ずっと播州
柴田宵曲『完本 妖異博物館』を読了しました。
この本は『妖異博物館』と『続 妖異博物館』の二冊を一冊にまとめたもの。
奇談・怪談をろくろ首、河童、天狗など項目ごとに膨大な書籍からの引用を含め、話のバリエーションを紹介した本です。
漢文そのままを引用した部分があり、読むのに根気を要する同じ著者の『奇談異聞辞典』より分かりやすく、読みやすいです。
妖怪が好きで読んだというより、物語の元ネタを仕入れたくて手に取りました。昔話・民話は怖い話もありますよね。アレンジ次第で現代の不思議譚にできるのではないかと思っています。
僕は兵庫県姫路市の出身です。昔の国名ですと播磨国。播磨は風土記も残っており、神話・伝説の宝庫です。全国にある皿屋敷伝説も播磨の話は戦国期の書籍にあるぐらい古い。畿外に位置するからか歴史の主役ではないけれど、興味深い人物も輩出してます。赤穂義士はメジャーですが、それより昔、室町期に20年という時を経て主家を再興した赤松氏の物語はあまり知られていないのではないでしょうか。『悪党の戦旗』という岩井三四二さんの本があったのですが、今は入手できないみたいです。面白いのになぁ。
また陰陽師・安倍晴明のライバルというか敵役の蘆屋道満や高橋克彦さんの小説を読まれた方なら弓削是雄もご存知かもですけど、彼らもまた播磨の人です。
今は姫路を離れていますが、離れると逆に魅力が分かるものですね。姫路を含めた播州を舞台にした民話、昔話を改めて読み直し、自分なりの物語にアレンジしたいです。それがウケるかどうかではなく、自分のルーツを物語にしたいと思います。
兵庫は日本海と瀬戸内海に面しているという南北に長い県です。また旧五国が一つの県になっていることからヒョーゴスラビアといわれるほどバラバラな県民性らしいです。言葉も、よく関西弁で括られますが県内でいくつもあり、僕自身北部の人と言葉が通じなかった経験があります。語尾の~だらーしか聞き取れませんでした。逆に体調を崩した人に、らく? と聞いたらムッとされたって話も聞いたことがあります。大丈夫? って聞いてるんですけどね。
僕はきっと死ぬまで播州人なんだろうって思います。言葉も他県、他市の人と話す時は控えてますが、ずっと抜けないだろうと思います。時々ひとり言でボソッと、今日も
「ごじゃ(無茶)言うたらアカンわ」
って大袋のとろけるチーズにつぶやきました。開封後4~5日で使い切るなんて無理です。
それはともかく、方言が廃れてきているといわれて久しいですが、それは通じなさとキツさでしょうか。地元の言葉は地元への愛着と思いますので、寂しい限りです。
なんか最後、話が逸れてしまいましたね。