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ムサビ通信卒業制作展22

ハッと気づけば3月。
震えるほど高速で過ぎた武蔵美通信の学生生活1年目がもうすぐ終わろうとしています。いやぁ……濃厚な1年でした。

今年度の課題提出も終わり次の課題に取り掛かるまでの短い春休み(?)に五美大展とルーブル美術館展「LOUVRE」、そしてムサ通の卒展を見に行ってきました。

五美大展はそれそれの学校の特色がよく出ていて、女子美はアカデミックだなぁ、しっかりとしていて安定感あるなぁという感じ。
個人的に好きだなぁと思った作品、印象に残った作品も女子美が多かったです。

「猫抱き」松村柚果 女子美術大学 立体アート専攻

この作品いいですよね(笑)。
アイディアも素晴らしいし、男性の顔もいい。
猫好きでも猫嫌いでもこれはかなりつらい状況だけどどっちとも取れる顔なのがいいし、お構いなしに好き放題してる猫たちの表情もいい。
この作品とても好きです。


ルーブル美術館展は安定の素晴らしさで期待を裏切らないクオリティでした。
中でも「かんぬき」を生で間近に見られたのが嬉しかったなぁ。
画集で見るよりより光と影が印象的で、さらに女性よりも男性の背中の方が私には強い印象に感じられました。官能的というよりも儚さとか危うさ、脆さという表現の方が私にはしっくりきますね。この後の破綻を予感させるような。ーーそれを含めての「官能」なんでしょうか。


さて、そして本題の武蔵美通信の卒展ですが。
2日にわたって行ってきました。
……遠いんですよ、小平。
めっちゃ遠いんですけど、どうしてももう一度見ておきたいと思って2日続けて行ってきました。

……なんか今年レベル高くないですか!?
去年の卒展も入学前に見たんですが。あくまで私見ですけど、今年の作品はどれも去年よりずっとレベルが高い気がしました。
単に私が傍観者から当事者に変わったからそう感じるのかもしれませんが。

どの作品もしっかりと計画されエスキースをたくさん重ねたんだろうなぁと感じられる作品でした。
驚いたのがほとんどの作品においてその筆致に迷いがない事。
油絵は基本的に何度でも描き直す事ができるのが利点ではあるけど、多くの作品が薄塗りで色を迷いなくあるべき場所に入れているという印象でした。
100号の作品を自宅課題で進めるという事がどれだけ孤独で迷いが多いか想像できてしまう今だからこそ、心から感嘆してしまいました。

なかでも強く印象に残った作品がこちらの2枚です。

Weinberg(葡萄畑) 〜光のレイアウト〜 谷口明美
(タイトル未控え) 谷口明美

(すみません、2枚目のタイトルを控え忘れました…)

一見するとごく普通の古い白黒写真に見えますが、油絵なんですよ。
震えました。マジで戦慄しました。
色んな意味で怖すぎです。(笑)
ただ白黒写真を模写しただけではない「何か」があるからこそ惹きつけられるんだろうと思います。

もうひとつ戦慄した作品が

夕陽 田園 長谷川志津子

こちらです。
小さな点が規則正しくまっすぐ並びさらにそれは絶妙に色のバランスを取りつつ整然と並んでいて、狂気すら感じました。

すごい。
凄過ぎて怖い。

しかもこの絵は点だけで構成されてるわけではなくて、点の下にもちゃんと色が塗られていてその下の色が上に重ねられた点の影のような不思議な効果を生み出してるんですよねー。
すごいです。
根気のない私はただただ尊敬して平伏するしかないです。

……ああなんか卒制できる気がしなくなってきたなぁ。


他にも素晴らしい作品がたくさんありました。
見応えありました。
2日間たっぷりと二度三度見ても「すごいなぁ」と思える作品が多くとても勉強になりました。

家に帰って絵を描くのが待ち遠しくなるようなそんな刺激的な卒展でした。

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