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おしゃれの定義?


「今日は何を着たい?」

出勤の日、わたしの朝はこの問いかけから始まる。

20年近く同じブランドでお店に立っていて、
最近肚に落ちたことがある。
それは『おしゃれの定義』だ。
ちなみにこれは、わたしにとっての『おしゃれの定義』。

『その日の自分のすべてのコンディションと気分と共に
選んだ服のそれぞれの個性を活かしてあげる、自分と服のチームプレー』

言葉にするならばこんな感じだろうか。



その日のわたしは、台風の近づく蒸し蒸しとした日が続き、
体は重く、なんだか腰も痛かった。
そんな朝、いつものようにわたしはわたしに問いかける。

「今日は、何を着たい?」

帰ってきた答えは。。。
リラックスしたスタイルで、足元はスニーカーを履きたい。
でも、もう秋冬コレクションが立ち上がり始めたから、
暑いけど、ほんの少し先取り感のあるアイテムの方がいいんだろうな。
明後日、美容院にいく予定で、ヘアカラーをしたくてうずうずしている状態。
だから、できれば髪はおろさずにまとめてしまいたい。

この声を聞いた上で、
今展開していて自分が持っているアイテムを選んでいく。

そうやって決めたスタイルはこんな感じだ。
コットンの黒い半袖のタートルニットとリネンとコットンの薄手のインディゴカラーのワイドパンツに、黒の少し厚底のリーボックのスニーカー。
黒革バンドの時計に、頭のてっぺんでお団子にしたおくれ毛たっぷりのラフなヘアスタイル。


なんてことないようなスタイリングだが、細かい着こなしにこだわりがあるのだ。
パンツは幅のあるゴムのウエストだから、ニットはインしてかなりハイウエストで履く。
タートルが映えるように、かなり高めのお団子にして、おくれ毛はリラックス感とフレンチの雰囲気を出すのにはぴったりだと思っている。


服たちの個性を潔く見せて着ながら、自分の心も満足♡
外は土砂降りだけど、ほどよくご機嫌に一日がスタートした。

そして、その日は、わたしの履いていたパンツが売れた。
お客様は
「あなたのパンツ素敵。楽そうだけどそうやって着たらおしゃれ!」
と言って黒いTシャツと共に買ってくださった。

気に入って買ってくださったことも嬉しかったが、それよりも心に響いたのは
わたしの今日の気持ちから選んだ『リラックス』のテーマのコーディネートの
そのテーマがその方に伝わったということ。
わたしと服たちのチームプレーで、その方に喜んでいただけたことだった。


今まで、わたしはどちらかというと、トレンドや周りの人からどう見られたいか、にフォーカスして服を選んでいた。
それが、自分の気持ちを細かく聞きながら、大好きな服たちの個性を活かして一緒にスタイリングを決めていくのがこれからのわたしにとっての『おしゃれ』になりそうだ。


服を、ただの服としてだけではなく、自分の一部のように、大切に身にまとう、
そんなわたしでいたい。


台風の湿気を吹き飛ばすべく、
真っ白なTシャツでテキストを書いてみた。



晴海たお

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