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新装版UMA大戦ククルとナギ1巻(作画 藤異秀明) 圧倒的な疾走感!
かつてコミックボンボンという雑誌が存在した。
俺の世代ではOH!Myコンブという秋元康原作のクソみたい(ちなみにこのクソは褒めてる意味)な料理漫画(真似して作ったらゲロ吐くほど不味かった、俺の菓子パン返せ! やっぱ褒めてねぇわクソだわ! 一瞬怒りに任せてOH!MYコンブで一本書こうかと思ったが買うのも読むのもダリィから却下!)、あとはSDガンダムとかロックマンのコミカライズがイメージでまぁのちに姉がジャンプを買ってくるようになってからは見向きもしなかった気がするな……
当時のボンボンはそれなりに人気あったようなイメージがある。ボンボン派かコロコロ派か、みたいな事を言い合った幼少期もあったような気がするが、よく考えると講談社と小学館は何かと似たレギュレーションでの対立がある。少年誌だとマガジン対サンデー、少女誌だとなかよしとちゃお、青年誌だとヤンマガとスピリッツ、その上の世代だとモーニングとスペリオールみたいな(集英社が入ってないぞ! 他にもあるだろ! というもっともなツッコミはすべて受け入れる!)。
だいたいそういう漫画誌売り上げみたいなものではほとんど講談社は小学館に勝っているけれど、ことボンボンコロコロ対決においては小学館に大きく差を付けられる状況だった。その辺はあんまり詳しい辺りじゃないので興味ある人は自分でググってもらうとして、多分コロコロと被らない路線を、とリニューアルを繰り返し最終的には1000ページオーバーのがっつりした漫画誌になったとのこと。1000ページって多分ガンガンレベルじゃないか? まぁ雑誌派じゃないんで細かいことはあれだけどね……
ただその路線は結果受け入れられず、2007年に廃刊になってしまうのだ。確か後継誌も無かったんじゃないかと思って調べたら月刊ライバルが後継と言われていたりいなかったり、みたいな話があるようですな(公式に否定されているとのことだけど)。結構後期にはそれなりに漫画好きに響くような作品があるような気がしたけど(あくまで俺の主観でそういう気がしただけなので、おいデブそんな作品ねぇだろあったら言ってみろみたいな苦情は一切受け付けないので秋元康に言ってくれ! あいつが全部悪い!)。てか、俺ここまで前置き長すぎじゃね?
「殺し屋1」9巻より
後期ボンボンの中で俺の目を大きく引いたのがこの「UMA大戦ククルとナギ」である。この作品の作者である藤異秀明先生は「真女神転生 デビルチルドレン」のコミカライズ版を描いていたが、こちらが一部の好事家の中で「少年誌版ベルセルク」なんて評判があったのは聞いていたので、気にはなっていた。のちに読んでみて「……なるほど!」と納得できるものだった。
(これも新装版だけれど、全般的に表紙が力強くてサイコー!)
その藤異先生の、オリジナル作品がどうやらSFボーイミーツガールと聞いて最初に思い浮かべたのは「星界の紋章」だったりしたんだが、全然違った。宇宙人が地球襲ってくる感じの、もっとシンプルな少年漫画と思いきや……?
重厚SF描写からの小学生の日常
いきなり宇宙からの重厚な生物が!
からの小学生描写! だが、ページあたりの情報量がかなり多い。
気になってた女の子にフラれた主人公ナギの前に、いかにもヤバい拘束をされた女の子登場。
妙に暴力的でヤバそうだが、多分顔が出てきたら可愛いんだろうな的な展開を想像したら、
顔見えてもちょっと怖かった……
ただ究極の完全生物兵器と形容された割に、後半はまぁまぁピーチ姫だったが……
重厚なようで軽快
意外とこんなんを人間サイズで倒す話だったりする。ククルから(口移しで)力を授けられた、変身ヒーローっぽい話だ。
ただ宇宙人はバラエティに富んでいて、デカい奴だけではなく小さくていっぱい出てきたりとかシンプルに人型の奴とかも出てくる。
あとまぁまぁ簡単に人が死ぬね!
そして異様に展開が早いのも特徴。
フツーの単行本2巻の辺りで自分からチューまでかます小学生は、流石に少年誌ではそうそうない気がするぞ! というスピード感!
に関わらず、展開も異様に早い。
ナギは力を授けられた事に微妙に戸惑いはありつつも、割とさっさと受け入れククルを守るために戦う! とあっさり受け入れた。またナギの友人3人も、ナギと関わってるために結構酷い目に合うが奴らはナギを恨む事なくむしろめちゃくちゃ応援する良い奴らだ。
(実はこれだけ新装版2巻より引用)
このアンジーというやつは、猫の物音にビビったククルに家を壊されたりしてるのにこんな事を言える人格者だ(小学生なのに!)。
謎の疾走感
この1巻はこんな感じでナギを取り巻く環境と仲間たち、ククルを狙う地球防衛軍的な人たちの事が描かれていく。2巻以降は宇宙人側にスポットが入ってくる様になって、話が物凄い疾走感を帯びてくる。最初はボンボン休刊のためにそれに合わせて急いで話を畳み掛けたのかと思っていたのだが、どうやらボンボン休刊の10ヶ月前に連載終了していたところを見ると打ち切りだったっぽいという事を知った! マジか!
という事で、話に妙な疾走感があるのは藤異先生の持ち味らしい。これは人によって評価が別れる様な気がするが、とにかくド派手な戦いの絵とこの疾走感はむしろ今の時代でこそ評価されそうな気がするけどな。多分少年誌向けに少し描写を抑えてるのは、去年刊行された「武狂争覇」1巻で確認済みだ。
最終回の最後のシーンが最高に好きなので、皆さんにもそこまで読んで頂きたい。俺の中で、最後だけは最高に好きな北斗の拳と肩を並べるレベルのカッコ良さなので!
「北斗の拳」27巻より
このククルとナギもこの後まぁまぁ荒廃した世界っぽいシーンがあるので、俺はもしかしたら荒廃した世界感が好きなのかもしれんな……
で、これを書いてたタイミングでまさかと言うか、今Amazonでククルとナギの新装版1巻の電子書籍版がどうやら15日まで無料で読めるらしい。読むしかないね!
「将太の寿司文庫版」8巻より