【ミニ社長塾 第21講】経営者が行うべきプレゼンとは
おつかれさまです。
中小企業診断士で、社長の後継者に【徹底伴走】するコンサルタントの長谷川です。
社長塾は1年間のプログラムで、春開講と秋開講の年2回開催しています。昨年4月に開講した19期は、来月行われる計画発表会を残すばかりです。
計画発表会、すなわち自社の経営計画をプレゼンする場を迎えるにあたり、「経営者の話し方、伝え方」というプレゼン、スピーチについての講義を行いました。
今回は『経営者が行うべきプレゼンとは』というタイトルで、その講義の振り返りとプレゼンでの資料づくりに関するポイント解説を行います。
これからプレゼンの資料を作成される方だけでなく、社内で計画発表されている方も参考にしていただきたいです。ミニ社長塾の第21講、今回もよろしくお願いいたします!
1.経営者のプレゼンの目的と必須要素
書籍「最強リーダーの「話す力」」によると、コミュニケーションの目的は次の3つです。
知人友人の間でのコミュニケーションの目的は好感を獲得すること(共感を得ること)であり、ビジネスの世界でのコミュニケーションは仕事を円滑に進めていくための情報提供が目的になってきます。
リーダーたる経営者にとっての目的は行動変容です。経営者は、ビジョンや方針をプレゼンすることで、社員に同じベクトルで行動していただけるように促していきたいからです。
行動変容のポイントは、なぜそうすべきかの必要性(聞き手にとってのメリット)を示すことです。それにより、聞き手が自ら行動を変えたくなるように促すことが狙いです。そのためには、プレゼンはストーリーになっていることが望ましいです。人は、ストーリー立てて話されると聞き取りやすくなり、自分事として受け入れやすくなるそうです。
また、社員に行動を促すにあたって重要なポイントは「熱意」です。人の心を動かすわけですので、「このビジョンを何としててもやり遂げたい!」と強く訴えかける熱量が経営者から感じられないといけません。意外とスマートにプレゼンされる経営者が多いのですが、「熱意」を感じられないプレゼンは客観的に「報告」のように受け取られてしまいます。
以上のことから、経営者のプレゼンの必要要素としては「ストーリー性」「聞き手にとってのメリット」「熱意」といったところが挙げられます。
2.経営者の話し方
P.F.ドラッカーは、リーダーについて次のように話しています。
経営者にとって信頼感を得ることはとても重要で、信頼感が得られる話し方とは、どのようなものでしょうか?
(少し、イメージしてみてください)
多くの方が、早口ではないことや声が小さくないこと、原稿を見過ぎないことや目線が泳がないことなど、落ち着きを感じられない話し方をNGとしたと思います。
ところが、実際にご自身がプレゼンをすると、NGとした行動をしてしまいます。その理由はシンプルで、準備不足です。
プレゼンをするにあたって資料(原稿)づくりには時間をかけるにもかかわらず、話す練習にはあまり時間をかけない方がほとんどです。話慣れていないと、原稿を何度も見るため俯きがちです。下ばかり見てしまうから声も小さくなるし、たまに前を見ると聞き手の目線が気になってしまうので、目が泳いでしまうのです。信頼感を得る話し方がしたいなら、まずは準備をしっかり行われる方が良いです。
そして、話す内容(原稿)について言うと、主題(話したいテーマ)を明確にするということはもっとも重要です。ここが決まってなくて話をすると、関係のないことまで話してしまい、焦点がぼやけて言いたいことが伝わらなくなってしまいます。
プレゼンする際は「PREP法」と呼ばれる話の構成を参考に整理されると良いです。伝えたいことが整理されているプレゼンであれば、論理的になるため信頼感が得られるはずです。
3.プレゼン資料の作り方
最後に、プレゼン資料の作り方についてお話いたします。研修や提案資料のほか、毎週何らかのプレゼン資料を私は作っています。そんな私なりにポイントとしていることは次の3点です。
それぞれについて解説します。
①パワーポイントはコピペ
資料づくりに時間がかかっている人は、パワーポイントを開いてから何を書くかを考えているように思います。
「次に何を書こうか」と思考しているうちに、色々とパワーポイントをいじってしまう。すると、そちらに熱中してしまうので、時間がかかってしまうのです。私も、以前はそうでした……。
そこで、パワーポイントで作業する時間を最小にするために、パワーポイントの絵コンテを作ってから資料を作るようにしました。
エクセルを使って、各ページで何を伝えるのかの構成を考えます。また、A4の紙を8等分して、それぞれのページに書く言葉、載せるグラフや図など、実際にどのように配置するかまでを予め作っておくのです。
すると、パワーポイントでの作業は絵コンテをコピペするだけで済みます。そして、全体を流してみて編集して仕上げることができます。
②1ページに載せるのは1メッセージ
メラビアンの法則というものがあります。人と人とのコミュニケーションにおいて、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%という構成比であることが、アルバート・メラビアンという心理学者によって行われた実験により導かれました。
このメラビアンの法則について、私は「見ているものを優先するので、あまり人の話は聞いていない」ということだと受け取っています。プレゼン資料に多くのことが書かれていると、そちらを読んでしまうということがありますよね。まさに、この事です。
投影される資料を読んでしまうのは仕方がないことですので、なるべく話を聞いてもらおうとするのであれば「1ページに載せるのは1メッセージ」にした方が良いです。ページが多くなっても構いません。どんどん展開が早くなっていくことで話し手のリズムも出てきますので、「1ページに載せるのは1メッセージ」にされてはいかがでしょうか。
③使う色は3色まで
メラビアンの法則に示されるように、視覚から得られる情報は非常に多いです。この情報の中に色使いも当然含まれるのですが、カラフル(多色使い)なのはマイナス要素です。ごちゃごちゃした印象となり、情報伝達の妨げとなってしまいます。
そこで、プレゼン資料に使う色は文字の黒色とメインカラーとアクセントカラーの3色を使うことがおススメです。
メインカラーは、コーポレートカラーや自社ロゴの色などで、資料の中で一番よく使っていく色です。また、アクセントカラーはプレゼンの中で強調したかったり、目立たせたい部分で使う色で、メインカラーと補色の関係となる色となります。
メインカラー:水色 ↔ アクセントカラー:赤色
メインカラー:青色 ↔ アクセントカラー:黄色
といったものです。
色使いについて、詳しくは次のページを参照してください。
今回は『経営者が行うべきプレゼンとは』というテーマで記事を書きましたが、いかがでしたでしょうか?
良いプレゼンとは、内容ではなく聞き手に伝わったかどうかが基準です。そのため、聞き手に伝えたいことはシンプルにすべきだと私は思います。
だからこそ、伝えるべきことは何か、を決めたあと、補足情報を追加していくという作り方がおススメです。資料づくりは、伝えたいことにとってのお化粧みたいなものです。「伝えたいこと」を熱意を持って伝えるようにすること。これが一番です。
※この記事の3,000字ほどありますが、私はこの一文を一番伝えたいです。
今回の話題が、皆さまの経営にお役立ていただけますと幸いです。
次回の【ミニ社長塾】も、どうぞよろしくお願いいたします。
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