リリースツアーと東京にいた僕
何よりもライブを大事にしたいと思った。音楽をやる上で、いいCDを作ることも、お店に並ぶことも、たくさんの人に買ってもらうことも、来てもらうことも、多くを願えば願うほど、それよりもいいライブをすることを大事にしたいと思った。
東京。下北沢HALFと吉祥寺sutekinaでのライブ。
HALFは、basementbarの副店長だったこっけさんが今年新しく開いたライブバーで、僕はこっけさんの陽気だけれど的を射た言葉が好きだ。
こんなことは言っちゃいけないことなのかもしれないけれど、僕は最近で1番自分の力を出せなかったライブをした。正直、ただただ悔しかった。こっけさんは「パーティの扉を開けたら知り合い誰もいませんでしたみたいな感じだったね」って笑ってた。僕はその通りだったなあって思って笑っていたけど、知り合いが誰もいなくてもちゃんといつでも舵を取れる音楽をしたいと思った。
夜の吉祥寺sutekinaの公演は数年前三重で出会った弾き語り 山本拓磨くんが企画してくれた僕のレコ発イベントだった。僕は全部を見直して、新しい気持ちを歌った。
みんながリリースおめでとうと言ってくれていた。拓磨くんが演者でありながら、せっせと裏方のこともやって、僕の前に自分のステージも地面にちゃんと足をついてやっている姿があった。なんかそういうのに、勝手に感動してしまっていた。
今回の2ヵ所の会場でライブをして、本当に場所じゃなくて人だなと思った。それから、東京にいて、今でも僕のことを気にかけてくれる人たちがライブに足を運んでくれたことがとても嬉しかったです。
リリースツアーというものがなんなのか、その実像がぐにゃぐにゃと形を変えて僕の目に映ってくる。それが本当はなんなのか、僕はまだ知らなかったのだと思った。そして、僕は知らなかったんだけど、出会った周りの人はみんな知っていて、目の前でそれをそれぞれの距離感の中で作ってくれていた。
僕はその先で、歌を歌わせてもらいました。何も隠すこともできないくらいに、そのステージがその夜の僕になった。
できるだけ、多くの悲しみを纏うことなく音楽をしていたいです。それなのに、進む先々に自分の背中にも目にも鉛のようなあざが増えていくのは僕や僕の1番近くの人をむしばんでしまうとも思った。
なんでそんなに夢中になっているの?なんでそんなに多くのものを失えてまで、やっているの?世に言う普通の生活を送れたなら、僕はずっと今より、もう幸せになれていたのかもしれないなって時々思う。
本当に大切にしたいものは、いくつまで抱いていられるのだろうって思う。正しさを分かって引きちぎるような行為の先には、何もないのだろうなと思う。ちゃんと順番に積み上げていかないと、何もかも崩れる気がした。崩してはいけないなと思う。崩したくないし、崩しちゃダメだって思う。
次のライブは、広島12/1(日)。ドッグフード買い太郎くんと原田茶飯事さん。2人の奇才とやれるのが楽しみです。本と自由という場所で。
前日11/30(土)からは、このリリースツアーのアルバム『インターネットが知らない世界で』も全国のどのCDショップでも、最低でもみなさんが問い合わせてくだされば買えるようになります。
まだまだ泥臭いものです。でもやっとここ。
いいものはできてる。買ってやってください。そして、お楽しみいただけたらとても嬉しいです。
僕は少し自分の音楽と生活に向き合うことに戻ります。杭を立てて。どんな状況になっても、毎日はゆっくりと進んでいってしまいますね。
またライブ会場でお会いできたら嬉しいです。