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蔵出しは蔵から出している。

ここ10日ほどでいくつかの出来事があり、気もそぞろなうえに、季節は秋になっている。通販で買った激安のズボンが、入らないというまさかの、そして些末なできごともあった。たぶん、ウエストのことだけを考えて、おしりのことはまったく考えずに型紙をつくってしまったのだろう。

ああ、こういうときに、悪態をつかない人間になりたかったと思いながら、この布切れを無駄にしない方法を考えたけれど、アイデアは浮かばない。

日本酒を試飲できる機会があった。今回は、高知県の土佐鶴。相変わらず、最近飲み始めたのですが、を枕詞にして、なにか教えてもらおうと試みた。たくさんは憶えられない。

「こんかいのものは、蔵出しなんですよ。」

蔵出し、かー。聞いたことがある言葉だけれど、蔵からは出すでしょ、と思ったりする。

「米がとれて、酒をつくりはじめて、酒ができるのは冬で、それから1年近く、どこで保存するか。たとえばマイナス2度くらいで寝かせてきたお酒です。」

それで、今日並んでる品は、いまの時期としては、とても良い状態で飲めるという。なるほど。それで蔵出し、と、わかったような気分になる。すべてはわからないんだけど、あたまに入れる。

酒はすべて冷蔵庫で保管しろ、とか、22度以上にするな、とか、アイツ、言ってたな、と、ひさしぶりに友人の顔を思い出した。正直、ちいさな我が家では、かなわないし、温暖化が廊下を熱くする。常温保管でいいという人はいるし、たぶん、まあ、悪くないだろうけれど。と、思うのは、昔のひとはどうしてたのか。に、しても、いま、夏はほんとに暑いからなあ。


米選びです、との説明で試飲した、「無濾過」。ふわーっとふくらみが爽やかで香りが次々と変化する。

切れ味がいい、ということらしい。

ひと口の満足で買ってしまった。

土佐鶴のひとと話している傍から、もらってくよ、と、「土佐鶴」を一本持っていったおじさんがいた。声のかけ方がかっこよかった。

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