病棟勤務が思ってた以上にストレスフルだった理由:ストレス理論を添えて
自分の筋肉をいじめ抜くトレーニーが増えていますね。
あれは筋トレで自分の筋繊維をあえて壊すことで、次からはより負荷に耐えられる強い筋肉を作るための体の反応だとか。
あれと同じ反応がストレス耐性を得る過程でも起こっています。
ストレスを受けて対処することで、よりストレスに強くなる。
「レジリエンス」と言ったりします。
強くなるっても、無理な筋トレは身体を壊すのと同様に
強すぎるストレスは心を壊します。
病棟は人の心を壊す要因が揃いすぎてるなぁと、調べてみて再認識しました。あそこで働き続けられるのはホンモノの猛者だよ。
ストレスの仕組みとは
「お局様にいびられて、ストレスだわぁ」などと言葉自体は日常会話でよく使いますが、ストレスを感じる過程には段階があります。
「風船を押す」「ゴムボールをへこませる」と例えられることが多いです。心理学分野、たとえ話上手な傾向。
外的要因の「ストレッサー」
ゴムボールをへこませている外部からの力にあたります。
要因は主に4つ
物理的ストレッサー・・・暑い寒い、狭い痛い、紫外線や放射線もここ
化学的ストレッサー・・・アルコール、タバコ、強い臭いや酸欠など
生物的ストレッサー・・・細菌、花粉、ほこりなど
心理社会的ストレッサー・・・人間関係、仕事へのプレッシャーなど
(病棟勤務は全部そろってるなぁ。。)
要因に対する「ストレス反応」
外から力が加わったゴムボールが起こす反応です。
へこんだり跳ねたり。
身体的反応・・・だるい、胃が痛い、夜眠れないなど
心理的反応・・・憂うつ、不安、いらいら、無気力など
行動的反応・・・ミスが増える、過食、浪費など
先輩がいらいらしていたり、怒られまくった新人のミスが増えるのはこういうことですよ。
ストレス耐性・回復能力の「レジリエンス」
へこんだゴムボールがその後どうなっていくか。
元通りになるボールもあれば、へこんだままだったり破裂したり
ボールの個性によっても様々です。
柔らかいボールを使い続けるといつの間にか固くなっているように、
適度なストレスに対応し続けることでレジリエンスも鍛えられるそうな。
「適度」なのがポイント。
ストレス反応について詳しく
大きく3段階ありまして、以下の通りです。
警告反応期・・・①ショック相: ②反ショック相
抵抗期・・・ストレスに対応して体と心が頑張っている時期
疲へい期・・・頑張れなくなっていく時期
先輩からどえらい怒られた新人看護師の例でいうと
1.で怒られた事実にへこみます。先輩が怖くて何も言えません。
①のショック相ですね。
仕事が終わって先輩に怒られた内容を振り返るなかで、怒られることへの耐性もできてきます。これが②の反ショック相。
2.の抵抗期に入ると、先輩に怒られても初回よりへこまなくなります。
へこまなくなっているとはいえ、ダメージは受けていることに変わりなく
見えない疲労はどんどん蓄積されています。
ここで疲労に気づき休息を取ったりできればいいのですが、無理をしすぎてぼきっと限界をむかえる人が多い印象です。
看護師は学生時代から怒られたり理不尽な指導をされる場面が多く、まだ行けるとブレーキ踏むのが遅れがち。
そのまま3.の疲へい期に突入して、適応障害やうつ病を発症する人がたくさんいます。
本人の弱さでは決してなく、環境が過酷すぎるんですよ。
「ストレスは人生のスパイス」というけれど
ストレスというと悪いものとイメージが強いですが、ストレス理論を提唱したハンス・セリエは「ストレスは人生のスパイス」との言葉を残しています。
ストレス刺激をきっかけに、人として成長したり心身の機能がアップする点ではストレスは確かに必要です。
「良いストレス」という言葉があるのもそういうことでしょう。
ですが、スパイスは適量だからスパイスなんですよねえ。
スパイス入れすぎた激辛カレーを食べきれる人はそんなにいないでしょう。
同様に、多すぎるストレスは良くないです。潰れちゃいます。
病棟勤務は「ストレッサーフル」
ボールを強く握りつぶすと破裂するように、ストレス刺激が大きすぎると人は潰れます。
病棟勤務で人がどんどん辞めていく背景には、ストレッサー要因が揃いすぎている労働環境があるのではないか、と感じた次第です。
環境がもうストレスまみれなんだから、無理せんで。
「まだやれる」は「ちょっとダメかも」って感じてることなんだし。
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