Loopianで音符を書いてみよう 1
では、早速Loopian記法を用いてどうやって音符を書いていくのか、説明してみましょう。
音符を書くためには、少なくとも音の高さと、音の長さを指定する必要があります。
まずは音の高さ、つまり音程です。音程は階名で表現します。
ド: d
レ: r
ミ: m
ファ: f
ソ: s
ラ: l
シ: t
ドからシまでをアルファベット1文字で表します。シは t なのでご注意ください。
次は音の長さ、つまり音価です。
二分音符: h
四分音符: q
八分音符: e
十六分音符: v
三十二分音符: w
となります。
音符は「音価+階名」で表現します。例えば八分音符のファは[ef]となります。付点は音価の後にシングルクオーテーション( ' )を書きます。
音符は角括弧 [ ] の中に記述し、音符と音符はカンマ( , )で区切ります。また小節線はスラッシュ( / )で区切ります。
以上を踏まえて、有名な第九のメロディを4小節分、Loopian記法で書いてみましょう。
[qm,m,f,s/s,f,m,r/d,d,r,m/q'm,er,hr]
見てお分かりと思いますが、音価は前の音符と同じであれば省略することができます。
また第九はニ長調なので、普通の楽譜では F# から始まりますが、Loopian記法では最初に紹介した通り、移動ドで記述することを推奨するため、ニ長調の「ミ」からメロディが始まっています。
移動ドについては、また詳しく論じたいと思いますが、Loopian記法は移動ドで書かれる前提で設計されています。もちろん、調をハ長調のままにして固定ド表記することも可能ですし、それを禁止するわけでもありません。
実際、すでにある楽譜をLoopian記法で書き写す場合、移動ドに翻訳するのは少々面倒ではありますが、それによって得られることもあるのです。
さて、もう少し細かいルールについて説明します。
下記に箇条書きにしてみます。
休符は x で表記します。例えば四分休符は[qx]となります。
半音上げるときは、音名の後に i を付けます。半音下げる時は、a を付けます。ファ#は[fi]、ミbは[ma]となります。
例えば[d,s]とあった場合、二つ目のソの音は五度上に行くのか、四度下に行くのか、どちらになるのでしょうか。この場合は近い方のソ、つまり四度下に動きます。この例で、上に行きたい場合冒頭にプラス( + )を追記します。
[d,+s]
同様に下がることを明示的に示したい場合マイナス( - )を追記します。
[s,-d]中途半端な長さの音符や、拍をまたいだりする時には、楽譜ではタイを使います。Loopian記法では、タイの記述は以下の二通り用意しています。
例えば二分音符と八分音符がタイで結ばれているとき、八分音符が5つあると考えます。このとき、ピリオドを使って音価を伸ばす表現ができます。具体的には、八分音符のドの音を5倍に伸ばす時 [ed….]とピリオドを後ろに4つ書きます。
上記の例のとき、二分音符と八分音符の間にアンダーバー( _ )を使ってタイを表現できます。ドの音の場合[hd_e]と書けます。タイの後ろの音符では音程は必要ありません。
小節線を跨ぐタイは、ピリオドの場合[ed../..]のようにピリオドの途中に小節線を書くことができます。アンダーバーの場合[hd/_e]のように小節線の後にアンダーバー以降を書くことができます。
三連符は、音価の前に「3」と書きます。二拍三連でドレミと演奏する場合[3qd,r,m]となります。
上記のルールは、文字だけだと少々分かりづらいかもしれません。具体的な例を出しましょう。
本物の楽譜とLoopian記法の二つを表示します。
[q'x,qx,em/ql,ed,qm,el/e'd,vt,el,qt,-em/_e',vr,efi,e'm,vr,efi/q'm_e,ex]
上記はフォーレのシシリエンヌの冒頭のメロディです。
拍子は6/8です。各音符とLoopianの記法を見比べてみてください。ほぼ一対一で対応が取れているのがわかると思います。やはり移動ドで書かれているので、音程を変換して読まなければいけないことが難しく感じるかもしれませんが、Loopian記法のほうがその分、音程に一般性のある関係を感じられるはずです。
いかがでしたしょうか。
上記のルールで大体の楽譜は表記できるのではないかと考えています。コンピューターのキーボード入力で最もシンプルに楽譜を表記できる方法として、Loopian記法は可能性があると思っています。