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コントロール Canon New FD 35mm 1:2

何をどうしたいか?  今回のレンズは今まで書いてきたレンズたちとは異なり癖玉や値段の割に実力を持つレンズではなく、既に一定の評価を獲得しているレンズだ。  Canon FD 35mm 1:2は型式上では同一のレンズが存在している。前期型から後期型まで部分的な改良を施されて販売されたレンズだ。色調を整えるCanon独自のスーパー・スペクトラ・コーティング、通称S.S.Cが施された初期型から最後期型まで数種類存在しているが見分ける上で大きな違いがある。最小絞り値がf16かf2

    • M42から来た大怪球 Auto Yashinon-DX 1:2 f=50mm

      f2の50mmなら安定と誰が決めたんだ  最大解放で寄ってもボケの歪みは少なく合焦範囲はちゃんと写る、お手本のような写り。  こちらも同じく解放値f2で撮影した画像である。  両方とも同じレンズだ。 謎多きYachicaの世界  順当な写りの前者に対して剛速球の癖玉な写りを叩き出している後者の画像、本当に同じレンズか疑うところだが厳密にいえば異なる。先に後者のレンズが手に入り写りの正気を疑った後、全く同じレンズを探して買ったのが前者のレンズである。両方同一の銘板が

      • 最短距離1mで寄れ Industar-61 L/D 55mm f2.8 (L39)

        古今相場物語  自分がオールドレンズに手をだす少し前だったか、このIndustarやJupiterといった旧ソ連製レンズは二つの側面を持っていた。一つは他の国産レンズや舶来レンズと異なり桁一つくらいは安価で販売されていた。質と数でいえばオールドレンズ人気がここに到達する前にまだ有名な銘玉や癖玉が安くはないが今よりは買える価格で販売されており、ソ連製レンズを使う意味を見出せないユーザーにとっては視界の外だったのだろう。そしてもう一つの側面は俗にいうところの”ソレンズ沼”で語

        • 剥離

          前書き  手元のスマホを見てほしい。カバーやステッカー、アクセサリーは付けてあるだろうか? 本稿はそれについての話であり、それが無かった場合を綴るものである。 時間は揮発性  隠居、というかそろそろ引きこもり生活ともいえそうな暮らしになり早数年が経った。主観的な実感はなくともカレンダーの値が増えているので確かなことだろう。まず今日が何日かが関係なくなり意識から零れ落ち、曜日感覚も生活にほぼ使わないので揮発していき、室内は空調があるから温度感も生ぬるいような日々になると

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        • カメラとレンズ
          10本
        • 石段
          19本
        • P.ブルデューについて書いたnote集
          21本

        記事

          自問自答

          前書き  自ら問い自ら答えることを世に「自問自答する」という。  これを詳細に述べれば何かしら疑問を得たり着目する過程において生じた「なぜか?」について内的に考えて内的に解答する行為といえる。  多かれ少なかれ誰しもが意識的にせよ無意識的にせよ自問自答を行う、この側面のみを切り取れば自問自答こそが人間らしさとも思える。ただこの行為そのものは特段珍しくもなく普遍的な、心の所作に近い行為であっても人間が行う行為である以上は同じ疑問や着目から生じた自問自答であっても人間ごとに差

          水耕録 水温と根

          前書き  2023年6月初頭からアクアリウムを立て始め、その派生で水槽に買ってきた植物をかけてみたりスイートバジルの水耕栽培を開始したりと本年後半は水をどう扱うか? が一つのテーマだったように思える。本稿はこの6ヶ月で得られた概ね確定と思える内容を備忘録として要素だけを抜き出しつつ記述しておく。 はじまりの水槽  まず最初の水耕植物はホームセンターで購入したこのガジュマルからだった。この時点で水耕、あるいは栽培そのものについての知識は皆無に等しくとりあえずやってみようと

          水耕録 水温と根

          なぜ星を術るのか

           かつては現代より多く、それこそ国家規模で天体観測へ資金と物資、人間が充てられていた。遺されたテキストや痕跡からその意味合いを汲み取ることは考古学者の領分だが遺物にならず現代でも当時の天体観測と同じ動機と意図が働いている分野、または文化がある。それは占星術と分類される。  占星術は世界各地に手法の違いはあっても存在しており実行されている。例えば星を通じて、または用いて未来を観測するという占いがある。現代の天文学では天体の輝き自体は光源から数億年かそれ以上をかけて届いた光が反

          なぜ星を術るのか

          未知の駅へ

          失う日々原理  人間は主観の中において、ある日突然”できなくなった”を自覚する。 実際は予兆というかできなくなるまでの過程が日々の中にある。だがそれを拾うことはせずにできなくなったその日を迎えて心で嘆く。  できなくなる過程とは大別して老いか病のどちらかか、両方であろう。外的要因、例えば法律で禁止されたためできなくなった場合の過程は政治だがこちらは一旦排除する。病で耐えられない、老いで見えなくなる、そもそもの体力が落ちていく、一人の人間ができていたことを失ったと自覚する日

          未知の駅へ

          料理の限界

          前書き用語  本記事において「エリクサー」という言葉は『一つで全てを解決するもの』という意味を述べている。 概要  筆者は本年度に入ってからスケジュールに空きが生じたが体調の崩壊と次なる疾患やその疑いが出てほぼ引きこもり生活になった。家で暇が生じたことで前々から仮説的な理屈として、なんとなくこう作ればこういう効果になるんでないかなとふわっと思っていた料理を作ったりDiscordで提案したりすることで仮説の実証を自分と他者の複数を使い人体実験していた。  23年度も9月

          料理の限界

          目だ! 目を狙え!!

          そもそもむり  例えばその土地で暮らして何年何十年の自分とさっき観光で来た旅行者が駅前のテナント入れ替えに気づくことができるだろうか? 大体の場合は無理だ。事前にネットで地図を見てからくる周到さを有した観光客であっても興味は目的地や観光地としての駅前であって個々のテナント入れ替えではない。マップを見てはいるし視界には入っているかも知れないが個々のテナントは見てはいない、つまり無視されているといえる。しかし暮らして何年何十年ともなればそこにどのような店があったか入ったことは

          目だ! 目を狙え!!

          冴えないおまえは今すぐ独裁者になれ

          自分が一番えらい空間はどこだ?  人間は社会的動物というが社会にいる限り最も偉くなることがない読者諸賢の生存圏は今や窒息寸前であろう。どこへ行こうにも顔色を伺い、電車で肩が当たらないよう気を使い、やっと帰ってきても、これこそが生存圏の窒息寸前状態だ。  かろうじて自分の部屋があったとして、そこに何がある? 書籍が数冊か、パソコンか、捨てるタイミングを見失ったものか、寝床か、そのくらいだろうか。だがそこだけが自分が最も偉い場所なのだとしたらおまえはどうする? 孤独で小さきもの

          冴えないおまえは今すぐ独裁者になれ

          石を見つけろ

          コンセプトアイテム  物語にはその世界を規定するアイテムが登場する。聖書であればパンとワイン、桃太郎であれば桃がそれに該当するであろう。その他にも指輪や石板、武器、文書などその物語の世界を決めるアイテムが多々ある。そして登場人物たちはそのアイテムを巡り冒険したり命を張ったりする。 石  古くから人類は石に特別な意味や価値を見出してきた。材質的な意図ではなく石そのものにだ。大きな石に何かを掘り込んだり石自体を並べる巨石文化ないし信仰は現代の日本でも存在している。神社の御神

          石を見つけろ

          今すぐ世界樹を植えろ

          人には庭がある。  一口に庭といってもその大きさから造り、趣や風で千差万別ある。洋風の邸宅と庭園を好む人もいれば、石庭に雄大さを見出す人もいる。無論、一鉢の盆栽に未踏の大自然を思うこともできる。人間とは一つの情景を前にしてもその物理的制約を超越して空間を捉えることができる生き物のようだ。  庭が無い人々は何を見て世界や空間を思うのだろうか。ざっと見ても机、スマホ、街、道路、鉄道、大きさや機能なら庭より優れているであろうものや場所はいくらでもある。しかしそれらを庭のように拡張

          今すぐ世界樹を植えろ

          ツバメのR

           寒さで起きて暑さで休む今日を三寒四温と言ってくれるな。 G.Zuiko Auto-W 1:3.5 f=28mm  今日は広角単焦点一本で行くぞと久しぶりに散歩へ出かけた。レンズはOLYMPUSの定番広角単焦点、明るさはf3.5と数字だけ見れば暗いように思えるかも知れないが写りの良さに一定の評価を得ているレンズだ。  五月晴れの抜けるような晴れ出会っても絞ればトビもなく質感も立つ。ただし画面は円形に歪む。歪む理屈はあるが今回の記事は歪みについてだ。 R=?  川沿い

          知らない穴だ

          1ヶ月ぶりの通院電車  手持ちの薬が切れていた。無くても寝れるかなと思い寝てみたが空になったカルピスの原液ボトルに水を入れてシェイクしたような味わいの睡眠になってしまい、自分はまだ剤が必要だなとしんどさを諦めて通院電車に乗った。  桜も葉が見え始め、気温も夏へ傾いてきた。上着は無くて正解だったなと思いながら電車の吊革に捕まりボーッと車窓から外を眺めていた。ふと上を見上げると一時期は穴だらけになっていた車内広告が桜が咲いたかのように全面埋まっていることに気がついた。少しは景気

          知らない穴だ

          雲を破れ

          光が作るもの  光には指向性がある。明け方や夕方の太陽はある一方から地上を照らして地上の中に昼と夜にはない明るい場所と暗い場所の両方を作り出す。しかし太陽と地上の間に雲が挟まると光は雲の中で拡散してしまい、雲がない時と比べればぼやっとした、明るくはあるが影を作りにくい光になる。  この数日はひたすらに曇天と雨天が続いていた。空にはべたっと張り付けたような雲が広がり明けても暮れてもその境が曖昧でただ明るいか暗いか、それしか感じられない時間が過ぎていた。光に違いが感じられない