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The MODEL

福田康隆さんの THE MODEL を読んだので感想。

https://www.amazon.co.jp/dp/479815816X

SaaS ビジネスにおける Sales/Marketing

SaaS 系の企業に入社したが、入社時、Sales や Marketing 周りは全く良くわからなかった。技術系の所属なので、その辺は専門の人に任せれば良いというのもあるが、Sales や Marketing を理解して、先回って行動し、適切なタイミングで支援ができればなお良いと思う。かなり手探りで勉強を進め、それなりに理解するのに、2年位かかっているかもしれない。本書は、Sales/Marketing の流れをまとめており、私がこれまで理解した内容と概ね一致している。そういう意味では、入社後すぐに読んでいれば、私の仕事の質は変わっただろうなと思う。当然、私の浅い知識よりもさらに踏み込んだ内容も多く、なるほどと理解しながら読み進めることができた。第1部は著者のエピソードが語られている。SMBで成功して事例を作る、Nice to have なものは (Mustなものより) 売るのが難しい等、私自身の試行錯誤でやったこと、感じたことと重なる部分も多い。

全体的に参考になる情報が盛り沢山だったが、とくに重要と思った点を書き残しておきたい。

THE MODEL

本書では、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスなどの役割や、案件の流れなどをシステマティックに整理したものをモデルと呼んでいる。当然、モデルはビジネスによって変わるので、自分(自社の)モデルを作る必要がある。

営業活動はどうやっても不確実な要因を排除できない。それに立ち向かうべく、モデルにもとづいて、確率的な見込みを立てたり、ボトルネックを解析したりしている。ひょっとするとSales や Marketing の仕事をしている人には当たり前のことが書かれているかもしれないが、技術系からすると色々と発見があり面白い。また、こういったシステマティックな説明は技術系の人にも納得感がある。アドホックにあれもこれもというようなアプローチ、何が何でもやるんだというクレバーではないアプローチは好きではない。

個人的に重要と思った点は、顧客ステージの定義と管理のところ。SaaS が一撃で売れることは稀なので、売れるステージに少しずつ持っていく必要がある。Web サイトを閲覧したといった初期の段階からどうやってそこに持っていくか。使ってもらう上で、サービスの機能や魅力は理解してもらわないといけない。けど理解しているかどうかをどうやって測るのか、理解してどうなったら売れるのか、など考えないといけないことは多い。もちろん売れてからもカスタマーサクセスを考えないといけない。

次に Sales enablement。これ自体は深く触れていなかったが、Sales の Ramp upが重要であることは繰り返し述べられていて、その一手段が Sales Enablement である。本書は、入社してすぐの Sales が一人前になるまで、というわかりやすい例を上げていたが、SaaS 自体はアップデートが頻繁に起こるので、絶えず Sales Enablement が必要になりそう。別途、Sales Enablement の設計に関しては調査しておきたい。

マネジメント

後半の第4部、第5部はモデルを回すリソース(人材、組織など)に焦点を当て、それをどのようにマネジメントすべきかについて書かれている。「実行」が重要である点は同感。マネージャになっても、方針を考えて指示するだけでなく、自ら実行することで周囲が動き出すことがあると思う。実行すると、それに伴う工数が見えてくるし、自分の考えにおける不備も見える。しかし、なかなかスケールできないのが悩みでもある。

数値の見方などは自分のスキル的にも苦手ではないが、敏腕の経営者やマネージャだと、数値を見て、その背景にある事象を当てられるのだろうと思う。私はまだまだで、数値的にはなにか起こっているはずだが、何が起こっているかはわからない、というようなことが多々ある。これは、もう少し突き詰めて問題に当たらないといけない。

経営の Theory は勉強したほうが良いと述べられている。Theory があると無いとでは大きく違う。Theory がないと、自分自身が納得いく説明ができないし、それができなければ周囲を巻き込むことも難しい。もちろんデータで主張してもいいが、客観的なデータがいつも得られるとは限らない。継続的に勉強していかないとダメだなと思うところ。

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