頭のなかみは
小さい頃はくだらない悩み事で頭の中がいっぱいだったように思う。その頃の自分にとってはとても重要だったけれど、今となってはくだらないこと。小さな石ころが積もり積もって私の頭を埋め尽くしていた。しかし、大人になるとそうはいかなくなってくる。鉄の塊が頭に詰まったように、悩む時の頭が重い。迫られる決断の多さと責任に嫌気がさして逃げたくなる。幼き日はこんな風にくだらないことに悩み続ける人生で良いものかと思ったけれど、大人になると案外くだらないことに悩む暇なんかない。
自分のことや人生のことに悩んで追い詰められた時、あの日々に戻りたくなる。もう一度石ころを詰め込んだ頭を取り戻したくなる。自分が誰かなんて昔は悩まなかったのに。ああ、私は大人になったのね。大人は思っていたより窮屈で、毎日闇の中にいるようだ。大人になるのがこんなに苦しいなんて、教科書には書いてなかったのに。みんなひどいわ。もっと早くに教えてくれれば、大人になんてならなかったのに。みんなひどいわ。お勉強より大切なこと、たくさんあったじゃない。