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つつがなく、よどむことなく、さらさらと
お隣り、三春のバーバラ婦人のお宅に
灯りが点らないと、こんなにも暗いのか…。
水曜日から主不在となったお隣り。
まわりが空き家だらけになってしまって、
そうなると我が家は大きな袋をバサリと
上から被せられたように、闇夜にすっぽりと包まれた。
夫は関西へ出張。
水曜日は日中からゴーゴーと唸る様に吹く風が木々を揺らし、
山の神様が何か叫んでいるようでもあった。
怖がりは子どもみたいに暗さと音によって想像力が
逞しくなってしまう。
風の音に混じって外では猫の鳴き声。
明らかにスイとモクではないその鳴き声は富士子のものか。
スイとモクが番犬ならぬ、番猫…というわけにはいかないが、
独りっきりというだけではないのは心強い。
今日は漆工・宮下さんの個展初日。
今回の個展に向けて、月曜日の閉店後から設営準備を
コツコツと少しずつ進めてきた。
少し前まではサクサクとできていたその作業も、年齢と共に
時間がかかるようになってきたので、3倍?4倍?くらいの
時間をみてここのところは準備を行うようにしている。
強がっているわけでもなく、実はそのことを別に悲観はしていない。
時間をかけることがいいとか悪いとかということでもなく、
今は今の自分の仕事の進め方がある。ただそれだけのこと
と受け止めている。
これまでよりもゆっくりになった分、今までは見えていなかった
こころに留まる景色に気づかされたりもしていることは
歳を重ねた嬉しいご褒美。
たとえば、食事を終えて洗って、
布巾で吹き上げる前のまだ水気を纏っている漆の器の美しさ。
なんてことはないそのひとコマが
なんだか良いなと、ふと。
深く呼吸をするようなひとときが、
展示が始まってからもゆったりとした
流れをつくってくれているような気がしている。
つつがなく、よどむことなく、さらさらと。
穏やかに展示初日を無事に終えることができました。
さて、明日2日目はどんな一日となるでしょう。