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2024年報酬改定について -放課後デイ-
2024年4月からの報酬改定の内容が固まりました。放課後等デイサービスを取り巻く加算などについて改定内容を書き留めておこうと思います。
児童指導員等加配加算の変更
児童指導員等加配加算について、配置形態(常勤・非常勤等)や経験年数に応じて報酬単価が変動する建て付けになりました。現行では理学療法士等を配置することで187単位/日でしたが、常勤専従・経験5年以上の児童指導員を配置することで187単位/日となっています。
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専門的支援加算・特別支援加算の変更
専門的支援加算と特別支援加算は統合され、専門的な支援を提供する体制加算と、専門人材による個別・集中的な支援の計画的に実施する実施加算の2段階で評価されることになりました。現行では理学療法士等を配置することで187単位/日だったものが、123単位/日に減算されたことになります。実施加算は、原則月4回まで、利用日数等に応じて最大6回まで1回につき150単位がつきますが、加算としては取りにくくなったと考えられます。
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関係機関連携加算の拡充
関係機関連携加算は次のように拡充されました。
(Ⅰ)250単位/回(月1回まで)保育所や学校等と連携し個別支援計画を作成等
(Ⅱ)200単位/回(月1回まで)保育所や学校等とⅠ以外で情報連携
(Ⅲ)150単位/回(月1回まで)児童相談所、医療機関等と情報連携
(Ⅳ)200単位/回(月1回まで)就学先・就職先と連絡調整
事業所間連携加算の新設
新たに事業所間連携加算が新設されました。セルフプランで複数事業所を併用する児について、事業所間で連携し、こどもの状態や支援状況の共有等の情報連携を行った場合に評価されます。
(Ⅰ)(中核となる事業所)500単位/回(月1回まで)
(Ⅱ)(連携する事業所)150単位/回(月1回まで)
(Ⅰ)は会議開催等による事業所間情報連携、家族への相談援助や自治体との情報連携等を実施するもの、(Ⅱ)は情報連携に参画、事業所内で情報を共有し支援に反映させるものです。中核となる事業所とは市町村から中核拠点型として指定された児童発達支援センターや、市町村から中核強化事業所として指定された放課後等デイサービスです。
支援ニーズの高い児への加算
強度行動障害児支援加算、個別サポート加算(Ⅰ)(Ⅱ)、人工内耳装用児支援加算はともに拡充されました。
視覚・聴覚・言語機能に重度の障害のある児に対して、意思疎通に関して専門性を有する人材を配置して支援を行った場合を評価される視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算(100単位/日)、不登校児童に対して、通常の発達支援に加えて、学校との連携を図りながら支援を行った場合に評価される個別サポート加算(Ⅲ)が新設されました。
これらの加算は児によりニーズが異なるため、流動的となりますが、児のニーズを把握し、保護者の理解を得た上で算定していくことが欠かせません。一つ一つの加算は大きなものではありませんが、児の支援となるものであれば、しっかり算定していきたいものです。
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家庭連携加算・事業所内相談支援加算が家族支援加算に
家庭連携加算(居宅への訪問による相談援助)と事業所内相談支援加算(事業所内での相談援助)は統合され家族支援加算と名称変更されました。オンラインによる相談援助を含め、個別とグループでの支援に整理して評価されます。きょうだいも相談援助等の対象であることが明確化されました。
また、家族が支援場面等を通じて、こどもの特性や、特性を踏まえたこどもへの関わり方等を学ぶことができる機会を提供した場合に評価される子育てサポート加算が新設されました。
オンラインでの家族支援が導入されるなど、家族への相談援助が拡充されますので、経営的観点からもしっかりおさえていきたいところです。報酬の確保という観点ももちろん大事ですが、家族を支えることは大切な放課後等デイサービスの役割ですので、積極的に保護者にアプローチすべきだと考えます。
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保育所等訪問支援の拡充
保育所等への支援を行いながら併行通園や保育所等への移行を推進するなど、インクルージョンの取組を推進し、障害の有無に関わらず全てのこどもが共に育つ環境整備が進められています。
保育・教育等移行支援加算について、保育所等への移行前の移行に向けた取組等についても評価されることとなり拡充されました。
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前述しましたが、訪問先施設に加えて、利用児童の支援に関わる医療機関や児童相談所等の関係機関と連携して個別支援計画の作成やケース会議等を実施した場合に関係機関連携加算(150単位/回、月1回まで)がつきます。
訪問支援員特別加算については、経験のある訪問支援員への評価が拡充されます。
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訪問支援員特別加算の対象となる訪問支援員を含む、職種の異なる複数人で連携して訪問支援を行った場合に算定される多職種連携支援加算(200単位/回、月1回まで)、訪問支援員特別加算の対象となる訪問支援員を配置し、支援したときに算定されるケアニーズ対応加算(120単位/日)、実践研修修了者を配置し、強度行動障害を有する児(児基準20点以上)に対して、支援計画を作成し、基礎研修又は実践研修修了者が支援したときに算定される強度行動障害児支援加算(200単位/日)が新設されています。
前述した家庭支援加算も含めて訪問支援に関する加算がかなり拡充されています。閉ざされた空間である放課後等デイサービスではなく、保育園や学校、今後は児童館や学童保育などへの訪問も視野に入ってくると考えられます。
最後に
事業所により事情は異なると思いますが、当社では今回の改定により、現状のまま運営していたのでは収益は下がると考えています。そこを補填するのはこれらの加算であることは間違いありません。
子どもたちや保護者のニーズあってのことですが、これらの加算の対象となる支援は子どもたちや保護者にとってプラスになるものだと考えています。ですから、職員の処遇改善や支援の質向上の原資を確保するためにも積極的に保護者や関係機関に提案し、取り組んでいきたいと考えています。