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叱らない猫育てだにゃ。

我が家にやってきたとき、2匹の猫たちは生後半年、避妊も去勢も済んでいたが、大人にはなりきっておらず、いたずら盛りだった。

ゴミ箱のふたを開けてゴミを漁り、シンクの洗い桶に溜まった水を飲み、ソファの手すりで爪を研ぎ、花瓶を落として割って、消しゴムをサッカーボール代わりにし、毛糸玉にこんがらがった。

こら!と大きな声を出したくなることもしばしばだったが、怒っても仕方がない。だって、彼らは猫なのだ。第一、こうした猫たちによる迷惑行為をいたずらだと思うのは、人間の勝手というものだろう。猫たちはただ猫らしく生きているだけなのだから。

好きにしてくれていいのだけれど、彼らの健康を害する恐れがある行為については、慎んでいただきたい、といったところが、とるべき態度かと思われた。

そこで参考にしたのは、「叱らない子育て」だ。当時、わたしが働いていた出版社では何冊も育児本を出版していて、ちょうど出たばかりの育児本をぱらぱらと見ていたときに、これだ!と思った。

要は、子どもは子どもらしくしているだけなのだから、やめてほしい行為があった場合、子どもがしないように、こちらが先回りすればいいといった内容。

これの難しいところは、正解がないところ。何をすれば、子どもを叱らずに、つまり、やらないでほしいことをやらないでいてもらえるのか、自分で考えなければならない。

でもね、わたしはがんばったよ。

まずはゴミ箱。猫が開けられないくらい重いふたのゴミ箱に変えた。それからシンク。ついつい洗い桶に食べたあとの食器を浸けたまま放置しがちだったけれど、都度、洗うようにし、洗い桶を処分した。花瓶は猫の手が届かないところに移動。

あれもこれもダメダメ言っていると、彼らもストレスがたまるだろうから、消しゴムはストックを、毛糸玉は猫が遊ぶ分を用意し、いたずらする余地を残した。

そうして叱らない猫育てを実践し、共に暮らすようになって6年。ソファもふすまもぼろぼろだし、消しゴムは相変わらず行方不明だけれど、叱らない猫育てのおかげか、彼らは猫らしく生きている。猫飼いの幸せ冥利に尽きるというものだろう。

猫たちとストレスのない暮らしを作るうえで、育児の実用書にはほかにも助けられたことがある。その話はまた今度。

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猫のストレス解消には、新聞紙がいいみたい。

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