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夢から醒めた夢

20201215

寝てる間に、そっと来たのかなと思った。

最近は、土日を持て余すようになった。出かけるに出かけづらい昨今。
その土曜日も、急に冷え込んだ何も予定がない土曜日で
わたしは、いつか見逃した映画をけいたいで布団に籠もってみていた。
なんとかプライムとかなんとかフリックスとかほんとにありがたい。
お布団が映画館だもの。

目が覚めたときには、映画は半分くらいを過ぎたところのようだった。

寝てる間に、来たんだって思った。

横向きに丸まったように寝ているわたしの背中に
少しの重みと、後ろから人の質感があった。

いつの間に来たんだろう
来るなら来るって言って欲しかったのに。
部屋だって散らかってるのに。


背中とお腹がぴったりと着いているのがわかる
同じようにくの字に寝転んで
後ろから胸で交差する腕があって
動けなくて、進んでいく映画を止めることが出来なくて
暖かくて、重たくて、わたしはもう一度眠りそうになった
きっとこれを安心と言うのだろうな、そう考えていた。


でも
来るって一体誰が?
この部屋に誰が来る?
わたしは後ろのこの人を誰だと思っていたんだろう

誰なんだろう
もしかしてお姉ちゃん?

後ろからぴったりくっつかれて
顔が見えない

もしかして近所のやばい人が入って来ちゃったのかな
鍵、かけ忘れた?
そうだとしたら、このまま眠ったふりをしてやり過ごしたほうが
いいのかな

ゆっくりと思考が動き始めて
体を起こしたときには
もう誰もいなかった

けいたいで映画は流れ続けていて、巻き戻してみたけれど
みていたままのストーリーがあって
確かにわたしは、目を覚ましてみていたはずで

あの感覚を、白昼夢というのか明晰夢というのか
わからないけれど

もう少しだけみていたかった
醒めて見る夢をみていたかった

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