見出し画像

悲しさを感じると人らしさを感じる|SF読書録#5「鍵つきテラリウム」

こんばんは。#1000日チャレンジ、SF読書録の書評を書きたいと思います。

今回の作品はこちら

最近「終末世界モノ」にハマっていて、その中でもこの作品が良かったのでみなさんに紹介できればと思っています。

この作品はアルコロジー(完全環境都市)という未来のコロニー的な都市の中で大戦が起き、人類が絶滅寸前になっている世界で技官の少女チコと弟のロボットピノが母親が残した人類を救うための鍵を探し求める旅を描いた話です。

©鍵つきテラリウム(1)メテオCOMICS

荒廃しながらも様々な未来の技術が残る世界で、ロボットの「コア」を回収する旅の道中で個性豊かなロボットとの出会いがあり、また大戦が起き、人々がいなくなってしまっても動き続けているロボットたちの悲しくも優しい物語に触れていきます。

基本的に少女チコとロボットピノのほのぼのするような掛け合いがあるので、とても温かい気持ちで作品を読みすすめることができます。

©鍵つきテラリウム(1)メテオCOMICS

ぜひ作品を読んでほしいのですが、登場するロボットたちの切ないエピソードに少女チコがとても優しく対処していきます。

例えば
「視覚センサが壊れてしまったが、白骨化してしまった死体の治療を続けようとしている医療ロボット」
「手紙を楽しみにしてくれている少女のために破壊されてしまった都市でなんとか手紙を届けようとする郵便ロボット」
といったロボットならではの純粋さと優しさを持ったロボットたちが出てきます。

いずれも関わった人間たちは悲しい結果になってしまっているのですが、チコはロボットたちに事実をありのままぶつけるのではなく、記憶を傷つけないように対処していくのです。

人間よりも人間らしく。チコは作中でこんなことを言っています。

大丈夫だよ・・・
悲しい出来事だったけど・・・
悲しさを感じられたなら・・・私の心は生きている・・・
だから・・・大丈夫・・・!!
©鍵つきテラリウム(1)メテオCOMICS

よく言われるかもしれませんが優しいの「優」という字は「人」を「憂う」という字です。

「どれだけ人を思いやれるか?」

その時に大事なのはきっとその人の「悲しさ」を想像することなのかもしれません。

そんな事を考えさせてくれる作品でした。

1週・・・サボってしまいましたこの書評。

やっぱり書くのは良いですね。書いているうちに「気づき」を与えてくれます。

漠然と思っていた「良い」という感情を言語化できる。学びに、知識にできる。

特にSF作品は超人間的な世界を描く分、「人間らしさ」について考える機会を与えてくれます。

やっぱりいいなSF。サボった分はどこかで挽回します。

SFに感謝を込めて。

読んでいただいて、ありがとうございます。

サポート、こんな私にサポートしてくれる奇特な方がいたら・・・そんな方がいたらとても私にとっては貴重な存在です。