地雷震(作画 高橋ツトム) 本編完結から20年、続編完結から10年以上経ってんのに未だ凄まじい!
今年の「このマンガがすごい 2021」のオトコ編で「チェンソーマン」が1位になったなんて事が話題で、
派手に人が死ぬ漫画の時代の幕開けか? なんて感じのコメントを見かけたりしたんだけどそんなあなた方に朗報です、90年代〜00年代アフタヌーンは簡単に人が死ぬ漫画のオンパレードだらけよ!
「無限の住人〜幕末ノ章〜」より
無印は今手元になくてスマン……
「なるたる」より
「EDEN」より
まぁ酷い! こんな中でもああ女神様とかラブやんとかげんしけんとかのほのぼの(その辺全部ロクに読んだことないけど……)した漫画も連載してたし、寄生獣(まぁまぁ人殺し寄りだわ……)や勇午みたいな骨太系、その他にも黒田硫黄や星野之宣の重厚な漫画や「そんな奴ァいねぇ‼︎」みたいなギャグ漫画が連載しているカオスな雑誌だったアフタヌーン! 今はあんま知らんが、当時は「誰でも琴線に触れる漫画が1作品はある」なんて感じの雑誌ではあった気がする。まぁコミック雑誌ってのは概ねそういうもんかもしれんが、当時のアフタヌーンは特にな。
「波よ聞いてくれ」より
しかし沙村先生がローカルラジオの漫画を描けるような誌風だから、未だジャンルはごった返してんのかしらん。
そんな中で俺は2000年代初頭、画像出した上の3作品や「勇午」なんかを愛読していたワケね。そして読み始めた当時に、完結していたこの漫画が好きだったんで行ってみよう!
地雷震
これは現在刊行されてる1番新しい巻。多分続編出ないと思うけど……
飯田響也という新宿の刑事が、とにかく簡単に銃をぶっ放して人を殺しまくって事件解決、という当時でも警察からクレームがきそうな内容。
まぁ人の命が軽い軽い!
元警察官の漫画家、泰三子先生の「ハコヅメ」を愛読してる人なんかが見たら卒倒しますな。
「ハコヅメ」より。これもとても面白い作品だけれど、警察と講談社ということ以外ほぼ共通点がない!
ポリスマンが銃ぶっ放しまくって、なんならそのせいで話ややこしい事になってない? という回があるような気もするが。しかしなんというか、とにかく語り過ぎずカッコ良さ重視というか、ビシビシ響くモンがある漫画。
殺し屋1より先に「こんな死に方は嫌だ! ケツから銃を撃たれる!」をやってましたなそういや。
久々に読み返したんだけど、俺が1番好きな話は改めて読んでもまるで救いがなくてビビるね……
俺の一押しは15巻
上でも言った通り、俺が読んだのは2000年代の頭でこの単行本が98年発売。てことは97年頃だったにも関わらず、その後の「ネオむぎ茶事件(西鉄バスジャック事件)」を予見するような見事な内容だった。要はネット上でイキった奴がホントにやっちまった酷い犯罪、みたいなのの走りというか。
俺が忘れられないその章最後のシーン。このキャラ「小池彩」はこの章で2度目の登場であり、のちの地雷震Diabloでめちゃくちゃ活躍するとは思わなかったな。
今では「そんなん、やった奴が悪い!」ってはっきり言えるけど、当時ティーンエイジャーだった自分の心に訴えかける内容でしたな。今読むと別な胸糞感があるというか、時が経って別の感情を持ってなお面白いってスゲェ。
物語は終わらなかった延長戦 地雷震Diablo
そしてもう一丁オススメなのが、連載終了から10年近く経って描かれた続編「地雷震Diablo」。散々人を殺しまくった結果、無印では当然というか平和な最後にはならず、なんとも言えないラストを迎えたあとのこの話にもやはり救いはない! スケールはデカくなったが(元々海外編もそれなりにあったけども)、やはり暴力性は健在。絵もSIDOOH―士道―を経た後だけに、迫力が凄い。
ぜひこのシーンに辿り着くまでを読んで頂きたい!
以前読んだ高橋ツトム先生インタビューによると、この後も地雷震もう1シリーズ描く話もあったらしいが立ち消えになった模様。今のところ描く予定はないらしいが、こっちとしてはまた読みたい気持ちが強い!
近年の高橋ツトム先生作品
なんせ多作な方なので、全部は追っていないんだけど一瞬の美学というような感じのあった2000年代までとは明らかに傾向が変わってきてるなと思ったのがまずこの作品。
はぐれもの達が家族を作る話、というとらしい作品かと思いきやちょっといつもとは違うギミックが凝らされている。
最新作のこれに至ってはインポでデブなおっさんが主人公! 意外過ぎる!
「ハルロック」より
高橋ツトム先生の漫画はとっつき辛そうでそんなことは全然ないので、人死が好きな人は是非一読を!
「殺し屋1」より
以上、注釈のない画像はすべて「地雷震」「地雷震Diablo」より