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読切『一矢報いて春から逃げる』感想 完成度が高すぎるラブコメ!マリーさんが表情豊かでおもしれー女でかわいい!推せる!【漫画感想】


◆一矢報いて春から逃げる

一矢報いて春から逃げる』という読切漫画を読んだ。

これはジャンプGIGA2021SPRING(2021年04月30日発売)に掲載された読切ラブコメ漫画。ジャンプGIGAとは新人作家読切が多数掲載されている所謂増刊誌である。その中で本作はセンターカラーを飾っていることから相当期待されているのが分かる。余談だが『カグラバチ』の外薗健先生の初期読切が2本掲載されている。

とはいえもう3年半前に発表された漫画。
何故今になって読んだのかというと、ちょうど先週発売のジャンプ2024年46号に掲載された同作家・泉博士(いずみはかせ)先生の『信号オールレッド』が気に入ったからだ。

その流れで過去作についてまずは本作を読んでみたくなった。

ボイスコミックのほうからだが。
ぼくはジャンプ電子版を定期購読しているのでGIGAのバックナンバーは読めるのだが、おもしれー女を演じることに定評がある雨宮天さんだし、今でも無料で見れるのでボイコミから入るのもいいだろう。
ちなみに前編が2021/09/16公開と読切発表4ヶ月半後にボイスコミック化されている。はやい。

◆読者の期待に応えてくれるコンセプト

単刀直入に言うとすごく良かった!面白かった!
実は『信号オールレッド』は金未来杯エントリー作品であり、これを支持するかどうかがアンケハガキの項目にあるのだが、もし本作が代わりに金未来杯参戦なら「①支持します」を連打しまくったのは確定的に明らか。

『信号オールレッド』は2000年代前半深夜アニメのような古臭さが否めなかったのだが(なつかしさを感じる学園ものだから?)、本作はそのような傾向は全く感じられなかった。今風っぽい。
というか最初GIGAではなくジャンプラに掲載の作品と勘違いしていた。たぶんかわいい系ヒロインが主役だとジャンプらしくないからか。女主人公のジャンプ作品はあるけど大抵「かっこいい」が先行されるから。

天使と人間のラブコメといえばストレートに伝わりやすい。
それに因んで物語序盤は「刺さった者同士を好きにさせる矢」のシステムが説明されるのだが、登場人物の数を絞られることを優先される読切ならいの一番に期待せざるを得ないものを早速提供してくれる。

そう、無事にヒロイン(天使)のマリーさんに矢が刺さった。
そりゃあ「ヒロインと主人公なんだから矢が刺さるしかねえべ」としか思えない約束された結末でしかない。
マリーさんはカラーの時点でどちゃくそかわいいので個人的はもう好印象だった。なんならぼくのハートに先に矢が刺さったまでもある。だから「ほお~じゃあ計画通り矢が刺さるんだな?」と期待するしかなかった。かわいい女の子に惚れ薬をぶちまけるような展開、そんなもの期待するしかない。ボイコミだと雨宮天さんの好演技が更なるバフをかけてくれるのでオススメだ。

◆好きになるしかないマリーさんの魅力

とにかくマリーさんがかわいい!本作はそれに尽きる。
別に女の子がかわいい読切はごまんとあるし、今のほとんどの漫画には必要不可欠なフックになっている。ただかわいいだけでは目に留まれず凡百の作品になってしまう。だがマリーさんは沼らせる魔力と魅力を秘めている。

泉博士先生の特徴としてどうやらヒロインに変顔をさせまくるようで、とにかくおもしれー女を徹底させるつくりのようだ。
当然ぼくはおもしれー女が大好きである。見ていて面白いしもっと面白ムーヴのレパートリーを見せてくれよと積極的に願望したくなるレベル。『信号オールレッド』の玻座間さんもぽんこつかわいかったが、本作のマリーさんも差別化された上でのおもしれー女になっている。きれいなアクア様といえばしっくりくる。

表情がね、とにかく良すぎるんですよ。矢が刺さって主人公のことが好きになってしまい、めっちゃかああああと顔が赤くなっているのがかわいい。見ていてニヤニヤするしかない。魅力的過ぎる。

終盤は明らか名シーンにすっぞと気合を感じられるシーンが多く見られ、それはもうインパクトばつ牛ンなので是非キミの眼で確かみてほしい。中でもこのコマが一番好きです。マリーさんほんとかわいい。
作品としては読切として綺麗にまとまっているし、今後の展開の予想を膨らませられる物語の延長線も見られる。

◆おもしれー男もいるぞ!

この漫画は極めてストレスフリーだ。
というのは中盤では本作の敵役…というかライバルポジなのだろうか、天使の先輩がNTR野郎みたいなポジションとして登場するのだが、こやつがなかなか憎めなくておもしれー男になっている。敵キャラがおもしれー男になると「ラブコメ」のコメディに拍車を上げてくれるのだなとわれわれにわからせてくれる。元よりこの人は堕天したマリーさんのことを心配してくれたからな。下心があって無理矢理矢を刺したのはまあ、別にいいじゃん?わかるってばよ。
そういえば『信号オールレッド』も露悪的な悪役は登場していなかった(というか障害突破系ラブコメ)ので、やはり悪役とは本来「こういう計画を成し遂げたいから」という必然性があってこそ出すべき存在なのだ。

実は中盤までは主人公の夜越春寄くんは善人でそこまで面白味と魅力を感じられていなかったので、マリーさんがかわいいのは全然良いし矢のせいで好きになっちゃうのは全然構わないが、やっぱりせっかくだから読者も主人公のことを好きになりたい…
と引っかかっていたのだが、終盤こんな風にド級のド正論な面白主人公ムーヴを繰り出してくれると好印象になった。決してカッコイイと思わせるものではないが、変顔も相まってこの子もええやん、マリーさんとの初々しいこれからをよろしくヨロんだぜと積極的になれてしまった。スゴイ。

◆余談:イカれた他作品を紹介するぜ!

まずジャンプ+に発表された過去3本。
『日下部さん、増えてます。』は本作品に通じるショートコメディである一方、『バブホくんの冒涜的下界生活』『クリムゾン・ヘッジホッグ』はこういう毒を入り混じったものも描けるのかという意外性があった。ところで最古の作品が2019年ともう5年前なので、泉先生は下積みは長いほうなのだろうか。

ジャンプ本誌には2024年13号に『煽り飯』が掲載。
あ~記憶が正しければこれがぼくが初めて読んだ泉先生の作品だな。こちらもショートならではの軽快さと読後感の良さがある漫画だった。

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