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惑星のさみだれ(作画 水上悟志) 逆に聞こう、なんで皆読まないの?
古本屋で働いてた当時、知り合いに「面白い漫画教えてよ」なんて気軽に聞かれる訳よ。こっちも大抵その人の好きな漫画を3つくらい教えてもらえりゃ、それなりの回答ができそうなくらいの漫画知識人なワケ。
でもそれが「ワンピース、ナルト、ドラゴンボール」なんて言われた暁にゃ、その3つ繰り返し読んでりゃ飽きねーだろデブ! ってことになるじゃないですか(おっとデブは俺だった!)。
「ボボボーボ・ボーボボ」より
一応貼っときますよ。
そんなんあとフェアリーテールでも買えば一生読む物困んないレベルでしょ。あ、言っとくけどあくまで例で言ってるだけで今挙げた漫画が嫌いな訳じゃないですよ(ナルトは嫌いだったわごめん!)。
「三国志」より
俺が何に怒っているかと言うと、結局こっちが面白いと思ったものを提示したところで読む人など極少数であると言うことである。その人に合わせた物を勧めなければ、どんなに面白いと思ったところで無意味という事ですな。
なので俺がどんなに面白い‼︎ と思ったところでその魅力を伝えなければ皆読んでくれない訳ですよ。
とは言えこちとら、古本屋で仕事してた時には最大で4000冊くらい家に漫画があったワケよ。仕事が深夜に終わって、週に1回くらい帰りにそれより遅くまでやってる新刊本屋に立ち寄って漫画を買い込んで読む生活をして、そんだけ漫画に金を注ぎ込んでた俺がその中から「これは本気で面白い‼︎」って言ってんのに読まない理由って何よ?
と、まぁ前置きが長くなったけれども要するに本日の漫画はこちら!
惑星のさみだれ
ヤングキングアワーズ2005年から2010年まで連載されていた、現代ファンタジックボーイミーツガール。ピッタリ全10巻で完結。個人的には古本屋の仕事始めたくらいの時に連載始まって、辞めた辺りで連載終了したのでなんとなくそれも思い入れにあるなぁ。はいそこのあなた知らんがなって感じですね!
「あそびあそばせ」より
作者の水上悟志先生はですね、ハッキリ言いますと天才ですね。この時期にもう一つ「戦国妖狐」という歴史ファンタジーを描き、さみだれ終了後には現代版火の鳥とでも言うべき大傑作「スピリットサークル」を描いたりしてるんで、控えめに言っても天才です。
それらについてもあーだこーだ言いたいので、ここはそれらをグッと飲み込んで話を戻しますよ。
以上第1話の抜粋ですが、ある日突然デカいトカゲが見えるようになった大学生の雨宮夕日くんが、大学生らしい冷めた物言いでトカゲの要求を拒否。しかし敵に襲われ殺されそうになったところで、
パンチラ女子こと朝比奈さみだれがワンパンで助けてくれましたとさ!
1話と2話から雑に抜粋。空に浮かぶハンマーに地球を壊されるくらいなら、こっちでぶっ壊してやるとそういう話。お互い別のベクトルで地球ぶっ壊したいとの思いがここで合致(その理由はまぁまぁ暗かったりする)。
とまぁここまでだと電撃とか角川とかその他ラノベにいくらでも転がってそうなセカイ系じゃない? 感は確かにある……気がするのだが、稀代のストーリーテラーであるところの水上先生にかかればこれが群像劇かつとんでもなく泣かされる話になるから不思議だ。
実はかなり友情・努力・勝利の話
この主人公であるところの夕日、斜に構えたタイプのメガネキャラだけど、実のところかなりジャンプ的な感覚を持った主人公。それなりにラッキースケベがあったりモテたりする辺りが共感できんが、基本例の3要素を持ってやがる。過去が暗いけど。
実際のところ、夕日とさみだれを中心に話は展開するようでその後は姫と10人程度の仲間たちとの群像劇になる(「10人程度」という言い方がかなり重要)。
この8巻の表紙なんかはここまで読み進めていれば本当に壮観である‼︎
「鬼滅の刃」より
急に仲間が増えるパートがあったりして、基本的に駆け足なストーリーなのは正直否めないかもしれない。でも、とにかく熱い! 8巻の辺りでは仲間全員好きになってる。皆それぞれの生活があり、それぞれのバックグラウンドがあり、それぞれに鍛錬をしてきた。当たり前っちゃ当たり前だが、それぞれにドラマがある。彼らがどんな結末に辿り着くのか、はっきり申し上げて最高なので是非読んで頂きたい。「絵柄が好きじゃない」とか言ってる人、ただ損してるだけだから!かなりの数の漫画を読んできた元古本屋の店員が屈指に面白いと言っている作品なので、後悔はさせませんよと申し上げておこう。ちなみに冒頭で述べた「極少数」の俺の言うことを信じて読んでくれた人達で、つまらなかったとか合わなかったという人は今のところゼロだからね‼︎
「ゴハンスキー」より
水上悟志作品が評価されない世界の方が間違っている
さみだれを読んでいた当時から水上悟志先生はその内世間に見つかって売れていくのだろうなぁと思っていたのだが、それから10年経っても「知る人ぞ知る」漫画家である事が納得いってない。何故ならば彼の連載漫画はすべてが面白いからだ。
なのに、メディアミックスされる作品もない。強いて言うなら現在ヤングキングアワーズで連載している「プラネット・ウィズ」がアニメになっているが、それはアニメが先にあっての漫画なのでちょっと意味合いが違う(興味ある人は調べて下され)。また水上作品の中でも世界観がやや難しめ(ロボットアニメっぽいとこもあって)で、取っ付きにくさがあるかなぁ。内容は当然面白いけど。
なのでこれからも水上悟志先生を微力ながら応援しようと思っている次第なので、よろしくどーぞ‼︎
ちなみに、水上悟志先生で俺が1番面白いと思っているのは「スピリットサークル」
これなんかもう絵柄に反してめちゃくちゃ重厚なストーリーなんだから。絶対読んで欲しいわー。
「美味しんぼ」より。いいから富井副部長も読んで!
ここまで注釈のない画像はすべて「惑星のさみだれ」より
2022年1月追記 なんと連載終了12年の月日を経てアニメ化決定‼︎
個人的に好きな作品がメディアミックスされる事が必ずしも良いことだとは思わないんだけど(あんま変に改変されたりハンパなところで終わったりして、初見の人が漫画まで辿り着かない可能性がありそうだし)、コレはマジで期待してる‼︎ ようやく巡ってきた水上悟志先生が世の中に知られる大チャンス、皆様是非ともお願いします‼︎
お願いだからここまでやって‼︎ お願いします‼︎
そもそも俺がnoteを始めた理由の一つが水上悟志先生を世の中に知ってもらうためというのもかなりあってね、そのプレッシャーが無駄にかかり過ぎて俺史上No. 1漫画「スピリットサークル」の記事が未だ書けてないのがどうしようもないんだけど……