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『良太は弟を殺した』(少年ジャンプ+連載)というヤングケアラーサイコホラーヤンデレスプラッタバトル漫画が面白い話【漫画感想】
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— 少年ジャンプ+ (@shonenjump_plus) November 28, 2024
💫ジャンプ+期待の秀才💫
名取歩先生の初連載
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『#良太は弟を殺した』は本日配信🎉🎉
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ドックしかっ!
書けなかったっ!
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英語の小テストに苦戦する良太には
人に言えない事情があって…
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◆良太は弟を殺した
ジャンプ+で最近始まった『良太は弟を殺した』(隔週金曜日更新)という漫画がとても面白い。今ジャンプラでいちばん楽しみな漫画になっている。
この漫画のジャンルは…いちおうホラーですよね…?
かくいうぼくは実はリアルタイムで1話から読んだわけではない。「なんでみんな涙袋あるんやろ?」と軽く気になった程度でスルーしていた。のだが、
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ある日、このサムネを見て気になったのがきっかけだった。
第6話を前情報なしでなんとなく読んでみたら面白かった。これを機に改めて第1話から追ってみたら思いの外面白くてするすると読み入ってしまった。単なる露悪ものではないガチサイコホラー漫画だった。こわい。
生理的嫌悪感を煽るグロ描写があるので人を選ぶ漫画なのは間違いないが(ぼくも基本そういうのは苦手)、個人的にはこの絵柄と併せてグロホラーは外せられない本作の魅力だと考えている。
ジャンプラ連載なので全話初回無料だし、3月4日に1巻が発売されるので、丁度良い機会として今回ご紹介させていただきたい。
◆悪魔を超えた悪魔 弟・愛(ちか)
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本作の諸悪の根元であるこの弟。
我ながら辛辣だが、マジのガチでこのような表現せざるを得ない。騙すつもりは全くない。サムネの時点ではまだ疑う必要がない。寧ろ「何故殺す必要があるのか?」とフックを仕掛けてきてくれる。
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「弟は実はバケモンだった」という邪悪な『赤ちゃんと僕』である本作。
これについてはタイトルからして想定内だった。だがこの弟、話数を重ねるにつれてとんでもないヘイトタンクへと実っていく。良太や隼人くんといった周りの知人を不幸に導いてくれる。ジャンプラ内のコメントも弟に対して非難轟々である。
とりあえず弟のスペックを簡単にまとめると不死身のクリーチャー。やはり再生能力持ちなので何をやっても死なない。
他には死者を丸飲みして蘇生できる。首チョンパしても首から上と下が分離するように動く。捕食されても胴体から「きーきー」と何故か鳴く。特に2話ラストの丸飲み蘇生が一番得体の知れないバケモンやっててヤバい。
「兄の良太を独占したい」のが本望と思われるが、現状目的は不明。そも何を考えているのか分からない。普段猫を被ったような仕草が読者の反感を買っている。
人間を弄ぶ似たような子供を挙げると『JOJO』第三部のデスサーティーンの赤ちゃんがいるが、あやつは明確に悪いことを考えているモノローグがあるから分かりやすいし、最終的にわからせられるリアクションを含めて人間味もある。翻って弟はそういうのはシャットアウトしているからマジで人間の皮を被ったバケモノに見えてくる。台詞回しもまだ上手く言葉を発せられていない年相応の子供なのも生々しい。無垢な子供を偽る術として巧い。
「諸悪の根元」と書いたが、あくまで現時点での話だ。
そもそも弟はどうしてこうなったのかホワイダニットが現状伏せられている。この子を生んだ母親が黒幕かもしれないし、裏がありそうな親父のせいかもしれない。次に紹介する城野さんの謎も考慮するなら遊星からの物体Xめいたナニカかもしれない。
とはいえ、現状としては度重なるヘイトムーヴをやらかしてしまった。悲しい過去で同情を誘うのも今更を超えた今更だし、この弟も被害者だったオチでは冷めてしまいそうだ。それでも「どうしてこうなった」のか過程は求めたくなる魅力がある。
◆令和最新型のヤンデレ・城野さんが魅力的
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第二のバケモン・城野さん。
第6話ラストであっさり弟に殺されたと思ったら、読者の期待通りバケモンとして復活ないし一転攻勢。本作で一番応援できるヤンデレヒロイン。
結構危険な思考回路の人だし、この後もなにかやらかしそうな不安はなくはない、所謂ヤンデレキャラではある。
個人的にヤンデレキャラって基本好きになれないんですよ。「貴方を殺して私も死ぬ」という身勝手なスタンスは自己満足だから好きになれない。「nice boat.」でお馴染み『School Days』の桂言葉さんはあまりにもかわいそうでヤンデレ化したのもすごぶる納得できたんですけどね。あれ?弟って誠ポジじゃね?
でも城野さんの場合、「良太に惚れたのも納得な掘り下げ」「良太の数少ない味方」「弟をぶちころがしてほしくなる期待のルーキー」といった、ヤンデレには珍しい善良の要素が多く見られるから応援できる。
あと気弱な女の子なのも良いギャップだ。これで良太を独占したい蠱惑的な一面が良い。そそられる。弟も似たようなやつなのに。“弱い”ってことはもっと強くなれるって事やん。いや弟に打ち勝っているんですけどね!
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第7話はバケモンバトルやっててめちゃくちゃ面白かった。
『エイリアンVSプレデター』の令和最新版だよ!バトルパートは3ページしかなかったのに、ジェットコースターのような怒涛の勢いでえらく満足感があった。「城野さんでかした!」という嬉しさが間違いなく大きく起因していると考えられる。バケモンとして復活なのに不思議だな。「予想も期待も裏切らない」の好例だ。
でも本人の意思で殺ったわけではないっぽいんだよなあ。悪意ではないと分かってほっとした反面、罪悪感に見舞われそうな不安もある。
母子共にバケモンなので、なにも弟だけが特別ではない本作の世界観。一気に風呂敷を広げたようでわくわくする。
◆ホラー漫画の体勢を保つ被害者・隼人くん
「ホラー漫画なのに怖くないサブリミナルな紹介やめろ」と非難を浴びられそうだが、だが待って欲しい。バトル展開にはワクワしたが本当に待って欲しい。
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本作で一番救われてほしい本気でかわいそうな友人・隼人くんの話をしよう。
もう大分精神的に参ってて相当かわいそうな子だ。
ホラー作品特有の「秘密を知ったからには始末されそうな最初のキーパーソン」を如何にも担っている。実際読んでて死にそうな予感がしていたのだが、最新7話でも奇跡的にもまだ生存しているのはびっくりした。
生存している分、ろくでもない目に遭ってしまう。
弟から酷い仕打ちをされるし、天井がトラウマになるし、最新7話では幻覚でも見ているように大変おつらい有り様になっている。この子視点だとちゃんとホラー漫画の体勢を維持できているのには素直に感心した。他人事になれないくらい、気の毒になったくらいかわいそう。バトルパートから隼人パートに移る温度差もすごかった。
かわいそうな被害者でありながら面白さとホラー成分に貢献しているのはあまりにも皮肉だが…
そして隼人くんはいつ死んでもおかしくない緊張感も提供される。
もちろんめちゃくちゃ生存してほしい分、良太との関係悪化にもなりかねないのが怖い。人間関係でのホラー要素もあるとは困った。一刻も早く『このクラスにギャルはいない』の世界に逃げ込んだほうがいい。
◆タイトルのセンスの良さ
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『良太は弟を殺した』というタイトルが1話で既に回収されているセンスも良い。いつか殺すのではなく、もう始まってる!
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それどころか本編開幕前から何度も有言実行!
そりゃ過去形タイトルになるわけだよ!
軽い考察をすると、タイトルはダブルミーニング説。
まあ安直な発想だが、城野さんやそれに続くバケモンたちが次々と攻略していき、最終的に良太がトドメを刺すプロットだなあ。間違いなくそんな決着になりそうというか、ものすごく期待している。後味の悪い終わりかたになりそうだが、誰かこの弟をどうにかしてくれ!!
というわけで面白いのでおすすめです。