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『年末の空は…』
「買ってないの?」
「うん、買ってない」
「夢がないなあ」
「当たるかも、知れないじゃない買っとけば」
「そう、いつも思う」
「そう簡単に当たれば、皆当たってるよ。それより も宝くじに当たったくらいにいい奥さんとか、旦那さんとか、いう人がいる。自分もそんな人に巡り会いたいよ」
風が冷たい。道を歩く人々が黒っぽい服を着ている。そんな光景を見ていると、冬の日常だが、年末のこの時期には忙しなく歩いて見えるのは、気のせいだろうか。
年が去ろうとするこの頃は、いつもどんよりした空だと思う。それは毎年この頃は、一年の終わりの寂しさを感じるからだろう。しかし、今年の年は早く行ってしまって、新年を迎えてリセットしたい気分だ。
もう、宝くじ云々というよりは、久しく会っていない人たちに年賀状を書かねばと、あせる気持ちと大掃除、どこから手を付けるか考え、時間が経つ。そして、また、
焦ってしまう。 もうすぐそこに新年が待ち構えている。
出掛ける訳でもないので、自分が納得行くように過ごせばいいか。
今年は特別だ。