スピードと発見の関係性
子ども達は疾走感が大好物
多くの子ども達は、自然の中を走るのが大好きです。
普段、園庭や道路を走るのが大嫌いな子供でも、山の下りになったら「ジェットコースター!」といって走り出します。登りも、突然鬼ごっこ風が吹き始めると、大声を出しながら走り出します。
このメカニズムは後日ゆっくりと考察するとして、20年近くたくさんの幼児と関わらせていただいてきた脳内集計の結果的には長距離、短距離含め「自然の中を走るのがみんな好」が僕の結論です。
自然の中を走ることの副産物として
など、様々なことを得ることができます。これは幼児期の子供達(時に大人にも)とっても大切な要素で、おそらく現代の日本においてこの部分はしっかりと抑えておかないといけないと僕は思っています。
スピードが上がれば上がるほどこの副産物は大きくなるのですが、反比例的に、発見の確率が低くなります。
発見の確率
車で走っているよりも自転車で走っている方が視界に入ってくる情報が多いように、走っているときよりも歩いている時の方が情報が多くなります。
しかも、乗り物の異音などがない、生身で歩いているわけですので、むき出しの耳からも、肌感覚からも、足の裏の感覚からも、視覚からもといったようにありとあらゆる感覚から情報が入っていきます。当たり前のようですが、発見はどのように進んでいるかにもよりますが、スピードがゆっくりであればあるほどその確率が高くなるわけです。
走っていれば過ぎてしまうような景色と馴染んだ色の小さな実も、歩いていると気付くことができたります。さらにはその実を「採って」「集めて」「潰して」「嗅いで」といった動作をしたくなります。目で見つけた情報が、さらにたくさんの情報に成長して彼らの栄養に変わっていくわけです。それが着火材になって、子ども達はまた別の面白い何かを求めて森の中をあちこち探し回りはじめます。
子供達は、ここから発見ループにのめり込んで、遊びの展開がどんどん始まっていくケースが多いです。
ちなみに、発見が与えてくれる副産物は
などといったものがあります。これらの副産物を得るための確立を上げるためには、進むスピードを落とす必要があります。
スピードと発見の関係性
スピードを上げると発見の確率が低くなり、発見の確率が上がり、スピードを落とすとスピードの副産物は得られなくなります。つまり、スピードと発見の関係性は、反比例の関係にあります。
この関係性はとても大切で、指導者や保護者がどちらを大切にするのかによって遊び方が大きく変わってきます。もちろんスピードも、発見も、どちらも大切な栄養になりますので、どちらが正しいという関係性ではありません。
スピードと発見の関係性を理解した上で、子ども達の成長のタイミングと、「今日や今という時間を、子ども達にとってどのような時間になってほしいのか?」その想いを掛け合わせて、「スピード2:発見8」や、「スピード10:発見0」など、比率を考えてあげる必要があります。
どちらに偏りすぎても得られるものが偏ってしまいますから、今日はスピード、明日は発見、行きは発見、帰りはスピードなど、バランス感覚を持って子供と関われるといいなと日々想っています。
先日、幼稚園の先生方と活動後のふり返りをしているときに、ひとりの先生がこのことに気付きました。おかげで僕もこのことを再認識することができましたので、忘れないうちに自分用にもメモを残しておきます。
ヒントや様々な事例はこちらにたくさん書かせていただきました。
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