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呪文
少しずつ、少しずつ陽がのびてきた。
ついこの間の日記で17時で闇夜、
などと書いていたと思ったら、今日は闇ではなく
17時頃でも陽の気配がまだ少し残っている。
先日降った雪は場所によってはまだ解けずに氷の塊となって、
寒さは厳しさを増す一方。
それでも陽の光は春への兆しを思わせる。
そんなことからも世界は陰と陽でできているのだなぁと気づかされる。
昨夜、さて寝ようと思ったら、何があったわけでもないのに
急にイライラと不安感のミックス状態に襲われて
眠れなくなってしまった。
いつもは布団に入ればのび太のごとく「3,2,1, ZZZZZ」
と、寝つきがいいのにどうも気持ちが上ずって落ち着かない。
そんなことはなかなか無いので余計に焦って目が冴えてしまう。
悪いとは思ったが、そのことをかすかに寝息を立てていた
夫に訴えてみたところ、はっきりした応えが返ってきたので
声をかけておいて何だがびっくりした。
なんだ、起きていたのか…。
「そういうときはね、イライラを鎮める呪文があるから
教えてあげるよ」
そんな呪文を知っているだなんて初耳だ。
ネットか何かで調べたのか?それとも誰かに聞いたのだろうか?
などとあれこれ疑問が頭に浮かんだが、そんなことよりも
イライラが鎮まるならその呪文を早く教えて欲しい。
質問するのはやめにして、とにかく
このザワザワした状態を落ち着かせたい一心で
黙って「呪文」とやらが唱えられるのを待っていた。
「パンダ、子パンダ、薮の中」
「パンダ、子パンダ、薮の中」
「パンダ、子パンダ、薮の中」
夫は笑いもせず大真面目である。
唱えながら吹き出しそうになるのを必死に堪えながら
私も大真面目に3回復唱した。
「はい、これでイライラは収まるから寝て下さい」
「はぁ」
その呪文が効いたのかどうか、ストンと眠りに落ちたようで
翌朝まで目覚めることはなかった。
「昨日の呪文、何で知ったの?」
夫に聞いてみると「はて?」と。
「パンダ、子パンダ…って」
「あぁ」と夫は言ったものの、あまり覚えていない様子。
半分寝ぼけた状態で、天から降ってきた言葉
(宇宙とつながることがあるんだよ、とも言っていた)が
口からついて出たらしい。ってそんなことあるのかしら?
はて?はこっちだ。
まぁでもその謎の呪文のお陰でイライラや不安が和らいで
眠れたのだから良かったけれど、あれは一体何だったんだろう?
よく寝言に話しかけると脳が疲れて良くないというけれど
それと同じようなことをしてしまったのだろうか?
悪いことをしてしまったなぁ。
怖い呪文をかけられないように気をつけようっと。