乙女座新月〜乙女の祈り〜

夏の終わりの始まりは、乙女座の新月。

月の光は見えないけれど、確かに注がれているエネルギー。

昼間の暑さを、優しくかき消していく夜風と共に感じるエネルギー。

「これまで、よくやったね」まずは、そうやって、しっかり自分を褒めてから。

「で、これからどうしていきたいの?」静かに自分に問いかける。

何を削ぎ落として、何を残したくて、何を諦めて、何に希望を持つか。

信頼できる誰かに相談しても、どんなに神様にお願いしても、

何をどうするか、最後の最後は、自分で決めるんだ。


手放すという感覚は、大袈裟なものではなくて。

長く灯していたキャンドルの火を、自分の息でふっと吹き消す感覚。

そして、希望の火は、いつでも自分でつけることができる。

その繰り返しが、乙女の祈りを叶えていく。


乙女座の新月は、わたしたちに静かに問う。

本当にその覚悟はあるのか?、と。

そこでたじろいでも、固まってしまっても大丈夫。

すぐに答えが出なくても、自分の中に全ての答えがあるから。

自分がどうしたいか、を素直に認めればいいだけだから。


なぜか、頭の中で、バダジェフスカの乙女の祈りが流れ出した乙女座の新月。

23歳でこの世を去った彼女の、乙女の祈りは、何だったんだろう?

彼女も、何度もキャンドルの火を消してはつけて、自分を見つめていたのかな?

そんなことを考えながら、わたしはキャンドルの火を吹き消すんだ。


晴海 たお



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