友達になる
友達になるのは、難しい。
学生ではないので、一緒に仕事をしていても休憩時間は、それぞれスマホ画面を見たりゲームをしたりしている。
食事だってそうだ。同じ方向を向いて間隔を空けて食事することになっている。
人と話しをする必要がなくなっている。仕事をそれぞれが黙々とこなしていけばいいことなのだ。
変に人に対して気兼ねや気を使わなくていいから楽だと思う。
けど、なんだか淋しい。いつも同じ毎日の繰り返し。
いつも一緒に仕事をしていた年下の女性とも、ほとんど話をしなかった。お互いタイプが違っていたから共通点もなかったし相手に対して興味もなかったので会話することがなかった。
そんなある日、その彼女は、忙しくて手が足りない隣の部署へ暫く移動になった。
時々、何気に通りかかると、その部署での休憩時間、彼女はポツンとひとりだった。他の人はその部署に長くいる人たちばかりで3グループに分かれているらしい。
たまたま、その部署に行く用事の時に声をかけた。最近の私がやっている仕事の事を話すと、懐かしそうに笑顔で私の話を聞いてくれた。
その次の日も同じように話した。いつもテキパキと働く彼女は、時に冷たく思えたが、一緒に話している時の彼女の笑顔は、可愛いと思った。
1ヶ月が経って彼女が戻ってきた。
休憩時間でも一緒に話すようになったし、仕事の時も冷たいイメージだった彼女が、仕事の合間に会話を交わすようになって、笑顔であることが多くなった。
興味がないから話さなかった。でも
共に残業もずっと一緒にしていたので、打ち解けるとすぐに仲良くなった。
仕事が終わって、手を洗っている彼女に、
「いつのまにか、雨が降ってきたね」彼女の隣で一緒に手を洗いながらそういうと、
「雨が今日、降るなって、事前にわかるんですよ。風の土や草の匂いで」という。私にはそんな自然の細かいことは気づかないだろう。
繊細な彼女の一面も今日発見した。
友達ができるっていうことは、こんな感じなのだ、と思った。