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写真から始まって写真で終わった日   7月12日

今日は朝から9月に開催するくまがいのぞみさんの
個展DM用の撮影。
くまがいさんの個展開催は3年ぶり。その前はコロナ禍もあり
今回の展示でくまがいさんが在廊するのは実に6年ぶりとなる。
そんなに経つのか…と感慨深くもある。
さまざまな記憶を辿りつつ、カメラのファインダー越しでは
新作のオーバル皿の「ここだ」と思う一点に集中する。
DM写真を自分で撮るのも久しぶり。
東京でお店をやっていた頃は、DM写真は自分で撮影することが
多かったのだけれど、信頼のおける写真家二人との出会いがあってからは、
絵の展示以外のDM写真はすっかり安心して撮影を依頼している。

ただ、くまがいさんのDMに関してだけはご本人からの
リクエストがあって今も私が撮影している。
緊張とプレッシャー。スタイリングも全てひとりで行っているので
その都度ジャッジはひとりミーティングだ。
世の中の流れとしては、DM(ダイレクトメール)も印刷物は作らずに
snsでの告知などwebで行うことが増えている。
でもin-kyoではもうしばらくは抗って、撮影をしたら印刷物を作り、
切手を貼って郵送するという手触りの情報を届けたい。
そんなことを考えてしまっているから尚のことプレッシャーなのだ。

シャッターを押す一瞬は息を止めている。たぶん。
写真を撮った後はふぅーっと大きく深いため息が自然と出る。
そして片目をつぶっているものだから、撮影を終えたら
左目周辺はちりめん皴だらけになっていてびっくりした。
今まではそんなこともなかったのだけれど、これも年月が
経っているということか。

まぁでもお陰で私が思う、伝えたい器のチャームポイントを
押さえた1枚になったのではないだろうか。
あとは川原さんからデザインが上がって来るのを待つばかり。
真夏の暑さの中に届くお便りに、少しでも涼やかな爽やかさを
感じて頂けたら。

そんなこんなで日中は撮影作業に没頭していたのだけれど、
その他にも用事があって郡山へ。用事がスムーズに終わったので、
間に合うかどうか一か八かで直前に申し込んだ
トトノエルギャラリーで開催された石川直樹さんの
トークイベントへ行くことができました。
これまで石川さんの写真を観たり、文章を読んだりしていたものの、
トークイベントに参加したのは今回がはじめて。
いやはや大変貴重な時間でした。
こうした素晴らしい機会を企画して下さったトトノエルギャラリー
芳賀沼さんのお陰。
石川さんはフッと力が抜けているようで、向けるべき対象となる、
自然、土地、人や物事へ全神経を集中させている。
行動、思考に無駄がないというのか。そう感じた。
「自分の身体を使って世界を知覚していく」
そう石川さんはおっしゃっていた。

写真を観て自分は訪れることのない土地へと想像を巡らせたり、
写真では知りえなかった出来事や歴史を文章で知ることができる。
そうして受け手のイメージは彩度を増していくのだろう。
走り書きをしたメモを見ながら、家に帰って興奮気味に夫君に報告。
気味 ではなく思考がぐるんぐるんとはたらき過ぎてなかなか寝付けなかった。