パパママ銭湯について 2022
はじめに
2019年8月、高円寺・小杉湯でスタートした企画『パパママ銭湯』。いま手元にある資料をみる限り、すでに500名を超える方にご参加いただいているようです。いつもご参加ありがとうございます。
どういう企画かというと、ご協力いただける東京都内の銭湯さんで、開店前もしくは定休日の時間を『パパママ銭湯』タイムとして貸切にしていただき、その時間は保育士や育児経験者、地域や子育てに関わりたいと思うスタッフがお子さんの入浴をサポートしますよ、というもの。入浴料以外は料金を取っておらず、ボランティアによる運営を行っています。
ほそぼそとした活動ですが、ありがたいことに応援してくれる方も多く、2020年には「脱・孤育て」という文脈からNHK「未来スイッチ」でご紹介いただいたこともありました。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/miraiswitch/article/article37/
主催のわたし自身が子育て当事者ということもあり、「自分だったらこんなのがあったら嬉しいな」という希望を頼りに、手探りで運営していますが、注目していただくことが増え、「うちの地域でもやってみたい」という相談を受けるようになりました。
そこで、一度わたしが思うパパママ銭湯について明文化しておいたほうがいいかなと思い、ステートメントというと大げさなのですが、考えていることを表明しておこうと思います。ご興味がある方は、ぜひお付き合いいただければ幸いです。
【1】パパママ銭湯の目的は、「パパママ銭湯がいらない世界」です
これはいくつかのインタビューでもお話しているのですが、わたしが考える本当の目的としては、「パパママ銭湯がなくても、子育て者がゆっくりお風呂に入れたり、子どものにぎやかさを受け入れる場所を増やすこと」です。
当初のパパママ銭湯の企画は、小杉湯さんの営業時間内に場所を間借りして、脱衣所と待合室にボランティアスタッフが待機し、お申し込みいただいた方のサポートを行う、というものでした。
通常の銭湯営業時間に、子どもを連れた育児者が来店し、街の人たちと一緒にお風呂に入ることで、子どもが街の人に受け入れられ、育児者はそれをきっかけに街につながれる仕組みをつくれるのではないか、と思ったからです。
それが新型コロナウイルスのまん延により、密を避けるため、開店前のお時間を貸し切りで借りるという現在のスタイルになった、という経緯があるのですが、本来であれば「パパママ銭湯」という企画は「育児者が子どもを連れて、銭湯に入りやすいきっかけづくり」を目標としていたのでした。
もちろん、銭湯の常連さんの中には「静かなお風呂にゆっくり入りたい」という気持ちの方もいらっしゃいますし、子どもの声(銭湯で子どもの声はよく響きます!)がうるさい、とお叱りを受けたこともあります。
それでも、銭湯を起点に、地域と子育て者のハブとなるような企画になれないか、というのが本来的な目的であることに変わりはありません。
【2】パパママ銭湯の目標は、育児者が街に交わるきっかけづくりの場の提供です
そうした思いもあり、初期のパパママ銭湯では入浴後にパパママ交流のお食事会を設定したり、イベントとして絵本の読み聞かせや紙芝居など、子どもが喜ぶコンテンツを提供するなど、試行錯誤したこともありました。
しかし、さまざまな状況変化や課題に向き合っていく中で、シンプルに「子連れでものんびり銭湯に入りたい!手足を伸ばして温まりたい!」という企画のきっかけに忠実に、まずは育児者のみなさんがゆっくりお風呂に入れる企画にフォーカスしよう!と舵を切ったのが、現在の貸切スタイルなのです。
しかし、本来であれば、貸切タイムとして街や街の人との関係を分けるのではなく、自由にお風呂に入りに来ていただくことで、育児者が銭湯をきっかけにその街に交わり、「顔見知り」という地縁をつくってほしい、と願っています。
これには「子どもが様々な大人に触れることで、多様な価値観を知るきっかけになる」という点と、「育児者が孤独にならず、街の人と一緒に子育てに取り組める」という良い面があるのでは、と感じています。
【3】そのために、パパママ銭湯は「街にひらかれたイベント」を目指します
長々と書きましたが、現状の「パパママ銭湯」では、やりたい目的のまだまだ第一歩を踏み出した状態にすぎず、そのもっと先を目指すためには、さらに多くの人のお知恵や手をお借りする必要があります。
個人的にはこのイベントを私物化するつもりもありませんし、たまに聞かれるのですが、何かビジネスとして利益を得る仕組みを作る予定もありません。(もちろん、現状手弁当の運営なので、支援してくれるスポンサー企業はいつでも募集しています!)
そもそも、「パパママ銭湯」という単語自体、ごくありふれた言葉の組み合わせでしかありませんしね。企画も、誰でも思いつくようなものだと思っています。
ただ、我々はそれを実行して、継続している、という点については誇りを持っていますし、そこで得た経験やノウハウは、どんどんシェアしていきたいと考えています。
そのために、高円寺以外の街の銭湯さんとのコラボも積極的に企画したいですし、逆に「うちもパパママ銭湯やってみたいんだけど」という銭湯さんにはノウハウをシェアし、可能な限りのサポートを提供していきたいと考えています。
その際にお願いしたいのは、単なる集客イベントとして閉じてしまわず、子育て者とその子どもたちが、どうやったら街に交われるか?子育て者が孤独にならない仕組みを、どう提供できるか?を、少しでも考えてほしい、ということくらいです。
※ちなみにこの点においては小杉湯の三代目・平松佑介さんに大切な視点をいただいたと思っており、本当に感謝していることを書き添えておきますね!
最後に
ということで、まとめます。
パパママ銭湯の目的は、「パパママ銭湯がいらない世界」です
パパママ銭湯の目標は、「育児者が街に交わるきっかけづくり」の場の提供です
そのために、パパママ銭湯は「街にひらかれたイベント」を目指します
つまり「パパママ銭湯」というタイトルも企画もノウハウも、オープンソースのようなもので、自由に使っていただいて構いません。声をかけていただければ、ノウハウや知見はいつでも共有します、ということが伝えたいnoteだったのでした。
最後になりますが、子育て者を取り巻く状況の現在は、決して理想的とは言えません。街に一歩出れば、好奇心旺盛に駆け回る子どもを抱えてあちらこちらに頭を下げ、いろんなことに神経を張り巡らせて、帰宅するともうぐったり……ということも多いと思います。
また、子どもが減ってきている分、子どものちょっとした騒ぎ声や足音に敏感に反応してしまうのも分かります(わたしもそうでした)。静かに過ごしたい、と思っているときに、子どもの甲高い声で叫ばれると、ウッとなりますよね。
でも、その子がまったく知らない子ではなく、「たまに銭湯で見かけるあの子」だったり、「この間あいさつしてくれたあの親御さんのところの子」だったら、少しは気持ちが変わるのではないか?という、本当にかすかな期待を胸に、これからもパパママ銭湯という場作りを続け、「街と育児者をつなぐきっかけ」を提供していければと思っておりますので、暖かい目で見守っていただければ幸いです。
お読みいただきありがとうございました!
★以前書いたnoteも貼っておきます👇
★パパママ銭湯公式Twitterはこちら。
今後の告知などもこちらで行っていきます!
https://twitter.com/PapamamaSento