『あのこたちは、どこに』(小説) 16
ぼん、ぼん。
生温かい空気。暗闇の空。
割れるように音が身体の奥まで鳴り響く。
白い浴衣や紺のの浴衣、髪をくるっと巻いて髪留めをしている女性たちが、その音から離れて行く。小学生の子供が出店で買ったリンゴ飴を舐めながら母親と少し厳つい父親と一緒に歩いて帰るようだ。
自転車で来た高校生の男子たちは、女子の話でもしているのだろうか両足を地面につけながら自転車をこいでいる。
浴衣を着たカップルは、うちわを仰ぎながら幸せそうに腕を組んで帰るところだ。
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