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コロナ禍で会社を辞めて、フリーランスをやってみた3ヶ月間のこと

緊急事態宣言が解除されて約半年。相変わらずコロナの勢いは治らない。

経済、特にローカル経済への影響は大きい。多くの人が「コロナ閉店」「コロナ倒産」という言葉に怯えながら、企業へのコミットのあり方、働く意義、不安との付き合い方を探り合っている気がする。

僕はコロナ禍の真っ只中の5月に会社を退職した。そして就職せずに3ヶ月フリーランスをして、11月にあらためて就職する。

コロナ禍で会社を辞めて、フリーランスをやってみた3ヶ月の振り返り。

なぜ辞めたか

フリーペーパーの会社に新卒で入社し、広告営業を6年、本部の企画部署に異動し、2年ほど営業推進や企画、広報、事業提携などを幅広く担当した。その後、WEB領域に関わり、自社やクライアントワークでの全般的なウェブマーケティング支援をしてきた。

何でも屋であることに悩み、「専門性を高めたい」「自分の市場価値を作りたい」と思ったのが、去年の年末。同タイミングで会社の株主が変わり、ウェブ事業を撤退することになり、2020年5月に退職を決めた。

このTweetがなぜか、とても伸びた。フォロワーも増えた。知らないアカウントから「この時期によく辞めますね!」「すごい決断」という引用RTが多かった。

水面下で、社会の働くことや組織への信頼が揺らいでいるのを感じた。その揺らめきは、これまでにないものだ。「うちは盤石」そう思っている企業こそ危ういかもしれない。これまでとは違う角度の揺らめきだからだ。

なぜフリーランスになったのか

退職する直前の3月頃から転職活動を始めたが、ちょうど世の中はコロナ禍の真っ只中。東京都の外出自粛要請が出て、先の見えない不安が広がっていた時期だった。

そんな最中に面接を受けてみると、企業側も自分も「整っていない」のを感じた。「働くとはなにか?」「自分は何者か?」「なにが好きか」を言語化できず、あるいは言語化したものが腹落ちせず挫折した。募集自体が白紙になったり、最終面接で「なにがしたかったのか」考え込んでしまうことが何度もあった。

この先どうなるか分からない不安
やってきたことが足下から崩れていく恐怖

生活と将来の不安定さに揉まれて、消耗していく日々。周囲の人に相談して「準備期間」を置くことにした。

準備期間で取り組んだのは

・会社の肩書きを無くした自分の市場・商品価値を見定める
・書籍などで体系的な知識を増やして武器を鍛える
・アウトプットの量を増やして、発信力やネットワークを強める

2020年6月にフリーランスとなり、ありがたいことにSNS経由で仕事をもらえることができた。3ヶ月間ほどBtoBのウェブマーケティング支援やGoogleマイビジネスの運用アドバイザーなどに携わった。

同時に、noteやTwitterでの発信を増やした。それまで「なんとなく」やってきたGoogleマイビジネスの知識をエキスパートへの取材を通して専門化し、それをアウトプットする。実践的なノウハウや専門家としての知名度を高め、専門家の方々との繋がりや発信力を強化することができた。

そんな3ヶ月のフリーランス生活だったが、9月末で辞めることにした。

「フリーランス向いていない」そう感じたからだった。

なぜフリーランスを辞めるのか

フリーランスは、お金は稼げるが、仕事と関係ない雑務が増えるし、組織に属しないことの不安で気が散ってしまう。もっと仕事に集中したいし、課題解決よりイシュー発見を楽しみたい。もっと多くの人や企業と真正面から付き合ってみたい。

フリーランスでも好きな仕事や働き方を選ぶことはできるかもしれないが、現状、実績もスペシャリティを持っていないので、それは現実的ではない。

ワークライフバランスを実現するには、フリーランスの方が向いていると思う。家庭がある、趣味がある、仕事と両立して、自分を安定させられるものがあるなら。でも、自分にはまだそれがなかった。

フリーランスの生活は心地よく、人生観が変わる期間だった。時間の使い方は自由だし、自分の腕や提案が生活の豊かさに直結する充実感。肩書きをなくすことで、客観的に自分が求められているポジションや強みを浮き彫りにできた。

働くことは難しい

フリーランスは個人事業主なので、働くことは生きること。退職直後では、言語化できなかった「働くこと・好きな仕事」を考え抜く日々だった。それでも時間の余裕がある間に、十数人の仕事観を聞いてみたことで、おぼろげながら見えてきたものがある。

自分にとって働くことは、社会に関わることだ。それはコミュニケーションのきっかけでもあるし、人と関わる話題を増やすことでもある

「work as life」、仕事とプライベートを分けることなく寝ている時間以外はすべて仕事であり趣味であるという考え方がある。

自分も仕事のことでしか、人と関われない。テレビをみていても、読書をしていても、ランチをしていても、お酒を飲んでいても、泥酔していても「消費のこと、コンテンツのこと、ローカルビジネスのこと、SEOのこと、SNSのこと」を考え続けてしまうし、話し続けてしまう。日常が仕事に近い。

だから、なるべく暮らしと地続きの仕事の方がイメージが湧いて楽しい。邪悪な仕事は暗い気持ちになるから、なるべくやりたくない。お金を稼ぐこと・出世することにあまり関心がわかない。

そのなか、私の一つの照準は「ローカル」にあることに気がついた。地域のお店は、私の、そして私たちの生活に喜びと新しい未来とを届け、豊かさを取り戻してくれる。

しかし、その未来を拓く武器も実績も持っていないのが現状。まずは、武器庫をいっぱいにしたいし、体系的にそれを扱えるスキルを身に付けたい、ファクトのある実績を身に付けたいと思い、就職活動を再開した。そして11月からウェブコンサルタントの仕事に就くことになった。

この経緯については、また改めて書きます

コロナ禍で「キャリア」や「仕事との距離」を考え直す人が増えている

企業へのコミットのあり方、働く意義、不安との付き合い方を、みなが探り合っている気がする。「なぜ働くのか?」そして「自分は何が好きなのか?」の2つの問いに向き合う人が増えていく。

これまでキャリア形成では「収入やポジションの向上を目的とした戦略」に重きが置かれていた。しかし、いま「変わらないもの」と思われてきた文化や市場、組織(会社・家庭・地域)などの土台の崩壊に直面している。

そんな中で「市場に評価される自分の力を伸ばす」だけではなく「自分が変えたいこと」という原体験に基づいて動く人たちが増えてきている。そんな記事を今日読んだ。

"博報堂でバリバリ働いていた頃は家業に視線が向くことがほとんどなかった加藤さんの胸に、ふと葛藤が頭をもたげた。感染は収束が見えない。新型コロナは世界のターニングポイントになるかもしれない。そんな中で一番なくなってほしくないのは――。

突き詰めて出した答えは「家族がいる明利酒類」だった。社会や地元のために、自分が今できることを百パーセントやり切りたい。いつしか気持ちは地元での仕事に傾いていった"

安易な「儲かるよ」「アフターコロナはこれがくるよ」という邪道に向かわず、自分の価値観を自分の言語でアップデートすることが、新しい生き方に適応する近道になるのだと思う。

自分の価値観のアップデートに役立ったこと

最後にフリーランスの間に、自分の価値観のアップデートにやってよかったことをまとめた。

コーチング

こばかなさんのコーチングを受けたのは少し以前ではあるが、この時のコーチングの記録はたびたび見返して、アップデートを重ねている。

・コーチングとは「行動を促すコミュニケーション」のことである
・コーチが質問することで、クライアントの中にある答えを引き出す
・コーチングを受けると前に進める

やらないリスト作り

「過去の自分の発信を振り返る」「違和感を持っていたもの、避けている価値観を言語化する」ことで、10個のやらないことをリスト化した。悩んだ時や怒った時は、このnoteを読み返している。

この時代に「やりたいこと」を決めるのは困難だが「やらないこと」を決めるのは案外できる。そこから「やりたいこと」や「選ばない選択肢」が見えてくることもあり、思考リソースの余裕が生まれてくる。

『メモの魔力』の自己分析に答えてみる

前田裕二さんの著書で、2019年最も売れたビジネス書。巻末に「自分を知るための【自己分析1000問】」という付録が付いている。「一日200問答える」と決めて、1週間で答え切ってみた。簡単に答えられるものもあれば、どうしても具体的な答えを書けないものもあった。周辺を埋めることで、自分認識の解像度を上げることにつながった。

カウンセリング

cotreeのオンラインカウンセリングを定期的に受けている。主な目的は「心のメンテナンス」と「心調不良の予防」だ。

今までにない選択や就職活動など、価値観が試される時に、心に大きな負担がかかる。バイアスを破るには体力もいるし、ショックを受けやすい。その変調を客観視点でアドバイスしてもらうことや、言葉にしている価値観が「自分の中から自然に生まれているものか?」を検証してもらうのはカウンセリングがちょうど良い。

以上、コロナ禍で会社を辞めて、フリーランスをやってみた3ヶ月のことについて。いまの日々に悩んだり、不安になっている人のお役に少しでも立てたら嬉しく思います。

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Shoichi Hasegawa
いつもサポートありがとうございます!サウナの後のフルーツ牛乳代か、プロテイン代にします。「まあ頑張れよ」という気持ちで奢ってもらえたら嬉しいです。感謝。