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#51 社会人編 〜書くという趣味〜

noteにこうやって記事を書いている以上、私はどちらかというと、何かを書いて表現するのが好きなのは言うまでもない。

しかし、それ以上に私がずっと好きにしていることと言えば、まさに“書く”ということである。

とてもわかりづらいのだが、文字を“書く”こと自体が好きと言うことだ。

幼少の頃は、ひたがなやカタカナ、漢字を習うだけでテンションの上がるようないわゆる変な子どもだったと思う。

一般的に落書き帳と言われるノートには、子どもらしく好きなキャラクターやら、何かを模写した絵とか、そんなものが描かれるだろう。

私の場合はそれが文字だった。

だから、私が使っていた落書き帳にはびっしりと文字が書かれていることがよくあった。

当然そんな変わったことをしていれば誤解された経験もあった。

私の年の離れた兄が、中学進学したことで、私に習ったばかりの英語の一節をなんとなしに教えてくれたのだ。

私は、文字ならなんでもござれの文字マニアだったので当時のアルファベットにも少なからず興奮していたのだと思う。

そうして教えてもった文字をいつものように落書き帳にびっしりと書いていった。

書いた文字は“I’m sorry.”だった。

なぜこれを弟に教えようと思ったのか、兄は私に何か謝って欲しいことがあったのか、その辺は全くの謎なのだが、とにかく教えられたのはそれだった。

しかし問題はそこではない。“I’m sorry.”とびっしりと書かれた落書き帳が問題だった。

学校でもところ構わずびっしりと私はその文章を書き続けていたのだが、ある時ふと私の担任の目に入ってしまったのだ。

その時の担任の驚愕した顔は忘れられない。

きっと担任は

「なんでこの子、びっしりと英語でごめんなさいをかき続けているのだろう。家で何かあったのかもしれない。」

と思ったのだろう。

その後、根掘り葉掘り家庭での様子について聞かれた。

多分色々な事件性を疑われたのだと思うが、実際はただの文字マニアである私の好奇心が招いた誤解なのだ。

当時の担任と家族には、大変悪いことをしたと今は思っている。

そんなこんなで私はずっと文字を書くことが好きだった。

そして、その思いはやがて文房具に対しても芽生えるようになる。

どうせ書くなら、書き心地の良い筆記具で書いてみたい。

なんて思いを持ち始める。

もちろん最初は学生だったので、シャープペンシルやらボールペンシルなどを色々漁ることから始めた。以前紹介したがその時からボールペンとは長いお付き合いをしている。

だが社会人になると、割と大きなお金も使えるようになる。

これは今まで出せなかったところまで手が届くぞ。

ということで、私はついに“万年筆”を買うことを決意した。

万年筆を皆さんはご存知だろうか。

今では比較的安価なものから、数万円もしくはそれ以上するような高級なものまで様々な種類がある。

またペン先(ニブ)や、インクの入れ方など、さまざまなこだわりに合わせて万年筆は自分好みをものを使うことができる。

しかも、ペン先が自分の筆圧に合わせて成長する筆記具と言われているのだ。

これは買わない手はないだろう。

私は様々な情報を本やらインターネットやらで調べ、また文房具屋さんに押しかけては色々な万年筆を見させてもらうなど、ちょっと迷惑な客だったかもしれないが、そういうことを繰り返していた。

そして、ようやく一本の万年筆を買うに至った。

それは細身のカートリッジ式の万年筆で、数万円はするものだが私に後悔はなかった。

早速インクを入れて書いてみる。

今まで文字を書いていて、インクがついてるなとか、ペン先が引っかかるなんて感じたことのなかった私にとって初めての万年筆は衝撃的だった。

「面白い!」

万年筆は私の“書きたい”つぼを見事に押していったのだ。

それまでのシャープペンやボールペンに比べ、万年筆は手入れが必要になる分ちょっと管理がめんどくさい。

私は大のめんどくさがりなので、その辺には心配があった。

しかし、いざ使ってみるとこの手入れもまた楽しいのだ。

自分のペットの世話をするように、甲斐甲斐しく手入れをした。

羽田から見れば奇妙であり、若干気持ち悪い光景だったかもしれないがそれでも良い。

自分が楽しければそれでいいのだ。

そうして、私はまた新しい趣味を手に入れ文字マニアとしてまた一歩成長したわけである。

我ながら辺だよな〜とは思うものの、小さい頃から今も続いていることなので、多分私は書くことが本当に好きなのだろう。

好きこそものの上手なれ、なのかはたまた下手な横好きなのか怪しいところだが、これからも他の文房具同様、万年筆の世界にもどっぷり浸かっていこうと思っている。

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春先 生
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