不定期連載「俺が古本屋の店員だった話」2
前回の話はこちら
2005年、俺は古本屋の漫画担当の店員としてキャリアをスタートした。当時は大学4年とは言え、全然単位が残っていたり軽音楽のサークルでバンド練習してたりで大体週6、またコンビニの深夜バイトもしてたから古本屋に行ってたのは週3回夕方17時から24時まで。
正直時給を考えれば他にもっと良い仕事はあったかもしれないが、趣味と実益というか自分が興味あるモノがダイレクトに仕事に繋がるというのはとにかく面白いものだった。
わかりやすい面白さ
『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』4巻より
古本屋を始めた最初の頃はとにかく刺激的だった。俺は歳の離れた姉が2人いるお陰で、自分の世代よりちょっと上の世代の漫画を知ってたり、バンドをやってた関係で何故か当時メタルやハードロックが好きな人が店長陣には多々居たためにそれなりに話について行けたのが功を奏し、すぐに溶け込むことができた。
元々漫画が好きだったのはあったにしろ、その時点で数年やっていたコンビニ夜勤時の暇な時間に色々な漫画雑誌を読み漁ってたのもダイレクトに仕事に生きた。とにかく漫画の知識があればあるだけ古本屋の仕事に直結した。
少なからず、漫画担当の他の2人(同い年のヴィジュアル系バンドのボーカルをやってたYくんと、一個年下の1人で宅録をやってるオタクのSくん)は先輩だったがソッコーで追い越した。というか、彼らは典型的な「ダメなオタク」気質の持ち主だったからだ。これについてはいずれ話そうかな。
とにかく棚を見る
出勤したら漫画担当はまず1人はその時間までに買取をした漫画を売り場に出すものと倉庫にしまうもので仕分けし、もう1人は売り場の商品を確認し(この作業を「背取り」って言ってたけど、後年この言葉がまぁまぁ一般化して来てるのが面白いなと思う次第)倉庫にある商品を持って来て品出しを行うといった流れ。
当時はPOSで管理していないので、漫画担当はこれをやりながら棚や出版社、作者や作品を覚える。基本の仕事だがこれをキッチリ見るのがポイント。倉庫にある物なのか無いものなのか、最近コレよく売れるなとか。元々ちょいちょい行ってた店ということもあり、当時の俺はもちろんバイトしかした事がなかったのだが「楽しい仕事がある!」と思ったものだった。
「シネマこんぷれっくす!」1巻より
当時の俺は、まだそれが地獄への道だとはまだ知らなかったんだけどな!
「殺し屋1」6巻より
当時の漫画の思い出
俺が当時買った漫画で、「なるたる」という作品がある。当時から「終わり方が最悪」で一部の漫画好きの中で有名だったやつだ。
まさかこの表紙で、あんな最悪な展開が待っているとは……
当時、知る人ぞ知る鬱漫画って感じでそれなりに売れる作品ではあった。全巻揃ってて4500円くらいで余裕で売れる漫画だった。俺は社割で2000円ちょっとで購入出来たが、作者の鬼頭莫宏先生の次回作「ぼくらの」がアニメ化して大ヒットした後、絶版だった「なるたる」が古本界でとんでもないプレミア商品になる事を、俺はまだ知らないのであった。
「ワニ男爵」1巻より
次回へ続く!