陥る。
「きく」ことによってその話を「背負う」。
聞いた話の足りない情報を想像で埋める。
「きく」ことの大部分は想像。
そんな「きく」ことを体験できる公演。
2019年の初演のエンニュイ第3回本公演「きく」の感想ツイートまとめ
3月の公演へ行くか迷っている方へのご参考に!
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