離床時に注意したい7つの心電図波形
循環器疾患ではリハビリ前の情報収集やリハビリの間にも心電図波形を読める必要があります。
緊張性が高くリハビリを実施できない波形から、
緊急性がなくても負荷をかけるにあたって注意しておきたい波形、
また、不整脈の治療を優先すべき波形もあります。
今回は、緊急性の高い不整脈と離床に注意を要する心電図波形について紹介していきます。
緊急性の高い不整脈
心室細動(Vf)
心室筋が全く無秩序に収縮し、心拍出量がゼロになった状態です。
速やかに治療しなければ必ず死に至ります。
様々な心疾患の患者においてみられ、特に急性心筋梗塞(AMI)では主要な死因となります。
心室頻拍(VT)
心室の一部から起こる異所性刺激が連続して発生し頻脈を呈します。
心室頻拍(VT)は危険な不整脈であり、ときに心室細動(VF)に移行するため、緊急処置を要します。
QRSが一定のものを単形性心室頻拍、刻々と変化するものを多形性心室頻拍といいます。
離床に注意を要する不整脈
心房細動(Af)
P波の代わりに、痙攣のように弱いf波が日規則に存在し、QRSが不正に出現します。
心房細動があると、正常脈拍でも心拍出量が10〜20%減少し、徐脈ではさらに低下します。
長時間の頻脈や徐脈のまま経過すると心不全に至る可能性があります。
脈拍数を正常にコントロールできていれば、そのまま日常生活を送ることもできます。
上室の不十分な収縮で乱流を起こし、血栓ができやすくなって脳梗塞を合併する危険もあるため、脈拍数に注意しながら離床を進めましょう。
心房粗動(AFL)
「のこぎり型」と表現されるF波があり、2:1や4:1のリズムでQRSにつながる若干の規則性を認めることがあります。
心房細動に比べて心拍出量は保たれています。
しかし、急性心筋梗塞などの患者さんの場合、病態が進行性で増悪していることが多いです。
次第に伝導速頻度が高くなって頻脈に移行します。
心房粗動の時は不整脈治療を優先します。
心室性期外収縮(PVC)
QRSにつながるP波がなく、予定より早い時期に幅の広いQRSが出現するものです。
心室の収縮が不十分のため、上室性の不整脈により、更に心拍出量が減少しますが、連続性や頻度でリスクが変わります。
心室性期外収縮の数と性質によって5等級に分類し、リスクの判定指標としたものがLown分類です。
4B以上の出現があれば離床は見合わせます。
4Aでも中止の指示が出されることもありますので医師の判断を仰ぐ必要があります。
II度房室ブロック(高度房室ブロック)
P波に続くQRSが時々欠落するのが、Ⅱ度房室ブロックです。
伝導障害がより強くなり、QRSが2個以上連続して欠落したり、欠落頻度が高くなったりします。
RR間隔が長くなるため、補充収縮が出現します。
補充収縮がないと、一過性の心停止となってADAMS‐STOKES症候群を呈する危険性が高いため、ペースメーカーが適応になります。
Ⅲ度房室ブロック
P波に続くQRSが完全に欠落しているものがⅢ度房室ブロックです。
P波とQRSがそれぞれ無関係に独立したリズムで出現します。
また、房室結合部より下位中枢からの刺激によってQRSが出現するため、徐脈となります。
ADAMS-STOKES症候群を呈する危険性が高く、ペースメーカーの適応になります。
※一般的に、Ⅲ度房室ブロック、Ⅱ度房室ブロックⅡ型(モービッツ型)はペースメーカーの適応になります。離床は、一旦、体外式か埋め込みたいタイプのもので治療してから行いましょう。
参考にした書籍はこちらです↓
病気がみえる vol.2 循環器
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今回の記事は以上になります。
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