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#096 「ロボット・ドリームズ」
年始の出先のホテルの近くにあった劇場で観てきた。ふと、映画館に入るのは楽しい。映画を観終わって出てきた時に、まだ知らない街だ。と、思う。
孤独に暮らしていた犬が、友達ロボットを買って組み立てて、一緒に楽しく暮らし始める。性別や関係性を縛らない表現になっていて、こういう描き方があるんだな。と素直に思った。
そういえばセリフ無かったんだっけな。と、今思い出すくらいに雄弁で、表情豊かな作品だった。誰もが楽しめて、誰もが違う風に受け取る、自由でバリアフリーな作品だった。
「セプテンバー」をはじめとする音楽が素晴らしく、私が知らないだけで沢山の意味と裏付けのあるものが散りばめられていたはず。後からレビューを漁るのも楽しい。この、映画オタクめ。と思うシーンも多かった。
NYの街の解像度が高くて面白かった。冬でも売りにくるアイスクリームの移動販売車の音楽。地下鉄のタイル。設定は1980年代だけれど、ずーっと変わっていないものが沢山あるのね。意図的にツインタワーが何度も描かれていた様に思う。変わったことも沢山ある。
ベースが友達を買って組み立てる犬なので、もうちょっと頑張って欲しいところで頑張れない。犬、弱すぎる。大事な友達なのに、諦めるの早いよ、犬。と、何度も途方に暮れた。
犬なりに役所とか行ったり不法侵入で捕まったり、頑張っていたんだろうけど。不器用だな、犬。
でも、どこかで元気にやっているなら、まぁ良いか。という距離感は大事。思い出の音楽を耳にした時に幸せを願える相手が居ることは悪いことではない。ずっと続く関係でなかったとしても、そんな風に思い出せる相手が居たら、それで幸せなのかも。