【小説】空は誰のものか
#1
爆撃が降り注ぐ。それは直に人の肉を穿ちもし、苦労してやっと作物が育つようになった農地を一瞬でダメにもした。火薬はより大きな炎を出すように、より多くの金属片を撒き散らせるように、知恵を絞って開発された。国のお抱えの科学者たちの、血の結晶は何をも産みはしない。
無学な俺は、科学で国に貢献できない代わりに、科学者の作った戦闘機に乗って人を撃つ。そして時々考えるのだ。何も感じないようになった脳で、飛び散る血と肉を視界の隅に捉えながら、この戦争で一番つらいのは誰であるか、と。
兵