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汽笛を鳴らして 7月17日

夫君は早朝、山梨へ出張のため出かけて行った。今日は泊まり。
雨が降らないと良いけれど。

ならば私は…と、アトリエ展期間中には伺えなかったいわき市の
omoto夫妻に会いに磐越東線に乗って出かけることにした。
いわき行きの磐越東線に乗るのは久しぶり。
ディーゼル列車独特のエンジン音。そしてトンネルやカーブで
鳴らす汽笛の音。生い茂る緑の中をグングンと突き進み、
道が開けていく様。その先にあるのは光なのか何なのか。
幼い頃は電車に数分乗るだけで乗り物酔いしていたけれど、
今はこうして空想したり、水筒に入れてきたお茶を飲みながら
本を読んだり。好きな時間になっている。

いわき市ではちょうど市立美術館で「フィンランドのライフスタイル」展が8月18日まで開催されている。ということで、omoto夫妻も誘って
まずは一緒に美術館へ。
オイバ・トイッカのバードシリーズのボリューム。
そしてはじめて石本藤雄氏の作品を直接観ることができたのも嬉しい。
日本との関わりをモノを通して見たり、知ることができたのも良かった。

展示を観ながら、むかーし池袋にあったセゾン美術館で行われた、
アルヴァ・アアルト展のことを思い出していた。
北欧へ行ってみたいと思ったのは、そもそもはあの展示がきっかけだ。
Sちゃんとずいぶん前に出かけた北欧旅行。二人とも背が低かったからか、
アジア人の子ども二人が遠くフィンランド(デンマークでも)まで
旅に来たと思われていたのかも?私たちが道で地図を広げると、
すぐさま「どうした?どこに行きたいんだ?」といった調子で
たくさんの人たちに声をかけられた。北欧の皆さんはやさしかったなぁ。
空港も、街並みもお店も。自然と調和されたデザインが美しくて
いちいち感動していたっけ。

記憶と展示の余韻にひたりつつ、お二人に連れられて
新しくできた美味しいランチのお店へ。
その後にomoto家へ。めずらしくお二人とも完全offのところへ、
お邪魔させてもらって、しかも美人猫ノンちゃんにも会えて。
in-kyoでの二人展は2年後とまだ先だけれど、今日のようなやりとりや
時間が、お互いのひらめきに繋がるような気がしている。

帰りの磐越東線では本を読みながらウトウト。
頭の中に流れていたのは井上陽水の「少年時代」
日中は晴れ間も広がったのに、家まで歩いて帰る道では
またポツリポツリと雨が降り出した。
雨の中、ひぐらしが鳴いていて、涼やかさを耳に届けてくれた。