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家族の漆を終えて
宮下さんの個展「家族の漆」を終えて一週間が経つ。
その間に暦は大雪から冬至へ。
今朝はうっすらと雪が積もり、時折吹雪いたかと思うと
パーッと青空が広がって明るくなったのもつかの間、
また雪がちらちら舞い始め…と忙しい。
天気雨をきつねの嫁入りと呼ぶが、
晴天に雪が降ることを「たぬきの嫁入り」と言うそうな。
想像しただけで可愛らしい光景だ。
そんなこんなで寒くなった日曜日。
展示中だった先週とは打って変わって、
お店はシーンと静まり返り、
外は冷たい風がごーごーと音を立てながら
花壇のユーカリの枝を揺らしている。
宮下さんの展示期間中にはお近くからはもちろんのこと、
長野や茨城、東京・千葉・宮城に新潟からなど
遠方からもたくさんの方が足をはこんで下さいました。
あらためて心よりお礼申し上げます。
今回漆の器を初めて手にした方もいれば、ここ数年ずっと
通って下さる方もいらして。それは宮下さんの力というか、
うーん。単に力というものとは違うな。
宮下さんの漆には毎日毎日繰り返される
日常の生活に根差した、ゆるぎないたくましさがあって、
手に取る人を理屈抜きにホッと安心させてくれるというか。
言葉にするとしたらそんなことなのではないかと思っている。
坦々と繰り返しているようでいて、実は深く深く掘り下げて
考えて考えて手を動かし続ける。
そうやって繰り返していなければ見えない景色もあるのではなかろうか。
さて、ものづくりではないにせよ、私はどうだろう?
お店は来年で18周年となる。
考え続けているか、繰り返しているだけになっていないか。
一周して元の位置に戻って来るのではなく、
ほんの数ミリでも螺旋を描くようにしながら上昇(成長)していたい。
私と宮下さんが心から尊敬しているお二人が
お忙しい中、新潟から二度も足をはこんで下さった。
お二人との会話は仕事抜きで、話せば話すほど
もっと深く語り合いたいといつも思わせてくれる。
先日は「表現」について。
仕事としてでもなく、誰に見せるとか発表するためでもなく、
あくまでも自分のために。自分のこころを満たすために…
毎日食事をするための料理を作るのと同じように
あたりまえに生み出し続けたいと思うもの。
それは自分にとって何か。
もし100歳まで生きたとして亡くなる直前まで
そう思えるものを持ち続けられたら…。持ち続けていたい。
一体自分にとってそれはなんだろう?
はたして見つけられるのだろうか。
本当はもう見つかっているはずなのに
おざなりになっていないか。
とりとめもない思考がぐるぐるぐるぐる。
窓の外では粉雪が降っては止み、降っては止みを
繰り返し、飽きることのない冬の景色が広がっている。