演出家が考えなかったことを文章にするために。
批評家という職業を選んで私はたくさんの喜びを得ました。
みなさんも気がついていると思いますが、本当にすぐれた舞台は、一年に二本か三本しかありません。
かなり甘い評価をしても五本を超える年はなかなかありません。その舞台に接する喜びのために、夜の大切な時間を費やすべきか。ひとりひとりの判断が尊重されるべきだと思います。
数少ない体験ですが、私も作る側に回ったことがあります。公演が終わった後に、他の批評家から欠点を指摘されることがありました。すると、「ああ、そんなことは何百回も考えたよ、でも、最終的にはその方法を選ばなかっただけなんだ」と言いたくなりました。
ということは、私の批評もまた、同じように受け止められているのだろうと思います。「そんなことわかっているよ!」。
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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。